【レビュー】『出せなかった自分たちの良さと厳しい現実』~第39節ツエーゲン金沢VSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第39節
10/2 14:00K.O. @石川県西部緑地公園陸上競技場
金沢(3-1)岡山
19分 杉浦恭平
29分 ヨルディ・バイス
52分 オウンゴール(ヨルディ・バイス)
90+1分 嶋田慎太郎

スタメン

マッチレポート

勢い、精度を出せず。自動昇格が遠のく敗戦

岡山は常にリスクを背負っている。なぜなら、勝ち続けないと上位2チームとの勝点差は埋まらないから。自動昇格を狙うチームは今節も勝利だけを目指した。しかし、仙台を下した前節の勢いは影を潜め、プレーの精度が上がり切らずに敗戦を喫した。

勝利すれば残念を確定させる金沢の勢いが、自動昇格への望みをつなげたい岡山を上回る。開始20秒、相手のパスをカットすると、杉浦のパスに抜け出した林がシュート放った。これは枠を逸れるも、キックオフ直後に縦への早い攻撃を繰り出した2トップが流れを引き寄せていく。杉浦と林は前線から激しいプレスを掛け、3バックの脇のスペースに流れて起点を作る。金沢が主導権を握る中で、16分に松本のシュートがクロスバーを直撃したが、カウンターから先制点を奪取する。19分、河野のパスをカットした孫が左サイドにクリアボールを蹴り込むと柳が後逸し、抜け出した杉浦が右スミに流し込んだ。

岡山はミスによって縦パスがつながらない。プレスは藤村を捕まえきれずにハマらない状況が続く。そして先制を許した。しかし、失点で目が覚めた岡山は両サイドからクロスをどんどん供給し、徳元がロングスローを入れて力ずくで押し込んでいく。29分にはバイスが蹴ったPKはGKに止められるも、自ら押し込んで同点に追いついた。

後半は岡山がゴールを奪う意志を強く発揮してスタートした。全体を押し上げてボールを握り、前線に人数を掛けて攻めるも、ラストパスやシュートの精度が上がらない。枠を襲いきれずにいると、一瞬の隙を突かれた。52分、佐野のパスが相手にカットされて、金沢のカウンターが発動。抜け出した松本のクロスをバイスがクリアしきれず、岡山のネットが揺れてしまった。木山監督は58分に永井と河井を投入、その直後には佐野がPA左角からシュートを放つも、白井の好守に遭った。67分には仙波とイグォンを送り出してシステムを[4‐4‐2]に変更し、CKとロングスローでこじ開けようと試みる。82分にはイグォンがPA内から放ったシュートがわずかに右に逸れた。終了間際に敵陣でのボールロストが招いたカウンターから3失点目を許して万事休す。

岡山は今節の敗戦によって自動昇格の可能性がほぼ消滅した。しかし、まだ昇格の夢が絶たれていない。燃え尽きることなく、昇格に向かって再び立ち上がれるか。残り3試合は昇格に相応しいチームか否かの真価が問われる戦いになる。

コラム

突き付けられた厳しい現実。それでも信じるのみ。

岡山の敗戦を告げるタイムアップの笛が鳴る。それをアウェイ席で聞いていた僕は夢から目覚めるような感覚に陥った。

残り4試合、全部に勝って逆転での自動昇格を成し遂げる。思い描いていたシナリオはすごく難易度の高いものであり、昇格という目標までの距離は想定よりも遠かった敗戦が理想と現実のギャップを突き付ける。次に切り替えないといけないって思っていたけれど、試合後に選手たちが俯きながらビジター席まで挨拶に来る姿を見て、悔しさを抑えきれなかった。

残念ながら自動昇格の可能性は極めて厳しいものになった。それは2位・横浜との勝点差が『8』になったことが示している。残り3試合で横浜FCが3連敗し、岡山が3連勝をするしか道は残されていない。さらに難易度の上がったミッションを達成するのは至難の業である。

すでに進出を決めたプレーオフに照準を合わせればいいのか。3位でシーズンを終えれば、引き分け以上で次に進める2試合をホームでできることはすごく有利だ。それでもJ1に行くためには最終的にJ1の16位のチームにアウェイで勝たなければならない。これもすごく厳しい戦いになる。

今回の敗戦によってJ1昇格の難しさを再確認した。歴史を変えるためには困難を乗り越える必要がある。厳しい現実に直面しても、絶対に下を向いてはダメだ。最後まで信じて戦い抜くしかないんだ。

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