轉戦記 第4章 終戰編 復員①
プランチブリーで露営の一夜を送った翌朝、此の駅より一同は汽車に乗って、一路バンコックに向け列車は急ぐ。五月二十七日、バンコックの埠頭よりランチに乗り込み、沖に停泊して居る米軍輸送船、リバティV・O 六四号に乗船した。此の船は七千噸位いの船で、速力十五ノット。驚いた事には、此の船はリベットを使用してなく、総て熔接により建造されて居た。午前十一時愈々出発。長く、苦るしかった戦地とも、萬感の想いで別れを告げて、紺碧の海原を懐しの故国へ向けて船は辷る様に走る。舟は途中給油の為めサイゴ