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詩/短歌/その他

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つれづれなる詩や短歌などの保管庫。
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記事一覧

【詩】救わない物語/生きていくのです

【詩】救わない物語/生きていくのです

救わない物語救われないから救わない
救われないなら救わない

有名人なら救うけど
お金持ちなら救うけど
インフルエンサーなら救うけど
それ以外の人は救わない

だって救われないのに救うなんて
馬鹿らしいじゃないですか
ボランティアじゃないんだから
みんな自分の事で精一杯なのに
馬鹿らしいじゃないですか

そうやって少しずつ
この国は、世界は
優しさを失ってゆく

神様の子供だった時代から
遠く遠く

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【詩】ギブアンドテイク/小瓶

【詩】ギブアンドテイク/小瓶

ギブアンドテイクgiveしてgiveしてgiveして
giveしてgiveして…

そしてやっと1回takeして貰える

それくらいの確率なんだ
ってことがいまだに分からない

馬鹿なあなたと馬鹿なわたしに冬がくる

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

小瓶整腸剤の入っていたような
透明な小瓶を差し出して
「この瓶に入るぶんしか
持って行けないのよ」
お母さんがそう言ったから

僕はその夜一

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【詩】濁/果て

【詩】濁/果て

濁わたしの中から
いったい何を取り除けば
あなたみたいな
澄んだ瞳になれるだろうか

⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰

果て遠すぎて見えないから
いつからか
目を凝らすこともやめて
考えることもやめて
そうやって日々をやり過ごす

見えないその場所で
少しずつ素晴らしいことが
始まっていても
少しずつ恐ろしいことが
膨らんでいても
知らん顔で日々をやり過ごす

【詩】去りし日/優しい

【詩】去りし日/優しい

去りし日台風が
僕の町に居座った夏の残りを
全部連れ去ってしまった
僕は慌てて
長袖と毛布を引っ張り出しながら
夏にさよならを言えなかったな
と少しだけ寂しく思った

・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚

優しい優しいお母さんになりたかったけど
振り返ると
優しいお嫁さんじゃなかったから
優しい女の人じゃなかったから
優しい女の子じゃなかったから

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【散文】日が暮れると安心する症候群4

【散文】日が暮れると安心する症候群4

山に登ってもいいけど私は助けませんよ

暗くなる才能

50キロ制限の道を
みんなが80キロで走るから
私もスピードを出した
きっともうすぐ私だけ死ぬ

後ろを走っているこの大型トラックは
私をぺしゃんこに潰そうと思えば
いつだってそうできるのだ
私は今、大型トラックに生かされている

美しさという威圧
聡明さという威圧

わかってるんだ
計算ずくの人間はかっこ悪い
計算できない人間はもっとかっこ

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【散文】日が暮れると安心する症候群3

【散文】日が暮れると安心する症候群3

幸せを受信するアンテナが
壊れているロボット
この社会ではそれを
「不良品」と呼ぶ

外でバーベキューしたい人たち
店で焼き肉を食べたい人たち
前者と後者を戦わせたら
圧倒的に前者が勝ちそうな気がするのは
なぜだろう
すでに僕らは気持ちで負けてるんだ
とぼとぼと炭を買いに出かける

嫌いなら嫌いと思っていいんだよ
ただ
それを周りに決して悟られてはいけない
うまく生きるためのアドバイスさ

三度の

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【散文】日が暮れると安心する症候群2

【散文】日が暮れると安心する症候群2

地を這っていたい私に
「どうして飛ばないの?
空はこんなに素敵なのに!」
と無邪気に笑いかける
圧倒的に正しい者たちの声
その声が煩すぎて
私は地に潜ってしまいたくなるのです

失敗者の叫びなんて
誰も聞いちゃいない

愛を教わらなかった子供が生み出せるのは
せいぜい愛もどき

他人を羨んで腹を立てたりしないけど
他人を羨んでるんだろうな、
と思われていることに腹が立つのです

私でごめんなさい

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【詩】そのまままつげ/あるよ

【詩】そのまままつげ/あるよ

そのまままつげまつげはくるんと上向きがいい
なんて
誰が言い出したのだろう

毎朝ビューラーで
必死にはさんで上げる
私のまつ毛は

それでも
夜には必ず下を向いてるというのに
下を向きたい、とこんなにも
主張しているのに!

