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【未来デッサン】 ビジュアルドリブンでビジョン実現の推進力を高める


テクノロジー、社会、経済、金融、政治、衛生など、企業をとりまく環境の変化は、これまでの当たり前を猛烈な勢いで揺さぶり、変化を迫り、その変化のスピードは年々増しています。

そんな著しい外部環境の変容に晒され、市場予測がしにくい状況もあり、昨今、企業経営の拠り所としてMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に代表される企業理念の重要性が声高に叫ばれています。

特に、中長期の組織の将来像を示す「ビジョン」は、事業を推進するにあたりパワフルな存在として期待されています。「不確実性の高い未来像を中長期のビジョンとして構想し、自らの価値観に則りながら、バックキャストで足元の活動を試行錯誤していく」そんなケースが増えていると感じます。

■「ビジョン」が推進の原動力として期待されるシーン(例)
・既存事業の延長線に囚われずに会社の未来を考える
・新規事業の取り組みを模索する
・既存ビジネスとは異なるバリューチェーンやエコシステムの構築を目指す
・企業文化の異なる協業先と連携を図っていく
・新しいワークスタイルを確立する
・合併や統合などで持ち寄る価値の可能性を描く
・経営層の直観をビジネスに転換する
など

しかし、既存事業であれ、新規事業であれ、新規の商品・サービスカテゴリーであれ、「ビジョン」を掲げる際に、抽象度の高い言葉やマーケティング的な概念に留まっていることが少なくありません。

目指すべき未来が現在地の延長線になく、実現の手がかりや手触りに乏しいとき、組織一体となってその未来像の実現に邁進するのはかなりの困難を伴います。

今回は「自分たちが掲げる将来像を社内外に示し、理解や共感の獲得をする有効な手段のひとつ」である、ビジョンのビジュアル化=【未来デッサン】と私たちが名付けたサービスを、現在地と未来の接着に役立つ施策として紹介したいと思います。


「ビジュアル」という表現の可能性


MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に限らず、ビジネス上の多くのコミュニケーションは、主に「テキスト(文字・言葉)」を中心に表現されます。これはテキストが、誰もが使用できることから、粒度を揃えて素早く周囲に伝えやすく、誤認識を与えにくい性質を持っているからだと推測できます。

ですが、例えば先ほどあげたような「自分たちが掲げる将来像を社内外に示し、理解や共感の獲得をする」という目的に焦点を絞った場合、必ずしもテキストのみを使ったコミュニケーションが最適とはいえません。

テキストが「定義レベルでの共通認識を揃える」ことに強みを持つ一方で、写真やイラストや図などのビジュアルは「見る者の感性や感情に訴えかけ、ストーリーを想起させ、直感的な理解を促す」強みを持ちます。

未知の領域について情報を伝達したいときに、テキストという手段だけでなく、ビジュアルの強みも取り入れながら周囲とコミュニケーションすることで、情報理解の補完にとどまらず、ワクワク感のようなエモーショナルな共感もセットで醸成できる魅力があると私たちは考えています。

【未来デッサン】のメリット

会社や事業・サービスのビジョン(=将来目指したい姿)について、テキストのみではなく「ビジュアル」を併せて活用した場合のメリット(例)をいくつか挙げたいと思います。

■【未来デッサン】のメリット(例)

1- テキストで表現できない情報を可視化できる

ビジョンのコンセプトやアイデアなど抽象的なニュアンスを表現しやすい

2- 情報の構造や相関性を明確化できる
ビジネスにおけるバリューチェーンやエコシステムといった、複雑な構造や相関関係等のつながりを整理・表現しやすい

3- 視覚情報で理解を促進できる
色、カタチ、大きさ、イラストなどを活用することで、理解を促しやすい

4- ストーリー性を付与できる
ユーザーが共感できるストーリーや背景等を表現しやすい

5- 視覚的なインパクトで記憶や印象を高められる
ビジュアルコミュニケーション重視の時代にあっている
など

このように、ビジョンのビジュアル化を活用するメリットは多々あり、より多くのステークホルダーへの理解や共感の促進、ビジョンの実現に向けた組織の活性化などに期待が持てます。

