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サヨナラ「偉い人」

column vol.1164

現在、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授、広野彩子さん『世界最高峰の経営学教室』(理論編・実践編)を読んでいるのですが

実践編に掲載されている仏インシアード経営大学院マネジメント実践教授、ナラヤン・パントさんの章を読んで

第10講 リーダーシップは自己管理、「顔に出さない怒り」も失格

「これぞ理想的なリーダーシップ」と感じたのです。


リーダーは謙虚に生きる

リーダーの中には自分の能力を信じプレイヤーとして活躍する「エキスパート型」の経営者と、社員一人一人の能力を頼り集合知を活かす「レバレッジ型」の経営者がいますが

私の目指すところは「レバレッジ型」です。

〜という方向性での理想として聞いていただきたいのですが、パント教授「リーダーと社員の間にヒエラルキーをつくらない」重要性を語っていらっしゃいます。

「自分が偉い」という想いでいると、メンバーたちの発言を抑制してしまう可能性がある…

リーダーは常に「自分は道半ばである」という謙虚な気持ちを忘れずに接することを説いていらっしゃいます。

仮に的を得ない発言があったとしても、それをどうプラスのものとして取り入れていくかということが大事。

実際、専門家一人で考えるよりも、知識の乏しい素人が一人加わった方が、よりアイデアの精度は高まる可能性が高いと言われています。

人数が増えるほど、その確率が高まるそうで、実は「みんなで考える」ということは、私たちが想像している以上に効果的だとパント教授は仰っているのです。

…私もなかなかその理想を体現できてはおりませんが…、集合知を集めるための謙虚な姿勢はリーダーシップの要であるとは理解しています。

率いるのではなく「支えられる」

歴史学者が一様に絶賛するリーダーがいます。

それがカルタゴの英雄、ハンニバルです。

私がいないと、この人(リーダー)はダメだ

そう思わせる名人だったようです。

歴史的な話つながりで言えば、薩摩藩で理想的だとされていたリーダー像もそうだったと聞いたことがあります。

トップに立つとナンバー2に任せ、自分は「うどさー(うどの大木)」になる。

その方が組織がイキイキとするわけです。

そういえば最近、「偉い人にならないようにしないとな…」と改めて思った記事があります。

東洋経済オンライン【今の日本「偉そうな人」にはもはや居場所がない】という記事です。

〈東洋経済オンライン / 2023年10月25日〉

リーダー像、特に、管理職像や男性像は著しく変わってきました。偉そうにしている強い人よりも、ちょっと弱みがある人のほうが良いという流れがあります。

つまり、率いるリーダーよりも「支えられるリーダー」像です。

ヒエラルキーが社会から失われている

先程のハンニバルうどさーの話に通ずるのですが、フラットな組織、関係の方がメンバーは力を発揮しやすくなる

そうした話なのですが、面白いと思ったのは

ヒエラルキーそのものが社会から消滅してきた

という指摘です。

「それはSNSからも感じる」と言及されています。

昔は芸能人などインフルエンサーは雲の上の存在とされ、神格化されてきました。

しかし、今はどうでしょう。

あのスーパースターのマドンナさんですら、よりリアルな自分をオープンにし、ファンと繋がろうとしているわけです。

日本の芸能界も「会いに行けるアイドル」という鮮烈なキャッチフレーズを掲げ、AKBがファンとの関係のフラット化を決定付けました。

今の「推し活」ブーム「自分たちが支えてあげている」という想いが源泉となっているように感じます。

仕事の話に戻しますと、最近の若い人たちにヒアリングしても、ちょっと手を伸ばせば届く人に憧れている様子が窺えます。

きっと今、カリスマを必要としない時代なのかもしれません。

等身大のリーダーシップがカギを握る

カリスマを求めない時代ならば、リーダーも自分を大きく見せる必要はありません

逆に「尊敬を集めなければ」と背伸びし過ぎるほど、部下や後輩たちから「残念…」と思われてしまう可能性も高い…

よく部下に謝れない上司がいると聞きます。

きっと、「頼れる上司でいなきゃ」という気の張り方なのかもしれませんが…

25万人以上への指導経験を持つ、日本アンガーマネジメント協会理事である戸田久実さんは、それは「逆効果である」と指摘しています。

〈幻冬舎ゴールドオンライン / 2023年11月29日〉

自分に対する間違いの指摘やネガティブなフィードバックを素直に受けとめられない人なのでしょう。長期的に見たときに、人間関係において、多大な損をすることになります。

誰にでもプライドはありますし、部下や後輩にダメ出しされれば辛いと思うでしょう…

それは踏まえつつも、戸田さんは

頑なに自分の失敗を認めない人より、むしろ認める人のほうが、多くの支持を集める

と仰っています。

…上司の立場で考えると口籠もってしまいますが…、自分が部下の立場ならそういう上司が理想です。

これも「偉い自分」を捨てられるかがポイントですね…😅

集合知をいかにして高められるのか

冒頭の話に戻りますと、パント教授「リーダーは常に謙虚さを失わないこと、そして学び続けることが第一の仕事である」と説いていらっしゃるのですが、それは全てのリーダーが耳にタコができるほど聞いている話と言えるでしょう。

しかし、ボクシング

左を制する者は世界を制す

という格言がある通り、耳にタコができるほど聞く話ほど奥深いものはないとも感じます。

その難しさに向き合いながら、私も日々リーダーシップを磨いていきたいと思います。

〜と、その前にお休みです。

皆さんも良い週末をお過ごしくださいませ😊

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