今朝は下向きのまつ毛に
そのままマスカラを塗った

なんだ
フツーにかわいいじゃないか
今までごめんね

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

あるよ「翼があればよかっ

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【散文】日が暮れると安心する症候群

【散文】日が暮れると安心する症候群

良い大人であろうとしたけれど
私の中のダメな子どもがひょいと顔を出した

片付けても片付けても
僕以外のところから
次々ゴミが湧いてきて
もうどうしようもなく
全てが虚しくなったんだ

家族団欒を否応なく見せつける
盆と正月が大嫌いだった

鳴かぬならいらない
ホトトギス

糸はプツンとわかりやすい音を立てて
切れたりしない
気付いた時にはもうなくなってるんだ

ケガがきちんと治るまで
キズパワー

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【詩】自分らしさ/言葉の限界

【詩】自分らしさ/言葉の限界

自分らしさ誰にも言えない
自分らしさ
=暗さ

みんなにバレてる
自分らしさ
=暗さ

世界は意外とシンプルだ

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

言葉の限界そろそろ言葉の限界が近づいている

どんなに沢山の言葉を尽くして
この気持ちを定義した気になっても

次の瞬間には

もう気持ちはぬるりと移り変わって
道の向こうで僕をあざ笑っている

言葉では捕らえることのできない
この気持ちを

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【詩】パブロフの町/ゆれる

【詩】パブロフの町/ゆれる

パブロフの町毎週日曜日の夕方、ゴミ出しに出る。
ゴミステーションまでの道すがら、
ゴミ袋をぶら下げゆっくり歩きなが
ら必ず同じ事を思う。

「なぜ私はこの町にいるんだろう」

夕闇に染まる空と、左右に建ち並ぶ
住宅を見ながら、良いも悪いもなく
ただ純粋に毎週自然とそう思う。
きっとこれからも、この町のこの道
で、日曜日の夕方に、ゴミを捨てる
時。
その癖はもう条件反射のように私の
心の奥深く染みつ

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【詩】空白/物語

【詩】空白/物語

空白真っ黒い心のどこかに
まだ空白が残されているという
そんなおとぎ話を信じて
今日も僕は旅路を行く

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

物語現実が辛いと
映画や小説に逃げ込む

この国のどこかが舞台の
少し不幸で悲しみ漂う物語
辛いのは私だけではないのだと
主人公に共感し安心する

やがて
物語が終わる頃
主人公は愛を見つける
救いの兆しが描かれる
バッドエンドだとしても
死をもっ

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【やんなる短歌】まとめ⑤

【やんなる短歌】まとめ⑤

PCR検査 3首結果待つ病院裏の駐車場
空の青さがひとごとのよう

診断のついた瞬間 私を
彼岸此岸の川が隔てる

浅はかな昨日の自分が笑ってる
あとはお前に全て託すと

▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃

草むしり 1首必要であるかのようにそこに居る
私のような雑草を抜く

▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃

コロナ 3首「大丈夫みんな罹っているから」と
罹っていないあなたが笑う

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【詩】おかえり/祈り

【詩】おかえり/祈り

おかえりたとえどんなあなたでも
「ただいま」と
帰ってくれるなら
私は喜んで迎えるのだろう
それまで無意味に弄んでいた
スマホを放り出して
玄関まで小走りで
スリッパをパタパタと鳴らして

⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰

祈りねぇ
誰に祈っているの?
誰にすがっているの?
あなたの神様はあなたなのに