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【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑥

「お世話になりました、ほかにやりたいことが見つかりましたので退社します」
「そうか、がんばれよ」
会社に行って上司に退社する事を告げたが、こんなにあっさりと辞められるとは思っていなかった。何か寂しい気持ちになった。僕の代わりなんていくらでもいるんだ。
「本当にやめてきたの?どうするの明日から、お金がなけりゃ生きられないのよ早く仕事見つけなさいよ」
「大丈夫だよ、貯金があるしそんなにお金も使わないし、仕事の目星はついているんだ」
「前に言っていた農業ね、大変よ農業は」
「やってみたいんだ、人生を変えたいんだ」
「そう、やってみればいいんじゃない。お父さんにも言っておきなさいね、明日帰ってくるから」
なんだかんだ言ってお母さんはいつも味方になってくれる。お父さんは月に1回単身赴任先から帰ってくる。あまり会わないから相談したこともなく、決めたことを報告するくらいだった。
翌日お父さんが帰ってきた。
「お父さん会社辞めて農業をやりたいんだ」
「そうか、さとしの好きにすればいいんじゃないか、元気でいてくれればいいんだ」
なんか反対されないと寂しいな、信じてくれているということなのかな。でもこれで先に勧める。新しい人生が始まるんだ。

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