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【連載小説】突然、覚醒しちゃいました⑧

研修の最後に食堂で社長面接があった。
「山本君、無農薬農業大変だったろ、できそうか?」
「はい社長頑張ります」
「最初のうちは先輩方からなんでも教わって、慣れてきたら畑を任せるから頑張れよ、そのうち独立もできるからな、そうなったら好きな場所に移住すればいい」
「はい社長頑張ります」
「じゃー来週からでも住み込みで働いてもらうけど大丈夫か?」
「はい、帰ったら早速準備します。また来週からお願いします」
実家に帰りお母さんに無農薬農業で働くことを伝えた。
「お母さん、来週から住み込みで働くことが決まったんだ」
「そう、寂しくなるわね、農業頑張ってね」
住み込みでの農業生活が始まった。契約レストランに10時には納品しなければならないので、朝は4時起きで働く。日によってはもっと早い時もある。その為、早く寝なければいけないので夜は9時には寝るようになった。テレビも見なくなったしスマホを見る時間も無くなった。
農業は肉体労働で、中腰の作業が多いからずっと腰が痛い。仕事が終わるといつも日帰り温泉でゆっくりする。夕方4時くらいに旅館の温泉に行くと、背中に入れ墨のある野菜のトラック運転手によく会う。話を聞いてみると、元組員ということだった。夏でも長袖の野菜のトラック運転手はみんなそうらしい。

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