フォローしませんか?
シェア
TickTack
2021年8月28日 16:04
動物病院の待合室で出会った美しいシルバーのパピヨンは、意外にも保護犬だった。「キャイン」とピノが鳴いたので、振り向くとピノが椅子の下に仰向けで落ちていた。ボクはあわててピノに近寄ると、足を震わせている。「大丈夫かい?ピノ」どこを痛めているのかが分からない。とりえず投げ出されている足を順番に撫ででみるが、骨が折れているようには思えなかった。でもかなり痛そうで、息が荒く全身で震えている。すぐにで
2021年1月25日 11:11
『コツコツ、コツコツ』深夜ふと目が覚めると、暗闇の中で音がしていた。それほど大きな音ではなく、どこからともなく聞こえてきた。なんの音だろ、と思ったのだが、あまり気にもせずにまた寝てしまった。翌日は、何だかバタバタと忙しかったので、謎の音は忘れていた。その日の深夜、ボクはベッドの中で寝かかっている時だった。再びどこからかコツコツと何かを叩くような音が聞こえてきた。家の外からではなさそうだ。寝室の中
2021年1月16日 10:59
まったくもって、犬も人間も見た目では分からないもんだ、というお話。ボクの愛犬ピノは、パピヨンのメス犬で、片手でも簡単に抱えられる小型犬だ。耳がやたら大きく、正面から見ると蝶が羽を広げているように見えるので、フランス語で蝶の「パピヨン」の名がついている。お散歩する時は妙に大人しく、外では決して吠えることもせずに上品に振る舞うので、近所では人気者。しかし家の中ではやたらうるさい、外面ばかりいい
2021年1月14日 13:48
ピノとお散歩シリーズ その2そう、あれはジングルベルが聞こえてくる頃のお話。今回は「聖夜のお別れ」という物語。「おいくつになるんですか?」ボクは、目の前の女性に尋ねた。「もう15歳にもなるんですよ」「へーそうですか。とても見えませね。まだまだ元気そうだし」「昔は毛がもっと濃い茶色だったんですが、これでもかなり白髪が増えたんですよ」その「コタロウ」という名の中型の柴犬は、いつも穏やかで
2021年1月13日 17:57
ピノとお散歩シリーズ 第一話ピノとジーザスは、たった一年しか遊べなかった。 ボクの家で犬を飼い始めたのは、志望の高校に受かった娘から、せがまれたのが始まりだった。娘は、インターネットでパピヨン専門のブリーダーを探しだし、生後三ヶ月のメスの子犬の予約までしている。毎日散歩して世話をするんだよというのが、娘との初めの約束。あれほど熱心だったので、当分の間は世話をするだろうと思っていたのだが、そ