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コーヒーと考察 Vol.11 - フィギュアスケートと音楽

~ トゥルソワ選手の演技を観て ~

なぜかふと北京オリンピックの事を思い出し、昨日のフィギュアスケートのフリーの演技をテレビでぼーっと見ていました。

最初に断っておくと、僕はフィギュアスケートのファンというわけではありません。でもなぜか気になってしまう競技です。

テレビすらつけることは滅多にないのですが、思い立ったのだから何かの縁。ただぼーっと見ていました。

そんな中で気になったのがプログラムで使用される音楽。僕の中ではフィギュアスケートで使われる曲=クラシック音楽のイメージがどうしても強くあるのですが、ロシア(ROC= Russian Olympic Committeeで出場)のトゥルソワという選手の演技と使用楽曲がそのイメージを変えてくれました。

どんな楽曲だったかというと、なんと I Wanna Be Your Dog です。まさかフィギュアスケートでこの曲を聞くとは。 原曲のThe Stoogesのものじゃなさそうだけれど(画面越しにはっきり音楽が聴こえた訳ではないので)間違いなく I Wanna Be Your Dog。

イギー・ポップ(The Stoogesの中心人物)だってワォですよ。そして彼女の演技は誰よりもロックしていました。

この瞬間フィギュアスケートとプログラムでの音楽のマッチングのすごさを感じてしまったんです。

そうなると気になってしまう性格。フィギュアスケートのプログラムで使用する音楽について調べてみました。

↓例えばUSA TODAYのサイト。ここには、男子で金メダルを勝ち取ったネイサン・チェン選手の言葉がありました。

There's also the obvious: When you pick a song for a program, you're signing up to skate to it almost every day, for months at a time.
"You hear this music every single day. You do the same motions every single day," said Olympic gold medalist Nathan Chen. "So if something that is not fun to skate, it becomes kind of a chore for a period of time."
プログラムで使用する曲を決めたら、ほぼ毎日、何か月もその曲でスケートすることになります。”その音楽を来る日も来る日も聞くんです。その曲に合わせて毎日毎日同じ動きをするのです。だからその曲でスケートするのが楽しくなければ、それは一定期間こなすただの作業になってしまいます” こう金メダリストのネイサン・チェン選手は言っています。

そのような言葉を踏まえると、 I Wanna Be Your Dog を選んだトゥルソワは来る日も来る日も恐らく自身の内側に宿る怒りやストレスなどの負の感情をリンクでこの曲と共に発散していたのではないかと思えてきます。

そんなトゥルソワ選手が今回に向けてフリーのプログラムで I Wanna Be Your Dogを使うことになった流れを想像してみます。

トゥルソワ選手は犬が大好き ⇒ 101匹わんちゃんも大好き ⇒ SIAに出合う(その姿に101匹わんちゃんの悪女役のクルエラ・ド・ヴィルだ!となる)⇒ エキシビションでプログラムに取り入れる⇒ 2021年、映画Cruellaが公開 ⇒ 映画中で使用されているザ・ストゥージズの I Wanna Be Your Dog のJohn McCreaカヴァーをプログラムに取り入れることを振付師である Daniil Gleikhengauzと決定 ⇒ フリーで使う

こんな感じなのかな、と。

↓間違いなくトゥルソワ選手も観たであろう2021年公開の映画「クルエラ」。

↓2019年のエキシビジョン時のトゥルソワ選手。(Wikipediaより引用)

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↓2019年のエキシビジョンで使用した曲はSIAUnstoppableでした。

↓101匹わんちゃんのクルエラ。

トゥルソワ選手は自分のスケートを考える過程において、自身の性格や好み、そして自分のスケートスタイルがクラシカルなものよりもよりロックな方が合うことを自覚したのではと推測します。(2018-2019のシーズンではKill Bill サントラの布袋寅泰さんの楽曲も使っているし)

101匹わんちゃんだって悪役のクルエラがいなければ成立していません。トゥルソワ選手はそんなところまで考えていたのではないでしょうか。

みんながみんな陽ではない。陰があるから陽がある。

そんな風に考えながら昨日のプログラム~プログラム後の彼女の姿を思い出してしまいました。

ニュースによれば、彼女は演技後にかなり感情的になり取り乱していたようです。そりゃ金メダル欲しかったですよね。

でもトゥルソワ選手に伝えたい。全くフィギュアスケートのファンでもない僕のような存在でもはっきりとわかる魅力があって、それは世界中に伝わったんだよと。

それはもちろん演技のすごさもありますが、やっぱりロックしていたから。かっこいいよ。

The Stooges - I Wanna Be Your Dog

So messed up, I want you here
In my room, I want you here
Now we're gonna be face-to-face
And I'll lay right down in my favorite place

And now I wanna be your dog
And now I wanna be your dog
And now I wanna be your dog

Well, come on

And now I'm ready to close my eyes
And now I'm ready to close my mind
And now I'm ready to feel your hand
And lose my heart on the burning sands

And now I wanna be your dog
And now I wanna be your dog
And now I wanna be your dog

Well, come on

Woo
Uh
Uh

彼女にとってこのYou、Yourは愛しのペットの犬、愛しの人だったに違いないと思います。

今は歌詞の冒頭にあるように、So messed up(めちゃくちゃ)な状態だろうけれど、サーシャ(トゥルソワ選手の愛称)、応援しています。

早死にすると誰しもが思っていたであろうイギーポップはいまだにロックしている。

トゥルソワ選手も I Wanna Be Your Dog を選んだからには、スケート界のイギーになってほしいと切に願います。そういう宿命ってありますよ、本当に。

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西の空を見上げていました。夕暮れ時の美しさ。こんな夕暮れがあるのだって受け止めてくれる夜がちゃんとあるから。

金曜日。なんだか気持ちが俯き加減です。こんなときはまた詩集でも読もう。

皆さん、良い夕べを。

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2月18日 オノ・ヨーコ(1933年 - )この日生まれた東京出身の前衛芸術家、音楽家、平和運動活動家。イギリスのシンガーソングライターでビートルズのメンバーだったジョン・レノン(1940年 - 1980年)と結婚。

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