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withコロナ「マスクとメイク」のインサイト ②時短メイクが嬉しい

アイメイクで頑張るの次に見るキーインサイトは②時短メイクが嬉しいです。
時短が嬉しいはマスクとメイクのインサイトとしては少し異質な感じがしますね。
このインサイトは、定量的なSNS分析ではほぼ出にくい、定量調査では設問から抜け落ちる可能性のある希少なインサイトだと思います。

withコロナとメイクについての化粧品メーカーの調査を見てみる

KISSME(キスミー)ブランドで知られる株式会社伊勢半、このところ「ヒロインメイク 」↓ が頑張っています。創業1825年(文政8年)の大老舗。
その伊勢半が、”「新しいライフスタイルとメイク」に関する意識調査”を発表しました。
コロナ禍とメイクの関係の消費者調査では、最もよく整理されたものの一つだと思います。

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この調査では主に「テレビ会議」や「マスク着用」「自粛期間」の切り口で、コロナ禍でのメイクの意識変化を尋ねています。

「Q8.マスクの着用時のメイクで意識していることはありますか?」では、「すっぴんに見えないように」「目がバッチリ見えるように」「メイクが落ちないように」など、なかなか考え抜かれた選択肢が並びます。
下位ながら「重たく見えないように」「シャープに見える(細く見える)ように」など顔全体印象を聞く選択肢、さすがにメイク心をよく知っていますね。

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「Q9.マスクの着用で困ることや悩みは何ですか?」では
「マスクの中が蒸れる」「メイクが落ちる」・・・など。このうち5番目の「肌が荒れる」は、キーインサイト④スキンケアにウェイトに通じる重要な選択肢です。

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しかし、このような設問、選択肢から、キーインサイト②時短メイクが嬉しいは、おそらく抜け落ちる可能性が高いでしょう。それは、投げかけられる質問Qの外にある消費者欲求だからです。
そのような、意図した質問からは抜け落ちそうな欲求は、観察調査やオープンクエスチョンのインタビューなどバイアスができるだけ掛からない調査で拾い出すものですが、問われずに語るSNS、特にツイッターでの含有率は当然高く、消費者インサイト発見に最適のプラットフォームと言えます。


キーインサイト②時短メイクが嬉しい、その心は

②時短メイクが嬉しいに連なるインサイトは以下です。

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それは、「見えるところだけメイクするから」「目と眉だけ」「目から下はノーメイク」というそのままストレートなインサイト群と、「ベースづくりの時短」になって「意外に悪くない」というインサイト群、そして「化粧しなくなった」という3つのインサイト群に分かれます。

「見えるところだけメイク」のインサイトはキーインサイト①アイメイクで頑張ると近似ですが、今は時短と結びついていません。
「①アイメイクで頑張る×②時短」から新しい提案が生まれる余地があるのは前稿でも述べました。

ベースづくりの時短については、マスクをするとベースづくりの時間がどうして短くなるのかという点が「見られないから手を抜く」以外、もう一つはっきりしませんが、それはキーインサイト④スキンケアにウェイトで明らかになります。

「マスク着用経験が化粧しない人を生んだ」というインサイトは、言われてみればそうかもと納得できるインサイト。コロナ禍で、ノーメイク派になった人たちが今後、どのようになっていくのか、マスク着用頻度が落ちてきた時の動向に注目です。

このキーインサイト「時短メイクが嬉しい」は、化粧品の仕事に携わっている方は既にお気付きのように、オールインワン化粧品などコロナ禍以前からある市場トレンドです。このトレンドは女性の社会進出、忙しく働く女性の増加というメガトレンドに支えられています。そして、このメガトレンドは、市場のみならず社会のあり方を変えてきました。
マスクメイクでの時短メイクが嬉しい経験は、withコロナだけでなくAfterコロナにまで影響を与えるキーインサイトとなる可能性があります。
時短メイクは商品だけでなくメイク方法、売り方まで関係するトータルソリューション・テーマと見ると新しいアイデアが出るかもしれません。


さて、次号キーインサイト③リップメイクが出来ないです。
マスクをしていればリップメイクをしない人がいるのは、これまた、極めて
普通のことでは、という方もいるでしょう。
リップメイクが出来ないことが、実は意外なニーズを生み出します。
(金、富樫)


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