見出し画像

マスクとメイクのインサイトまとめ【全体像】 とSNSインサイト解析手法

 あらためて今回のレポートについて。
今、withコロナ、Afterコロナについてさまざまな分野からの研究や提言がなされています。
社会構造変化を読むマクロなアプローチに対して、「SNSインサイト解析」は生活者視点からのアプローチ。今回は「マスクとメイク」を生活者欲求探索キーワードとして、美容・化粧品コスメ市場のwithコロナ、Afterコロナに迫りました。

インサイトの全体像〈価値マップ〉

画像4


上の図が「マスクとメイク」インサイトの全体像〈価値マップ〉です。

オレンジのカード(枠)が「キーインサイト」、濃いブルーのカードが「欲求カード」。「欲求カード」はツイートから生活者の欲求をインサイトの原型として要約したもので「インサイト候補」とも言えます。
また「生活者欲求=市場における生活者視点での価値」とみなして、それぞれのカードを意味的に繋いで可視化したこの図を〈価値マップ〉と呼んでいます。

インサイトはこれから狙うべき市場を生活者サイドの言葉で規定したものです。「これから狙うべきは〇〇市場です」の「〇〇」にどのカードの言葉が入れば、あなたやあなたの会社はアイデア刺激を受けるでしょう?
少しゆっくり上の価値マップを眺めながら、あなたの目を引いたカードを選んでみてください。

・「アイメイクで頑張る」市場を真正面から追いかけてみたい
・ いやそれよりも「メイクのモチベーション下がる」市場はどうだろう。
  解決策の幅が広そう

・「スキンケアにウェイト」市場、そのなかでも「表情筋も死んでる市場」   がユニークかな
・「すっぴん磨く努力も限界」市場、これはもしかしたら大きく育つかも

インサイトであるかそうでないかの判定基準に「新しい商品や事業、プロモーションを始動するか、そのアイデアを刺激するか?」ということには触れました。
もうひとつ「”〇〇市場”と名付けた時に、インサイトの〇〇が納まる言葉か?」という判定基準も可能です。生活者の欲求が、セグメントになり、
1つの市場を形成するかという判定です。

「マスクとメイク」は、かなり広い探索キーワードです。
もっと広いキーワード、仮に”「車」のインサイト” をイメージしていただければ分かるでしょう。
広いテーマのSNSインサイト解析は第1次探索とみなして、そこで見つけた「アイメイク 頑張る」「メイク モチベーション」「表情 活きてる 死んでる」などの第2次探索を行います。

実際のインサイトの探索キーワード選定は、結果から何をしたいか、その目的を明確化することが必要です。”「  」のインサイト” を見つけたいならば、見つけてどんなことをしたいか、できるかとセットで考える必要があります。
何をしたいかには、自社事業のビジョンやミッション、強み、現在の戦略、今後の計画などが絡んでいきます。既存市場か新市場か、既存商品のプロモーションなのか商品そのものの改良なのか、新ラインの形成なのかの視点も重要です。

また、これらのインサイトは最初の仮説段階なので、次段階のPDCAとしての検証調査(インサイト深堀のための定性調査、市場性を見る定量調査)も準備した方が良いでしょう。
その際、定量調査で気をつけたいのは、インサイトをただ質問の選択肢にすると、潜在ニーズであればあるほど下位評価になることです。それでもターゲット属性を見つけるなどの成果は得られますが、いずれかの検証段階で潜在ニーズはソリューションアイデアとのセットで評価を得ることが求められます。

SNSインサイト解析の流れ
~81,162件のツイートからインサイトを発見する

この価値マップに至った「SNSインサイト解析」手法について補足的に触れておきます。

「SNSインサイト解析」は、SNSに表れる生活者の声を観察し、定性分析の手法で、インサイトを表出させます。マーケティング調査では最初の仮説を導き出すエスノグラフィー調査と同じ位置づけになります。

今回の検索ワードは「マスク メイク」。4月17日~5月18日の1か月間で81,162件。以下の3つはツイート例です。
「質問に答える」というバイアスのかからない、「自己顕示」というフィルターも少ないSNS、ツイッターならではの本音の魅力が感じられます。

SNSインサイト解析の流れは
❶検索ワードの決定とツイートの取得
❷スパムや重複ツイート、アフィリエイトなどの削除~有効ツイート
コンシューマーインサイト素材テキスト抽出(500~3,000テキスト程度)
欲求カード化(約80枚)
❺価値マップ作成
です。

❶の検索ワードの決定で気をつけることは、求めたい課題は何かの明確化と、知りたいことを生活者のふだん使う言葉に置き換えることです。例えば「コロナ 化粧品」で検索しても有効なツイートは少ないでしょう。

実際のSNSインサイト解析の受託業務では、この時点で
①商品開発、事業開発、店舗開発などのコンセプトづくり
②広告販促コミュニケーションなどのコンセプトづくり
どちらにウェイトがあるかを確認します。抽出する素材テキストが違ってくるからです。

❸❹は、SNSインサイト解析の要です。これまでテキスト・マイニングによる定量的なインサイト解析手法はありましたが、定性分析プロセスは世界で初めて体系化された手法です。

❺の価値マップ作成は、専門アナリストが行います。
通常、「分析」はデータの外の情報を可能な限り使わずに、データ内から読めるものを突き詰めていきます。

SNSインサイト分析と言わずに、SNSインサイト解析と呼ぶのは、「欲求カードの価値マップ化」「キーインサイト抽出」作業には、欲求カード内での分析だけでなく外枠としての分析フレームが必要だからです。外枠は主に、社会構造変化やメガトレンドとの照合で、それらの潮流に照らしながら欲求カード分析を行います。
そういう意味で分析でなく「解析」としています。(分析も解析も、英語にすれば同じアナリシス analysis です。)

付:(この号のみをご覧になった方へ)各キーインサイトの意味については以下で見られます。
4つのキーインサイト
①アイメイクで頑張る
②時短メイクが嬉しい
③リップメイクが出来ない
➃スキンケアにウェイト

また、インサイト解析に興味を持たれた方へ
次のテーマは「テレワークのインサイト」です
スタートしたばかりですがぜひご覧になってください。
(金)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?