【レビュー】『姿勢と結果で示す』~第19節ファジアーノ岡山VS徳島ヴォルティス~

試合結果

2023 J2 第19節
6/3 19:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(2-0)徳島
71分 ステファン・ムーク
90+1分 田部井涼

スタメン

マッチレポート

『岡山がカウンターから2得点を奪取。徳島を下して連敗を阻止』

岡山は前節の敗戦を乗り越えたことを姿勢と結果で示した。

ヨルディ・バイスを出場停止で欠く岡山は[3-5-2]のシステムで臨むと、ルカオとステファン・ムークの2トップから積極的にプレスを掛けていく。中盤の選手が相手選手を捕まえていき、3バックの本山、柳、鈴木もマークの受け渡しを徹底する。柿谷の自陣に下りる動きにも厳しく寄せ、高い位置で攻撃の芽を摘んだ。そしてボールを保持すると、全員が前に向かってプレーした。前節にバックパスのミスでオウンゴールを献上した鈴木は常に前方にパスを供給することを優先し、機を見た持ち上がりでも敵陣に入っていく。河野と高木の両WBは何度も相手の背後を突き、果敢にドリブル突破も仕掛けた。全員が攻守両面で矢印を前に出したプレーをすることでチャンスを作るも、シュートが枠に飛ばない。すると、ピッチ中央でのボールロストによるショートカウンターから危ないシーンを作られたが、31分には柿谷のシュートを柳が身体を投げ出してブロック。攻撃の時間が長かった中で、守備陣が要所で集中力を発揮して失点を許さなかった。

後半は徳島がボールを保持して攻め込んだ。柿谷と杉本が相手のアンカーの脇で起点を作り、出場停止の西谷に代わって左WBで先発した浜下も高い位置を取る。ビルドアップへの関与を増やした柿谷はゴール前にも飛び出してクロスからシュートを放ったが、GK堀田にストップされた。

岡山は3バックを中心に慌てずに守ると、65分に櫻川と高橋を投入する。相手が攻勢を強めたことで空いたスペースを活用し、縦に早いカウンターで先制点を奪う。71分、田中が自陣から前線にロングボールを蹴り込むと、櫻川が相手と競り合ってボールがこぼれる。これを拾ったムークがゴールに向かって突き進み、シュートを流し込んだ。先制後も粘り強い守備と鋭いカウンターで時計の針を進め、終了間際に櫻川を起点としたカウンターが再び発動。左サイドを駆け上がった高橋の折り返すと、後ろから走り込んだ田部井が合わせてJリーグ初得点を決めた。守り抜くのではなく、2点目を取りに行く積極的な姿勢が追加点をもたらして勝負あり。

90分間を通して前に向かってプレーした岡山が勝ち切り、たくましい姿を1万人以上のサポーターに見せた。

コラム

プロ初得点を決めた田部井涼。原動力は同期から受けた刺激。

同い年の選手から受けた刺激が、田部井涼のプロ初得点を生み出した。

90+1分、徳島に右サイドから攻め込まれるも、チアゴ・アウベスが懸命に戻ってパスカット。これを本山が大きく蹴り出して、櫻川がピッチ中央でキープすると、田部井は前に走り出した。歩みを止めることなく相手ゴール前まで入っていき、高橋の折り返しを倒れ込みながら左足で合わせてネットを揺らした。

田部井は85分にピッチに入った。リードしている状況で投入されるアンカーの役割は、しっかりと守備をして試合を締めることだろう。フレッシュな状態を生かしてスペースを埋めていき、88分には自陣右サイドの低い位置で田中と挟み込むようにして相手選手からボールを奪っている。徳島の攻撃を抑えることにエネルギーを注いでいた。

しかし、得点シーンは前に出ていくことを選んだ。試合終了まで残り3分だったため、そのまま後ろに残って1点を守り切る選択肢もあった。それでもゴールに向かって足が動いたのは、同い年の田中や仙波が得点を決めているという事実。結果を残す彼らの活躍を見て、「自分も決めてやる」と触発された気持ちが嬉しいプロ初得点の原動力となった。前橋育英高校では主将として高校サッカーの頂点に立った背番号41は、これからも同期の選手と切磋琢磨しながら成長していく。

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