極端な例えですが、仮に「テクノロジーで人々の豊かな未来をつくる」というビジョンを掲げているテック企業があったとします。社員は理解や共感はしていても、そのビジョンから、明日からの自身の具体的なアクションをイメージできていないかもしれません。

しかし、このビジョンをビジュアル化した絵の世界に「空を飛ぶ自動車」が描かれていたらどうでしょうか。社員の想像力が刺激され、この未来の実現に向けた技術の探索など、明日のアクションに繋がるかもしれません。

【未来デッサン】の実施タイミング

未来デッサンが必要になったり、活用しやすいタイミングとはどのようなタイミングでしょうか。具体的に例を挙げたいと思います。

■【未来デッサン】のタイミング(例)
・企業理念(MVV等)の構築や整理のタイミング
・新規事業部や新サービス立ち上げのタイミング
・周年、代替わり、中期経営計画など新たな将来像を描くタイミング
・インナーブランディングを強化したいタイミング
 など

概ね「企業や事業・サービスの大きな転換期」や「蓄積した課題感の払拭」が期待されるタイミングなどが挙げられると思います。

【未来デッサン】の進め方

TDSでは未来デッサンを中心に支援することもありますが、一連のブランディング支援フローの一部として実施するケースが多いです。

以下は、ブランディング支援において未来デッサンを活用するシーンです。「現状把握」と「ブランド構築 -見える化-」の2つのフロー内で段階をわけて実施します。

❶ 【未来デッサン(ラフ)】
「STEP1|現状把握」の手法として活用します。企業や事業責任者などトップへヒアリングし、目指す世界観のビジュアル化の骨組みを作成
※MTGやヒアリングの工程をグラフィックレコーディングして、段階的にビジュアル化する方法も有効

❷ 【未来デッサン】
「STEP3|ブランド構築 -見える化-」の手法として、幹部や創業メンバー、スタッフへのヒアリング等を実施し、STEP1の【未来デッサン(ラフ)】を肉付け色付けして具体化
※ワークショップやディスカッションを通した意見の集約の様子をグラフィックレコーディングする方法も有効

上記の活用シーン・イメージについて、「ビジュアルの完成度」と「将来像の具体度」の軸を使って4象限で見ると以下のようになります。

縦軸:ビジュアルの完成度 × 横軸:将来像の具体度

こうして、経営層やキーマン、ミドルマネジメント、現場社員などを段階的に巻き込みながら、骨組み、肉付けをしていくことで、より解像度の高いビジョンを描き出すことができ、同時に参加メンバーへの浸透度も高めることができます。

【未来デッサン】を活用した浸透施策

実は、未来デッサンには、ビジュアル化後に「インターナルな浸透施策」として、応用的に活用できる拡張性があります。

例えば、あえて「余白」を残したビジュアルとしておき、「バックキャストで描かれた未来にフォアキャストで定期的に余白を埋めて完成に近づける施策を企画する」「ビジョンを実現するためにどんなビジュアルをどのように描いて余白を埋めるべきか議論する機会を企画する」といった、余白を埋めるために考える行為自体をそのまま浸透施策にすることができます。

ビジョンや、ビジョンの実現に必要なことを深く考え、議論し、余白を埋めて、未来を一緒に描いていく体験が、社員の血肉としてビジョンを腹落ち=浸透させることに繋がるのです。

最後に

今回は組織のビジョン(=将来目指したい姿)をビジュアルに描くことで、ブランディングにも活用する【未来デッサン】を紹介しました。

企業の将来の存在像やその説得力について視覚的に表明を行いながら、インターナルな浸透施策としても活用してみては如何でしょうか。みなさまの企業活動の活性化につながれば幸いです。

気になる点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。


TDSのブランディングサービスについて知りたい方はこちらをどうぞ。

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