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六畳一間

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輝いて

輝いて

深く沈む夜に愛を
昇りゆく朝に昨晩の夢と欠伸を
遠くに泳ぐ雲を横目に歩く
あっという間に
輝いたままの太陽の輪郭が溶けだす
手のひらで隠す
今日の夢はあなたがいい
揺れる煙を追いながらそう思う
いつの日かの朝日に恋心を抱けるように

スター

スター

笑ってくれよスター
特別な日を普通にお祝い
普通の日を特別に変えて

見えている世界は当たり前に違うけど
君は間違いなく僕の世界のスターさ

笑ってくれよスター
不思議な引力が作用したんだ
出逢えたのは間違いじゃないよな
運命は必然だって

次の流星群は何年後なのか
くさいこと言ってもいい?
流星群が100年後だとしてもさ
僕にとって君が一等星なんだ

笑ってくれよスター
素直なラブレターは届けら

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教室

教室

昼下がりの悪魔

不均等に並ぶ机といくつもの染色体

異物として浮遊するこの空間の中で

嫌味たらしく僕の指先を掠める陽光の名残

揺られる稲穂は穏やかにその音を風に同化させる

それらを包み込む暖色のカーテンから逃げ出した風塵

目を閉じる

船を漕ぐ

この誘惑の名前は

始まりの時

何もかも終わりにしたかった

何も持たずに飛び出した家は段々と遠ざかる

街明かりに目もくれず

速くなる鼓動と息は私の背中を強く押した

橋の真ん中までひたすらに走った

そこに立った私は思ったの

この世界に終わりを告げるのは私であると

孤独も何もかもおいて

飛び立とうとする私は

春の綿毛や花火の火種が落ちる瞬間や

紅葉が影に揺れる時間や白い息が雪雲に紛れる時

それらと同じように

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幸せの在処と僕らの存在論

絶望を目の前にした今、私が立っているこの場所は
自信を持って、正しい場所だと言えるだろうか

かき集めた思い出の欠片は
一粒の涙より小さく粉々になってしまった

どうして感情が溢れかえって来ないのだろう
隠したわけではないのに、現れないのはなぜなの

僕らは
何を原動力にして生きているのか

右手に握った絶望で
左腕にいくつもの線を走らせる

ドクドクと脈打つ速度とともに
無色の涙が音を立てずに滴

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3%の愛情表現

3%の愛情表現

一方通行な愛の重さは、愛情表現に影響するが
行き止まりの愛の温度は、温まることを知らない

飲んだアルコールが口から零れてしまう程のキスは
3%なんて嘘だと思うほど私を酔わせるし
見つめあえたらそれが君の合図だと知った

どうしようもない私に彼は笑みを浮かべるから
彼のためにバカなフリをするのも悪くはない気がする

そう思ってしまった時点で
私は彼のテリトリーの中に存在することを
望んでいるという

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花言葉を知らずに愛したその花は

紫色のクロッカスの花言葉は「愛の後悔」らしい
君と何度もの季節を循環するこの場所に立って
具現化されない愛について語り明かす夢を見た

明日は一体何者か
君は一体何者か

尊い言葉はさらさらと流れる川に流され
憎い感情はその存在をただ強く滞在する

幻想に恋をして痛みを知らずに散りゆく運命
「この世には絶望しかなかった」と
愛されぬままこの命を手放したいと願う日々

退屈な日常を巻き戻す様に夢の中

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1000年後の君へ

夜空を見上げれば無数の星
あの地平線を辿ればいくつもの街
音を追いかけ速度があがる足並み
水のように滴る感情の可能性

全ての出来事に価値を見出さなきゃいけないし
積み上げた経験の中で成長しなければならない
明日は何が起きるか分からないこの世界で
後悔がないようにと思いながら
無駄に過ごす一日の先には何があるのだろうか

指定難病を患っているあの子は
誰かが笑っている姿を見るのが自分の幸せだと信じ

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4:29

目の前には大きな壁だらけ
実力も才能も何も持ち合わせていないから
自由という正義にただ憧れを抱くだけ

寂しいのはきっと秋のせい
そうやって色んな感情を色んな出来事のせいにして
「私」という存在を守るしかなかった
いや、それしか方法を知らなかった

どれだけ取り繕っても、最終的に残ったのは
空虚な心だけで
自分が辿ってきた道筋さえも
無意味なものだったと決めつけてしまいそうだ

乱れる生活習慣は

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孤立した街

孤立した街

水に浮かべた緑をみつめる
遠い空で泳ぐ雲を羨ましいと思う
テレビの音を鬱陶しいと感じた
真っ暗な部屋でひとり泣いてみた
6畳の憂鬱

手を伸ばしても届かない理想
苦しいばっかの毎日で迷い込んだ道
溢れんばかりの様々な感情たち
掬いとって大切にするきらきらの思い出
帰り道の星

窓から見える一面の灰色
私の中から消化された大切な記憶
心の真ん中から片隅へと流れる
軽やかな音楽と変わりゆく道端の色

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