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現代の奇病—FoMOとは—

日本でスマホが普及してから早15年あまり。
今や電車の中、街中、どこに行ってもスマホを片手に持っている人だらけになりました。

ネットショッピングを始め、色々と便利になった反面、今まで存在しなかった新たな問題も生まれました。

そのうちの一つがFoMO(Fear of Missing Out)と呼ばれる疾病です。

今回は自律神経にも影響を及ぼすSNSの悪影響から、
新しい疾病概念であるFoMOについて深掘りしていきます。


FoMOとは何か


FoMOを直訳すると、「取り残されることに対する恐怖」となります。

自宅でダラダラしてる時にInstagramの投稿を見て、
他人の有意義そうな映え写真と今の自分を比べて、暗い気持ちになったことはありませんか?

タイムライン上に流れるファッションや音楽の情報を見て、自分がそれらを知らなかった時、
取り残されたような不安に襲われたことはないでしょうか?

学者さん達は、
「自分がいないところで他の人がやりがいのある経験をしているかもしれないという広範な不安」
をFoMOと定義したわけです。

ひと言でいうと、
スマホが普及してから生まれた現代の依存症ですね。

主に10〜30代の人がかかるとされ、進行すると鬱になることもあると言われています。

FoMOにかかった人は、
例え通知がなくても、何かに追い立てられるようにSNSの投稿を見てしまう、
という特徴があります。

論文の著者の言葉を引用します。

人々は今まで以上に、「他人が何をしているか」に関する多くの情報にさらされている。
その結果、
“自分は今十分なことをしているだろうか“
“自分らしい場所にいられているだろうか“
といった、絶え間ない不安に直面している。

後述しますが、SNSが登場して生じた最も大きな弊害は「他者との比較」なんですね。

FoMOは、SNSに対する異常な愛着の一種と考えられています。
その結果として、以下のような症状が現れます。

・睡眠不足
・生活能力の低下
・感情的緊張
・身体的幸福への悪影響
・不安
・感情コントロールの欠如

FoMOの診断基準


明確な診断テストではありませんが、以下の項目に当てはまる人は注意した方が良いでしょう。

・SNSで見たイベントに参加できないと人より遅れていると感じる
・使っているSNSの種類やアカウントが多い
・SNSの情報に影響される
・見るもの全てを写真に撮りたくなる
・自分に必要な情報や、勉強になる情報はあまり見ない
・休日でも常にメールやLINE、SNSをチェックする
・スマホの電波が通じないと不安になる

SNSの利点と欠点


スマホを使っている人の中で、SNSのアカウントを持っていない人を探すことの方が難しいでしょう。

それほどまでに浸透しているSNSですが、最近になってその弊害を指摘する研究が増えています。

そのうちの一つに、
メンタルに悪影響のあるSNSのランキングを調べた研究があります。

それによると、
不安や孤独感、睡眠の質やFoMOと関連してるSNSの順位は以下のようになっています。

1位:インスタグラム
2位:スナップチャット
3位:フェイスブック
4位:ツイッター
5位:You Tube

SNSを通じて仲間との交流が瞬時に望めるにもかかわらず、
若者はこれまで以上に孤独感や断絶感を感じている。

ということが判明しているわけですね。

他にも、
フェイスブックを1週間やめただけで幸福度がアップした、という報告や、
フェイスブックのヘビーユーザーほどメンタルに悪影響があった、といった報告もあります。

なぜでしょう?

SNSによって他者への妬みが増幅されたり、時間を無駄にしているという感覚が強くなるからだと言われています。

なかでもFoMOに罹患している人は、
SNSを広範囲に利用した後、既存の孤独感を悪化させる可能性があるんですね。

加えて、SNSに費やす時間は扁桃体の恐怖回路を活性化し、
孤独感や社会的断絶に対して脆弱になると考えられています。

孤独感を和らげるために使用したSNSが、かえって孤独感を悪化させるという点はFoMOの悪循環ですね。

加えて、
自己肯定感や有能性、他者とのつながりといった心理的欲求の充足度が低い若者は、FoMOのレベルも高いと報告されています。

一方で、
SNSを利用して幸福度が向上した人がいるのも事実。

そうした人たちは、
SNS上で積極的に投稿やメッセージのやり取りをしていたそうです。

高齢者もフェイスブックを通じて昔の友人と再会し、幸福度が上がる傾向があるようです。

いずれにせよ、
「暇だから」と各SNSを回ってタイムラインを眺めるだけの使い方ならしない方が良い、ということになりそうです…

FoMO を防ぐ7つの対策


最後に、FoMOにかからないための対策をいくつか見ていきましょう。
もちろん、スマホ依存になりかけの人にも効果があります。

❶ 1週間SNSにアクセスしない

一番効果があるのはこれです。
実際僕も試しましたが、1週間SNSを見なかったところで特に何の影響もありません笑
1週間ニュースを見なくても明日の行動が変わることがないのと同じです。

物理的にアクセスしにくくするのもオススメです。
僕自身、SNSのアプリをまとめてフォルダにして、スマホのホーム画面の一番奥に配置するようにしています。

いきなり1週間がきつい場合は、一日の中でSNSを見てもいい時間をあらかじめ決めておくと良いでしょう。

❷ 他人の人生と比べるのをやめる

誰しもSNSに投稿する時は多かれ少なかれ、映えを意識しますよね。
つまり、タイムライン上に上がってくる写真や動画は、どれも楽しそうに見えるわけです。

一方で、何となくSNSを開くときはたいてい暇な時です。
何も充実していないからこそ、暇つぶしにタイムラインを見る。

この二つの感情のギャップが、他者との比較を呼び込んでしまうわけです。

ですが、人と比べても良いことは一つもありません。
比べていいのは過去の自分だけ、という点を覚えておくと良いでしょう。

❸自分が持っているものに目を向ける

他人が持っているものを羨むのではなく、
いまの自分が持っているものに目を向けることが大切です。

それは健康な身体かもしれないし、良好な家族関係かもしれないし、仕事終わりのビールが味わえることかもしれません。

些細なことでも、自分が持っているものを意識するだけで感情や思考が前向きになる事が分かっています。

❹物質的なものに注目しない

お金やブランド品など、物に対して価値を置く人はあまり幸福度が高くないと言われています。

友人や健康など、お金で買えない価値を探してみるのもオススメです。

❺自分に満足する技術を身につける

自分で納得できるスキルを磨くことも幸福度を高める上で重要です。
たとえそれでお金が稼げなくても、自己肯定感を高めることに繋がるからです。

❻趣味に時間をつかう

効率や流行を追うのをやめて、時間を忘れて夢中になれる趣味を見つけることが重要です。

SNS上で他人の活動を追うのではなく、自分が主人公になれる趣味を見つけて没頭することが幸せになる近道です。

❼デジタルから離れて運動する

SNSやスマホから離れると幸福度が増すように、わずか10数分のウォーキングでも幸福感が得られる事が判明しています。

欲を言えば、
1週間に一日くらいは電子機器から距離を置いて、軽い運動をしてみると良いでしょう。

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