ニッポンの凄い「技術」
column vol.1141
新型の国産主力ロケット「H3ロケット」が17日、打ち上げに成功いたしました。
〈Science Portal / 2024年2月19日〉
三菱重工業を始めとする日本企業の技術力の高さが世界に知れ渡った瞬間でした😊
今回の成功は日本の宇宙ビジネス市場における国際競争力を高める大きな一歩になったでしょう。
〜ということで、本日は宇宙産業における日本の技術力の一端を感じていただける事例をご紹介したいと思います。
ぜひ、最後までお付き合いくださいませ〜
H3の主役「LE9」エンジン
やはり、何といっても「LE9」エンジンについて語らずにはいられません。
このエンジンは
を兼ね備えており、世界から注目を集めています。
このエンジン開発の紆余曲折はNHKのサイカルジャーナルにバッチリ書かれておりますので、興味がある方はぜひご覧くださいませ。
〈NHK サイカルジャーナル / 2023年2月14日〉
エンジンの開発は欧米でも苦戦しており、例えば、ヨーロッパで開発されているロケット「アリアン6」の打ち上げ計画が後ろ倒しに…
その原因の1つに「エンジンの燃焼試験に時間がかかっている」ことが挙げられています。
だからこそ、今回のH3の打ち上げは、国産エンジンを世界から評価してもらえる大きなチャンスと捉えられておりました。
基幹ロケットの開発・発展は、安全保障や防災などの観点で自国でまかなえることが重要になっています。
このミッションを叶えるためにも今、官民が力を合わせて推進しており、今回のH3成功はその努力の結晶なのです。
ちなみに、日本の大型ロケットの打ち上げ成功率は、H2AとH2Bを合わせ約98%と世界トップ級。
これまで、メジャーな存在だった「ソユーズ」「プロトン」といったロシアの機体が利用できなくなり、世界市場のロケット不足が深刻さを増している中、安定性抜群の日本のロケットは、今後ますます注目を集めることになるでしょう。
ノーベル賞候補の「革新的な電池」
そして、「今後ますます注目を集める」といえば、「ペロブスカイト型太陽電池」です。
“曲がる太陽電池” という愛称を聞いて、ピンと来る方も多いのではないでしょうか?
〈47 NEWS / 2023年11月6日〉
こちらは、富士フィルム出身で、桐蔭横浜大学特任教授の宮坂力さんたちが開発した太陽電池。
富士フィルム出身ということもあり、「写真のネガのように曲げられるフィルムのような電池をつくろう」という遊び心から生み出されたそうですが…、今ではノーベル賞候補にもなっているのです。
この画期的な曲がる太陽電池は、宇宙産業においても大いに注目を集めています。
宇宙空間を漂う人工衛星は、電子線や陽子線など強い宇宙線が飛び交い、モノの劣化も進みやすいので、この過酷な環境に耐えるため、現在は化合物半導体を使った特殊な太陽電池を搭載しています。
…しかし、開発現場では予算の制約などから安価で使いやすい電池が求められており、ペロブスカイト太陽電池が、その救世主になろうとしているのです。
製造工程が簡素なことから、製造コストは従来の衛星用の約10分の1に抑えられる見通しとのこと。
重さと薄さも通常の屋根に設置するシリコン型太陽電池に比べて100分の1程度まで抑えられる見込まれており、打ち上げ時の重量が問題になる衛星にとっての大きな利点になるのです。
シリコン型の太陽電池はかつて日本企業が世界シェアの上位でしたが、今では大量生産で低価格化を進めた中国企業が市場を席巻。
そんな中、ペロブスカイト型で日本勢がいち早く実用化すれば、太陽電池分野での復権が見えてくるかもしれないのです。
こちらも、今後の展開を熱〜く観測していきたいと思います😊
観測衛星のレベルが飛躍する!?
「観測」といえば、先ほど
とお話ししましたが、防災において大きな力となるのが観測衛星です。
この分野で特筆すべき会社の1つが「Space Compass」でしょう。
こちらは、NTTとスカパーJSATが設立した合弁会社で、宇宙データセンタ(宇宙における大容量通信・コンピューティング基盤)、宇宙 RAN(Beyond5G/6G におけるコミュニケーション基盤)の事業・サービス開発に取り組んでいます。
昨年12月には、マイクロソフトと共同で軌道上衛星のコンピューティング環境で動作するソフトウエアの開発とその実証について合意したことがニュースになりました。
〈Impress Watch / 2023年12月5日〉
観測衛星が撮像した画像データを軌道上で処理することを実証することで、効率的かつリアルタイムな衛星データ活用を促進。
衛星は、例えば海で動く船など、地球上の様々なもの写真に撮っているのですが、これらの写真を地球に送り、分析するのには時間がかかるわけです。
そこで、Space Compassがマイクロソフトと手を結び、衛星の上で写真をすぐにチェックできるプログラムをつくり上げています。
これにより、地上にある様々なものが、どこにあるのかをもっと早く知ることができるようになるのです。
こうした技術がカタチになっていけば、情報収集と分析が格段にスピードアップされるでしょう。
こちらも今後の展開が非常に楽しみでなりません〜
宇宙ビジネス市場は2040年代に1兆ドルに
ちなみに、「今後の展開が非常に楽しみ」ということでいえば、先月宇宙産業における日本のスタートアップについて記事にしておりますので、まだ読んでいらっしゃらない方は、ぜひこちらも併せてご覧くださいませ。
ちなみに、タイムリーなことに、ちょうど先ほどsuper_doragonさんが【宇宙関連株が買われる理由】という記事の中で、上記の記事をご紹介いただきました。
宇宙関連企業は投資家の皆さんにも注目されている、まさに今後の日本の産業における期待市場の1つなのです😊
ちなみに、宇宙の総合インフラ会社「インターステラテクノロジズ」を立ち上げた実業家の堀江貴文さんは、宇宙産業を
と表現しておりますが、まさに製造業のさまざまな知恵と技術の結晶。
日本の基幹産業である自動車製造の技術も大いに活かされているのです。
いずれにせよ、宇宙ビジネス市場の規模は2022年において3840億ドル(53兆7600億円)に達し、2040年には1兆ドル(140兆円)に成長すると予想されております。
引き続き、この分野に熱視線を向けつつ、また面白いトピックスがあれば、皆さんにご報告したいと思います!
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました〜
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