物価高ニモマケズ
column vol.954
そんな声が聞こえてきそうな今日この頃ですね…(汗)
大手企業では歴史的な高水準のベア獲得が相次いでいますが、中小企業は一体どうなのでしょうか…?
また、政府が困窮世帯に3万円、子育て中の困窮世帯には5万円の給付方針を固めるなど、物価高に関するニュースは目白押しです…
各社、物価高の影響を受けて、価格に反映しないといけないつつも、ただ上げるだけだと…、なかなか難しいところもあり…、頭を悩ませているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?
そんな中、物価高にも負けないヒントにつながりそうな各社の取り組みがありますので、本日はその一例をご紹介させていただきます。
安さに頼らない「驚安の殿堂」
まずは、「安い!」といえば “驚安の殿堂“ 「ドン・キホーテ」の事例から。
2009年に誕生したPB(プライベートブランド)「情熱価格」が激アツなのです。
〈ORICON NEWS / 2023年3月6日〉
「お客さまの声をカタチに」をブランドメッセージとして、690円の驚安ジーンズなど、ドン・キホーテらしい商品展開を行ってきたのですが、いつしか「安さばかりを求めた商品開発」になってしまっていたそうです。
そこで改めて同社の提供する価値を確認。
コンビニエンス、ディスカウントに加え、アミューズメント性を付加することを重視してきたことを再認識し、2021年情熱価格をリニューアルした際、“驚きのニュースがない商品は作りません!” と堂々と宣言したのです。
商品は名前から凡庸化とはほど遠いものばかり。
という異常に長いネーミングのものから
といったものまで、お客さまに楽しい気持ちで商品を手に取っていただこうと、アミューズメント性を付加していったのです。
とはいえ、尖った商品だけにお客さまから反感をくらってしまう時もあるわけです…
そういった不満の声を聞くためにWebサイトに設置したのが「ダメ出しの殿堂」です。
〈ドン・キホーテ / ダメ出しの殿堂〉
月に2000ほどのダメ出しが届くそうなのですが…、その指摘を活かしていく。
例えば
などといったようなダメ出しがあるそうですよ。
しかし、その言葉を活かして改善や次の商品開発につなげていく。
お客さまと共創する意識を持っていることから、PBはプライベートブランドではなく「ピープルブランド」としているそうです。
アミューズメント性や共創を付加価値として商品開発を行う。
物価高を価格に反映する上で、どんな付加価値を加えていけば良いのかと考えると、ピンチがチャンスに変わる可能性は高いのかもしれませんね。
「接客力」で価格競争に陥らない
続いては、回転寿司業界からの事例です。
日経ビジネスの「顧客推奨度(NPS、ネットプロモータースコア)」を基にした「推し企業ランキング」で、大手回転寿司チェーンを抑え、上位に躍り出たお店があります。
それが「すし銚子丸」です。
〈日経ビジネス / 2023年3月1日〉
運営会社の銚子丸は関東1都3県に約90店を展開し、売上高は約170億円(2022年5月期)。
大手チェーンに対して、規模で劣る同社がなぜ高い評価を受けているのか?
その答えは「接客力」にあります。
と、店に入れば、板前やホールスタッフからの賑やかな声がけを聞くことができます。
大手の店舗では、タッチパネルでの注文やセルフレジでの会計が一般的ですが、銚子丸の石田満社長は「人を削減するためだけのデジタル技術は使わない」と決意しているのです。
「会計ボタン」があるので、そこはデジタル化されているのかと思いきや、ボタンを押すとスタッフが来て「ご注文はおそろいですか」と確認してからレジに案内される。
なぜ、ここまで接客に力を入れているのか?
それは、銚子丸は店舗を「劇場」、スタッフを「劇団員」、来店客を「観客」と位置付けており、「人材の育成」と来店客の「体験価値」を重視しているのです。
来店客から集めるアンケートでは、「歓迎してくれている感じがうれしい」という意見が多いとのこと。
どの業界も、どんどんデジタル化されている世の中において、人が持つ価値は改めて見直されています。
人をコストと見るか、価値と見るか。
この辺も、経営者の哲学が試されるところでしょう。
「時流」を掴んでピンチをチャンスに変える
最後も飲食業界からの事例をお届けしたいと思います。
プロントが運営する「キッサカバ」についての話です。
〈日刊SPA! / 2023年3月5日〉
キッサカバはご存知の方も多いとは思いますが、「喫茶×酒場」というスタイル。
この業態はコロナ蔓延による業績不振やバータイムの客足の減少などにより、2021年から夜を喫茶と酒場を融合させた業態に切り替えたのです。
同社ブランド戦略部の藤原学さんは
と、開発意図をそのように説明されております。
メニューも昼夜で異なる内容に一新。
お客さまの反応はよく、利用層は従来の40~60代に加えて20~30代が増えたそうです。
また以前は、飲み会の帰りに1人でフラッと立ち寄る客が多かったのですが、現在は一次会として4~5人で利用するケースがほとんどだそうです。
それにより、客単価も上昇。
実は私もキッサカバをよく利用しているのですが、個人的には1次会の予約時間まで過ごす、いわゆる0次会として活用させていただいております。
喫茶店感覚で軽く飲みに行ける感じが好きなのです。
ちなみに、現在ではプロント全店舗のうち約6割がこの業態だそうです。
コロナによる社会変化と、世のトレンドを的確に掴み、新しい価値を創造する。
ビジネスの本質を学ばせてくださる好事例ですね。
とはいえ、今日は金曜日です。
キッサカバの話をしていたらお酒が飲みたくなりました〜
ということで、あれこれ知恵を絞る楽しみは月曜日までとっておくことにいたします(笑)
皆さまも良い週末をお過ごしくださいませ!
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