【詩】救わない物語/生きていくのです
救わない物語
救われないから救わない
救われないなら救わない
有名人なら救うけど
お金持ちなら救うけど
インフルエンサーなら救うけど
それ以外の人は救わない
だって救われないのに救うなんて
馬鹿らしいじゃないですか
ボランティアじゃないんだから
みんな自分の事で精一杯なのに
馬鹿らしいじゃないですか
そうやって少しずつ
この国は、世界は
優しさを失ってゆく
神様の子供だった時代から
遠く遠くかけ離れてゆく
最終的に、あなたも、私も、
誰も救わない物語
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰
生きていくのです
重い足を引きずって会社へ向かう途中
遠くの山に雲間からさす光が見えた
その途端、
大きな地球から見たら
自分の悩みなんて
本当にちっぽけなものだという
ありふれた真実に思い至って
涙が不意に溢れたけど
会社に着いてしまえば
そのちっぽけなはずの悩みに
相変わらず魂を削られている
そんな日々を繰り返して
時々泣いて時々笑って
相変わらず
遠くの山に雲間からさす光が
見えたり見えなかったり
そうして
今日が遠い昔と呼ばれる日まで
生きていくのです
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