マガジンのカバー画像

【連載小説】突然,覚醒しちゃいました

22
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑩

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑩

休みの日には神社仏閣参拝に行くようになった。鳥居から神社の境内に入ると結界が張ってあるのを感じた。強制的にチャネリング状態になり天地創造なのかこの世の終末の映像が思い浮かぶ。神社の境内は古代のエネルギーを感じる。本殿の近くで御祭神の須佐之男命とチャネリングをすると、優しく微笑んでいる姿が見えた。これが神様との初めてのチャネリングだった。

別の日にはお寺の仏像とのチャネリングに挑戦してみた。本堂に

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑨

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑨

山田農園で働き始めて1年、畑を5か所任されるようになった。作業にも慣れて帰宅後に趣味や読書をする余裕も出てきた。霊は相変わらず見えていたが、スイッチを切る方法が分かった。最初のうちはいつも同じ場所に霊が見えたり、窓から覗いている霊がいたりしたけれど、いつものことだし何も危害を加えないと思って気にしなくなったら見えなくなってきた。霊が見えるようになってから、霊感が強い方の苦労が分かった。あれだけ霊感

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑧

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑧

研修の最後に食堂で社長面接があった。
「山本君、無農薬農業大変だったろ、できそうか?」
「はい社長頑張ります」
「最初のうちは先輩方からなんでも教わって、慣れてきたら畑を任せるから頑張れよ、そのうち独立もできるからな、そうなったら好きな場所に移住すればいい」
「はい社長頑張ります」
「じゃー来週からでも住み込みで働いてもらうけど大丈夫か?」
「はい、帰ったら早速準備します。また来週からお願いします

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑦

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑦

ネットで検索すると、無農薬の農業は会社としてやっているところが多いようだ。手間がかかり、収穫量も少ない農業なので野菜の金額も高くなる。その為スーパーに並ぶことは少なくレストランと直接契約しているようだ。
求人を募集しているところを見つけ応募すると2日間の研修を受けることになった。家から高速道路で2時間の農村にある本田農園という会社だ。9時に山田農園に着くと、会社で作っている季節ごとの野菜の説明を受

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑥

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑥

「お世話になりました、ほかにやりたいことが見つかりましたので退社します」
「そうか、がんばれよ」
会社に行って上司に退社する事を告げたが、こんなにあっさりと辞められるとは思っていなかった。何か寂しい気持ちになった。僕の代わりなんていくらでもいるんだ。
「本当にやめてきたの?どうするの明日から、お金がなけりゃ生きられないのよ早く仕事見つけなさいよ」
「大丈夫だよ、貯金があるしそんなにお金も使わないし

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑤

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑤

退院してから一週間、営業職で働く意欲は無くなっていた。今考えれば成績を上げる為に、テクニックを使って成約することもあった。法律的には問題ないのだが、だましているようで本当はやりたくなかった。効果が変わらないのに高いものを販売したり、必要のないんものを販売したり、会社の利益ばかりを考えて営業をしていた。だからいつもキャンセルのなるのが怖かった。クレームにもいつもビクビクしていた。
これからは競争もし

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました④

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました④

家に帰り今後について考えていた。見慣れた部屋だけど、ちょっとだけ変わったことがある。死んだおじいちゃんが僕のベッドに座って微笑んでいるんだ。こんな時はお笑い番組で笑って落ち着こう。
テレビには漫才が映っていた。しかし次の瞬間、海外らしい場所での地震の映像が目に映った。テレビ画面が変わったというのではなく、頭の中で強制的に地震の映像を見せられたという感じだ。海外のビルらしき場所が大きく揺れていた。建

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました③

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました③

「さとる、もう退院していいって、結構あっさりとしてるよねベッドが足りないのかしらね、まーあなたは車に轢かれたわけではなく転んで頭を打っただけだからね、意識さえ取り戻せば健康で怪我もないしね、念のため仕事は一週間休んだほうがいいって看護師さんが言ってたよ」 
「ありがとうお母さん、ちょうど働く気がしなかったんだ。あれだけ営業成績トップを狙って頑張っていたのに性格が変わったのかな。競争心がなくなちゃっ

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました②

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました②

「お母さん、あの小学生の男の子は誰?」
「何言っているの?ここには2人以外誰もいないよ」
どうやら僕は霊が見えるようになったらしい。
臨死体験により霊的覚醒が起こるというけれど、僕はそれを体験しているみたいだ。
「じゃーお母さんはナースセンターに起きたって言ってくるね」
頭を打つ前から今までの記憶がないのに、彼女に振られたのは覚えているなんてどういうことだ。もうちょっと前から記憶がなくなっていたら

もっとみる
【連載小説】突然、覚醒しちゃいました①

【連載小説】突然、覚醒しちゃいました①

彼女に振られて生きる意味なんてない、もう死んでやる。僕は車に飛び込んだ。「ガシャーン」

「あれ、ここはいったいどこだ?」 

僕は病院のベットで目覚めた。なんだったんだ今の夢は、あれが三途の川ってやつか。というかなんでここにいるのだろう。分からないことだらけだ。彼女に振られたことまでは覚えているのに、そこからベットまでが思い出せない。

「さとる、起きたの?心配したのよ」

「ごめんお母さん、な

もっとみる