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質問003:サーブがゲームになると入らない

はじめてメールします●●と申します。
こんにちは。
サーブなんですが、練習では普通にはいるのですが
ゲームになると最近うまくはいりません。
いれなくちゃいけない!って考えすぎるせいでしょうか・・・?

回答


▶練習と試合は「別物」だから

 
このような問題を解決するときにしばしば、「練習から試合のつもりで、緊張感を持って打て」と言われるスポーツ指導があります。
 
だけどこれは、かなり難しい。
 
練習はやはり、試合ほど緊張しませんし、緊張できません。
 
また試合を練習のつもりでやるというのも、無理筋でしょう。
 
練習と試合は別物だからです。
 
やはり試合は、練習のときほどリラックスできない。
 
それができれば、一流のアスリートが大舞台で過緊張のあまり実力を出せなくなる、スポーツの醍醐味である「緊張感」がなくなります。
 

▶ノボトナの涙

 
思い出されるのが、1993年ウインブルドン女子シングルス決勝のシュテフィ・グラフ対ヤナ・ノボトナの一戦。

最終第3セットで女王グラフを4-1まで追い詰めながらも、優勝を意識し始めたノボトナのプレーには明らかに緊張感が見て取れました。

ミスを連発。

プロであっても勝ちビビる

グラフに5ゲーム連取を許します。

大逆転負けを喫したノボトナはケント公爵夫人キャサリン妃の肩を借り、涙し、慰められました。

その後、1997年の決勝でマルチナ・ヒンギスに敗れた翌1998年、三度目の正直でナタリー・トージアにストレート勝利し、悲願のタイトルを手中に収めたのでしたね。

そのノボトナも、もういません。

ですから私たちは、いつまでテニスができるか分からないのだから、出たい試合があれば、やりたい何かがあれば、今すぐやるのです。

「先取り」すれば、今すぐ幸せをすることができます。

▶できるのは「集中」

 
試合では、練習のようにリラックスできないし、練習では、試合のように緊張できません。
 
だけど、「集中」はできます
 
練習のときも試合のときも、同じような緊張はできないとしても、まったく同じとはいかなくとも、集中はできるのです。
 
集中状態に入れば、練習と試合との境界線が薄れ、残るは「ただサーブを打つ」という動作を機械的に遂行するのみです。
 

▶入れようとすると、入らない

 
「入れたい」「ダブったらどうしよう」「相手のリターンが怖い」など、言葉にならないまでも抽象的なイメージとしてこれらの雑念が、試合慣れしていなければ試合になると、湧きやすくなります。
 
ですから「いれなくちゃいけない!って考えすぎるせいでしょうか・・・?」という推測は、ご明察です。
 
集中することで雑念のざわつきが沈まれば、頭の中はクリアになり、打球タイミングやラケット面の真ん中で捕える精度が上がる結果として、試合でも、プレッシャーが比較的落ち着いている練習と同じように、入るようになります。
  

▶緊張は悪くない

 
ただし、緊張やプレッシャーが悪いなどと、ジャッジメントされませんように。

緊張するから、手のひらに汗がにじんでグリップ力が高まったり、心拍数が高まってダイナミックに動ける体になれたりします。

体の反応は実に精緻です
 
ですからリラックスしすぎても、集中状態には入りにくいのです。
 
プレッシャーとリラックスがハイバランスされたその暁に、究極の集中状態である「ゾーン」「フロー」があります。
 
その釣り合いはまるで、やじろべえ。
 
プレッシャーとリラックスのバランスが少し崩れると、揺れ動きます。
 
揺れ動くのは構わないのですけれども、揺れても持ちこたえられる柔軟性が試されます。
 

▶ボール突き、やらないプロはいない?


具体的なあり方、やり方としては、「プレーに入る前から集中」します。
 
打つ直前に集中しようとしても、時間の余裕がないので、難しいのです。
 
その点で、プロが行うサーブを打つ前のボール突きが有効です。
 
そういえば、私が知らないだけかもしれませんけれども、ボール突きをしないプロを、見たためしがありません。
 
落ち着くためのルーティンとして、トントントンとリズムを取るため、そして集中するためなど、選手によっていろんな意味合いがあるのでしょう。
 
とはいえ、ボール突きをやらない選手は恐らくいません。


▶集中は「反復」により深まる

 
集中には、「反復」により、その度合いが深まる性質があります。
 
たとえば皿洗い、窓ふき、タイピング、テトリスなど、そういう「単純作業の繰り返し」に、のめり込めるように私たちの心はできています。
 
ときには、始める前は億劫だったトイレ掃除に、時を忘れてしまうことすらあるでしょう。
 
掃除をやめようと思っても、やめられなくなる。
 
執筆を休もうと思っても、ペンが止まらなくなる。
 
そういうときの「心地よさ」というのは、誰しも体感されていると思います。
 
「フロー理論」を提唱した心理学者ミハイ・チクセントミハイは、日常生活におけるささやかな集中を「マイクロフロー」と名づけました。
 
「やらなきゃ……」というより、「やりたい!」「やめられない!」気持ちよさが伴います。
 
集中すると忌避されがちな仕事でさえ、寝食を忘れて楽しすぎて、のめり込むのです。
 
そして、本格的な「ディープフロー」へ導かれます
 

▶耳を澄ませば

 
ボール突きのススメ。
 
ボールのケバに見入ったり、バウンド音に耳を澄ませたりする。
 
集中状態に入ります。
 
たとえば4~5回程度を目安に、できれば10回程度、多めにやると効果を実感しやすいと思います。
 
ただし、タイムバイオレーションにだけは気をつけて、というオチ?

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ノバク・ジョコビッチがヒザの手術に踏み切った報を受け、一日も早い回復に祈りを込めて

頑張れノバク!


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