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【散文】日が暮れると安心する症候群4

山に登ってもいいけど私は助けませんよ

暗くなる才能

50キロ制限の道を
みんなが80キロで走るから
私もスピードを出した
きっともうすぐ私だけ死ぬ

後ろを走っているこの大型トラックは
私をぺしゃんこに潰そうと思えば
いつだってそうできるのだ
私は今、大型トラックに生かされている

美しさという威圧
聡明さという威圧

わかってるんだ
計算ずくの人間はかっこ悪い
計算できない人間はもっとかっこ悪い
===
幸せとか不幸せとか正直興味ないんよ

「(どうでも)いいですね」

この世には2種類の人間がいる
笑いながら殴ってくる奴
フツーの顔で殴ってくる奴

「もっとお前らもドス黒い所を見せろよ」
そう言って泣きながら
手当たり次第道ゆく人に掴みかかった

誰とも比べたくないから
目を閉じて耳を塞いだ

「嫌いな人が引っ越したら
嬉しいけれどどこか物足りない」
これを
人類共通の普遍的感覚に認定します

落ちながら光るツワモノ、流れ星パイセン
===
14時まで居座ることを決めた

家にも会社にもいたくないんだ、察してくれ

何者でもなく背景の一部になれる場所を
ひとつ、持っておけるといいね

水槽の魚を見るみたいに
行き交う人々を眺めている
そんな自分も
誰かに見られてるかもしれないけど
そんなこと気にする魚なんていないだろう

スマホの画面だけは覗き込まないでくれないか

ねぇ、たぶん、いじめられてる人は
“いじめられてる”って認識がないと思うの
だから
「いじめられてるあなたは悪くないから死なないで」
っていうメッセージは届きづらいと思うの
===
「みんなおんなじ流行の服を着て
まるでおんなじ部族みたいだね」
と言ったら
「そうだよ、おんなじ部族だよ、
お前以外はみんな、おんなじ部族だよ」
と言われて泣いた

夜が明けてくると
だんだん町のあちこちから
生活の気配が漂い始めて
僕は舌打ちをする

大事件は起こりそうにないけれど
ハートフルストーリーも起こりそうにない
そんな町在住

「私のお墓の前で泣かないで下さい」
って私も言ってみたかったよ

笑ってないで手伝って下さい

日が暮れると安心する症候群

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