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邦画が多めです。
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映画『怪物』が描いていたもの

映画『怪物』が描いていたもの

おそらくこの映画を観たほとんどの人がそうであったように、怪物が一体誰なのかを探す気持ちで見始めた。

きっとどこかに、いやおそらく誰しもが心に怪物を飼っていて、他人から見れば私も怪物の振る舞いをしている。そういう映画なのだろうと思い込んだ。内容の詳細がほとんど明かされない告知映像にまんまと惑わされた。

とある郊外の街で起こった、小学生の子ども同士の喧嘩。子どもにありがちな些細な喧嘩が、やがて大人

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閉ざされた村社会と負の連鎖 映画『ヴィレッジ』

閉ざされた村社会と負の連鎖 映画『ヴィレッジ』

久しぶりにムビチケを購入してまで楽しみにしていた映画『ヴィレッジ』。都会の大きい映画館で公開から日も浅いのに1日1本に絞られていたのは、この重苦しいストーリーが万人受けするものではないという判断なのかな……。

藤井道人監督の作品は、いつも切り取られる画がとても綺麗だと思う。今作も違わず、くっきりしたコントラストと影の濃い黒色で、作中で印象的に描かれるゴミ山さえも美しいものに見える。

閉ざされた

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映画『BABYLON』はゴージャスで狂気的で、すべての映画好きのための作品だった!

映画『BABYLON』はゴージャスで狂気的で、すべての映画好きのための作品だった!

10年で7回も引越しをしているので、さすがに引越し慣れしたつもりでいたけど、コロナ禍直後の海外からの帰国は手続きも多かった。そんなこんなで映画を観る時間もしばらく取れていなかったけど、久しぶりのTOHOシネマズで鑑賞した1本目、「バビロン」がとても良かった!

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の最新作ということで公開当初から話題にはなっていたらしいけど、私は『ラ・ラ・ランド』も未鑑賞だ

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2022年楽しんだコンテンツたち

2022年楽しんだコンテンツたち

大晦日なので、今年観た・読んだ・聴いたものを慌てて振り返る。もうすぐ年が明けてしまう、あたふた。

私が今年鑑賞したものという基準のため、2022年公開でないものも含みます。

映画前科者

岸善幸監督。試写会で鑑賞。森田剛の演技がすごくて、もらい号泣した。

コンフィデンスマンJP 英雄編

ジェシーとスタアが出てきて嬉しかった。

約束のネバーランド

カズオ・イシグロの「私を離さないで」を思

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不器用な生きざまが居た堪れない | 映画『泣く子はいねぇが』

不器用な生きざまが居た堪れない | 映画『泣く子はいねぇが』

時々、「これだから邦画が好きなんだ!」と叫びたくなる作品に出会うことがあります。

映画『泣く子はいねぇが』もそのひとつ。これぞ、邦画の真骨頂。そして、俳優・仲野太賀の真骨頂。

過ちを犯し、妻子を置いて現実から逃げてしまった主人公・たすく(仲野太賀)が、地元秋田に戻り、過去の自分と向き合いながら少しずつ大人へと、そして父親へと成長する物語です。

秋田県・男鹿半島の伝統文化「ナマハゲ」を通じて、

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佐々木はまるで置いていかれた子供みたいだ | 映画『佐々木、イン、マイマイン』

佐々木はまるで置いていかれた子供みたいだ | 映画『佐々木、イン、マイマイン』

内山拓也監督の作品『佐々木、イン、マイマイン』という、なんとも切ない青春映画を観ました。

本編を見た方は共感してもらえると思いますが、鑑賞後にこのポスターを見ると、もう切なくて寂しくて。

昔、身近にいたであろう自分にとっての「佐々木」の存在に、私は気付いてあげられていただろうか。そんな切ない気持ちになりました。

佐々木は「ヒーロー」ではなく、とても孤独な寂しい子どもだったように思います。

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声のボリューム順、間宮祥太朗おすすめ出演映画

声のボリューム順、間宮祥太朗おすすめ出演映画

フジテレビ系列ドラマ『ナンバMG5』第9話での間宮祥太朗の名演技が忘れられません。ハシヅメです。

それまで「なにも考えずに気楽に観られるいいドラマだなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、第4話でこみ上げるものがあり、第9話では完全に泣かされました。

泣かされる予定ではなかったのに。見事に裏切られてしまった・・・。

それからというもの間宮祥太朗出演作を何度も復習してしまっている自分がいま

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映画『三度目の殺人』に真犯人考察は必要か?

映画『三度目の殺人』に真犯人考察は必要か?

公開中の映画『ベイビー・ブローカー』が話題となっている是枝裕和監督のオリジナル脚本映画に、2017年に公開された『三度目の殺人』があります。

個人的に是枝監督作品がとても好きなので、新作公開を機に改めてこの作品について振り返っていたのですが、レビューサイトで「真犯人がわからずモヤモヤする」という意見が複数上がっているのを目にしました。

調べてみると、さまざまな角度から真犯人を考察し(時に深読み

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山田一郎は吉沢亮でなければならなかった | 映画『リバーズ・エッジ』

山田一郎は吉沢亮でなければならなかった | 映画『リバーズ・エッジ』

2018年に雑誌『ViVi』(講談社)で国宝級イケメンの肩書を堂々獲得。今や泣く子も黙る超人気俳優・吉沢亮。過去にもその完璧に整った顔面を活かして二枚目役を度々演じてきた彼だが、敢えて私は声を大にして言いたい。

吉沢亮の真骨頂はそんなキラキラした役どころではない。

怒られることを承知で主張すると、かっこいい王子様を演じる彼は逆に魅力が半減しているとさえ思う。確かに「イケメン」だ。だた、彼が起用

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