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質問071:ボールはぼんやり見た方がいい?

吉田さん
 
ありがとうございます。 分かりましたのですが・・また質問が出て来ました。
以前、こんなことがありました。
普段コンタクトをしている(裸眼で0.4コンタクトして1.2です)ですが、うっかりと忘れてしまい、試合に出たことがあります。
 
焦りましたが、昼だし大丈夫だと思い試合に出ました。アップの時に、リターンのボレーがボヤケていたのですが、想ったよりも大丈夫でした。
 
結果は絶好調で6−0 次の試合は6−2、6−0 で翌日も、ワザと縁起をかついでコンタクトなして、6−0でした。 けれども、
翌週の試合では、相手はもとインカレのベテラン選手で、やはりコンタクトをしなければと思い、して・・不調でした。 僕は以前、動体視力の先生
オメガリスト・・?の本を読んだことがありました。 この先生は、ボールを直視すると身体に力が余計は言って良くないと言っておられました。
 
プロゴルフファーの方でパットの時に、メガネを忘れて、 結果が良かったと言ってました。 だから、ボールを見過ぎるな・・と・・先日もTVで石川りょう選手が、 ボールはぼやけてみたほうがいいんですよ!と言ってましたが、 吉田さんはどう思いますか・・?
 
「ボールをしっかり観て打て!」 と僕も指導されましたが、当然インパクトは観れない訳で・・フェデラーも僕の好きな選手のひとりですが、
インパクトに顔を残しているようでも、プロ選手の中ではフレームの多い選手です。
 
ボールを視すぎると言うことは、身体に力が入り、脳が過労すると思うのですが、 どうでしょうか・・?

回答

▶無心に至るには「一心」を通過する


視力の問題もありますから、どの程度見えるかは、人により差があります。
 
もう少し突っ込んでお話すると、ボールを見ることに集中するのではなく、ボールに集中するのです。
 
とはいえ、対象が何もないと、集中に至りません。
 
無心に至るには、「一心」を通過するプロセスが必要です。
 
そのための「ボールの見方」をご説明しています。

▶集中とは「具体的に何もの」なのか?

 
私たちは五感のどれかを通じて対象に注意を絞り込むと、集中状態に入ります。
 
テニスではとりわけボールをよく見る対象への注意の絞り込みが、集中力を高め、さしあたっては競技力の向上に最も向いているのです。
 
音楽家なら聞く、料理家なら味わう、アロマセラピストなら嗅ぐ、などでしょうか。

▶コンタクトレンズを忘れて調子が上向いた理由


ご自身が、コンタクトレンズなしのほうがいいプレーができたのだとすれば、極論かもしれませんけれども、むしろぼやけた見にくい状態をよく見ようとする力が働いたために、結果的にボールに集中できた、という筋書きはあり得ます。
 
ご自身も、コンタクトレンズを忘れたからといって、まさかボールを「おざなり」に見ていたわけではないでしょう?
 
見えないからこそ、よりよく見ようとしたのではないでしょうか?
 
そこは冷静に峻別する必要がありそうです。
 
私たちは、見えにくいものを見ようとするとき、聞こえにくいものを聞こうとするとき、匂いにくいものを嗅ごうとするとき、集中状態に入ります。
 
ですからテニスでは、単にボール「全体」を見るのではなく、その「回転」やフェルトの「毛羽」を、見えなくても見ようとする観察によって、集中力が増すのです。

▶ジェットコースータで「目をつぶる」と


筋書きはあり得る。

だからといって、せっかく見えるものを、あえて見ないようにするのはリスキーでしょう。
 
見えないと、「怖い」からです。
 
お化け屋敷がなぜ怖いか、ご存知でしょうか?
 
真っ暗闇だからです。
 
まったく同じシチュエーションであっても、白日のもとにさらせば、丸見えだから全然怖くない
 
ジェットコースターでも、怖いからといって目をつぶって乗れば、その怖さは半端ではありません
 
ところが目を開けて行き先を直視すると、怖くなくなるのです。
 

▶ボールを打つのが怖い人


テニスでは、ボールを打つのが「怖い」という人がいます
 
それは、ボールがハッキリ見えないから、「お化け屋敷効果」で、おっかなびっくりになるからです。
 
夜、こちらへ向かってくる車のヘッドライトが消灯していたら、怖くないですか?
 
ハッキリ見えないからです。
 
その恐怖心のせいで、体がすくんでしまう
 
またハッキリ見えないと、輪郭がぼやけて背景に溶け込むから、小さく感じたりするのもプレー上のマイナス。
 
換言すればハッキリ見えると、輪郭が背景から浮かび上がって映るから、ボールも大きく感じられたりするのです(参考記事:すぐにできる、ボールを大きく光らせる見方の実験

▶「直視」と「力み」に相関関係はない

 
オメガリストの先生が言うように、ボールを直視すると体に力が入るなら、技術力を上げればパワーヒットがかなう要素になりますし、仮にボールがハッキリ見えるせいで力んでしまうのだとしたら、これはまた別の対処となります。
 
直視することと、筋肉に力を入れることの間には、相関関係が脳にプログラミングされているわけではないからです。
 
鉛筆でも卵でも、直視したら何でも力が入るというのなら分かりますけれども、テニスボールのときだけよく見たら力が入るのだとしたら、その人に個別の、たとえば強く打ちたい思いが強すぎるなどのプログラムが、入力されています。

なので今回のコンタクトレンズをつけ忘れた件は、ボールがよく見えないから恐る恐るになって、動作が慎重になったぶん上手くいった、という解釈はあるのかもしれません。

そうであれば、ボールがハッキリ見えていたとしてもこちらでご説明しているとおり、スイングスピードを無理に上げようとせず、ラケット面の真ん中でタイミングよくボールを捉えるプレースタイルに改まると、より伸びしろがあるに違いありません。

▶ずーっとボールが見えている


おっしゃるとおり、インパクトは見えません。
 
インパクトはどんなに目を凝らしても、どんなに遅いボール、ゆっくりのスイングスピードであったとしても、人間の目で見ることはできません。
 
けれども、その前段階からのボールをよく見ておけば、弾道のイメージ予測が自然と働き、打点の位置にラケットを誘導できるようになります
 
イチローの背面キャッチなどがその一例ですが、弾道のイメージ予測を上手く働かせるには、やはり、ヒットしたりキャッチしたりする瞬間だけではなく、ずーっとボールが見えている前提が必須条件です。

https://youtu.be/SWAVD0N7bVA

「お化け屋敷効果」を思い出してください。
 
見えないものは怖い。
 
ですから、『新・ボールの見方』をすると、ボールを打つのが、怖くなくなるのです。
 

▶プレーが簡単になるのは当然


ハッキリ見えると、輪郭が背景から浮かび上がって映るから、ボールも大きく感じられたりもする
 
ゾーンやフローに入ったプレーヤーは、ゴルフならカップがバケツ大に見えたといい、バスケならリングがフラフープ大に見えたといいます。
 
そうなるともう、フォームとか関係ありません。
 
プレーが簡単になるのは、当然なわけです。
  
『新・ボールの見方』〜怖れのメガネを外して、ありのままに見る技術〜

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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