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AI時代は「自己チュー」で行こう

column vol.1042

最近、素晴らしい心意気だなぁと思ったニュースがありました。

その主人公は中華圏で人気のシンガポール人歌手、孫燕姿(ステファニー・スン)さん

今、中国の動画投稿サイトでは彼女そっくりの「AI孫燕姿」が歌う音楽動画の投稿が相次いでいるのですが、それについての対応が痺れるのです。

〈西日本新聞 / 2023年6月15日〉※有料記事

まずは、著作権を問題視しない姿勢を示しつつ

数分ごとに新アルバムを出せるAIに人間は敵わない。自分らしくいればそれで十分

と仰っているのです。

もちろん、だからといって著作権侵害はいけないことですし、中国政府は近年、知的財産権保護の対策強化の姿勢は見せています。

ただ、孫燕姿さんの言葉にAI時代を生きる人々のヒントがあるように思うのです。

「自分らしくいればそれで十分」

今日はこの「自分らしさ」ということに迫ってみますね。

「自己チュー」と「自分中」は違う?

最近、さまざまなメディアで取り上げられている一冊があります。

それは、フードビジネスコンサルタントの永田雅乙さんの著書『激動期でも食っていける 自己チューのすゝめ』です。

〈lifehacker / 2023年6月15日〉

「自己チュー」というとネガティブな印象を持たれることが多いと思いますが、永田さんは一般的に認識されている「自己中」とは違うと仰っています。

では、どのように違うのか?

それをこのように整理いたしました。

自己中…自分勝手
自己チュー…自分軸で生きること

もちろん、世のため、人のために生きるのは素晴らしいことは前提にしつつも。

永田さんはそれには「まずは自分自身を満たすことが重要である」と指摘しています。

自分自身が満たされていない人は、心が不安定なので揺らぎがちである。

そうであるならば、人の役に立つことは困難なのではないか?ということです。

つまり、自分を満たした先に、人を満たせる自分がある。

これをマズローの欲求6段階説で捉えると分かりやすいかと思います。

マズロー欲求6段階説

まずは「生理的欲求」(生命の維持)を満たして、「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認の欲求」→と、徐々に自分の上位欲求を満たしていく。

そして、最上位である「自己実現」を果たした先に「自己超越欲求」、つまり、他者に貢献できる自分が築けるという流れです。

結局のところ、利他主義というのも他者を満たすと、回り回って自分の幸福に還ってくるという考えです。

自分が先か、他人が先か、どちらが良い順番であるかは置いておいて、幸せは自分と他者それぞれを満たすことで完成されるということでしょう。

自分勝手でもなく、自己犠牲でもない。

ちょっと自分は「自己犠牲気味かな…?」と思う方には、「自己チュー」が必要なのではないでしょうか?

仕事から「努力」をなくす??

そして、永田さんの「自己チューのすゝめ」は現代ビジネスでも紹介されています。

〈現代ビジネス / 2023年6月17日〉

ここでは仕事において、「努力」から離れることをすゝめています。

えっ!!? いやいや努力しないといけないでしょう!

というツッコミが入りそうですが…、、、もちろん、結果的に周りから「あの人努力しているね」と思われることは大切ですが

一方で「私は努力しているんだ〜」という自分からは卒業した方が良いと仰っているのです。

「努力から卒業」している代表格にプロサッカー選手の三浦知良さんや、人気YouTuberのHIKAKINさんを挙げていらっしゃいます。

ご本人たちに「俺は今、血のにじむような努力をしている」という自覚はなく、どちらかというと「熱中」している状態なのだと。

例えば、ゲーム好きがプライベートで徹夜してドラゴンクエストをクリアしたとしても、「うわっ〜〜、めっちゃオレ、超努力家じゃん…」という認識はないはずです。

ただ好きで熱中していたら、気がつくと朝だったという感じでしょう。

いやいや、それは分かるけど、好きなことを仕事にしている人たちと自分たちは違うよ

という意見もあるとは思いますが

それでも、どんな分野でもプロの世界は厳しいので、「好きで好きでたまらなく、楽しくてしょうがない」という人の方が少ないはずです。

以前、元プロ野球選手のイチローさんの同僚選手が「彼が超一流でいられるのは、子どもの頃からの好きな気持ちを未だ持ち続けているところ」と仰っていました。

それは大谷選手にも共通していると言われており、彼はベットで寝ていても、ついつい野球脳が探求し始め、気がつくと部屋の中で素振りをしていたりするそうなのです…

いわゆる、私たちのような一般的な仕事においても、大切なのは「○○○に所属している会社員」という認識から離れて、まずは

「自分が何のプロなのか?」
「その仕事において何をしたいのか?」
「どんなことをして人を喜ばせたいのか?」

ということを明らかにする。

そうすると、単に会社を構成している一員から、自分軸つまり「自己チュー」を見つけることができるというわけです。

テーマは「食」「ファッション」といった業種でも良いですし、「営業」「マーケティング」といった職種でも良いでしょう。

自分が培ったものを会社だけではなく、副業(場合によって起業)やSNSでも活かせることができるので、「仕事がつまらない〜」と思う人は、まずは仕事を「会社軸」から「自分軸」に移行する。

つまり「私事(しごと)」に変えていくことで拓けるものもある気がします。

よく、AIから奪われる仕事、奪われない仕事という話が盛んにされていますが、私は業種や職種ではなくて「仕事がつまらない」と思っている人から奪われていくのではないかと感じています…

…まぁ…、それについては語ると、話が長くなりますので、それはまた別の機会にお話しをしたいと思います…!

「SNS」発信も「自己チュー」で行こう

SNSの話が出たので、そこに関連する話が載っているのがJ CAST【ChatGPTの時代に求められるのは「自己チュー」】という記事です。

〈J CAST / 2023年6月20日〉

永田さんは昨年9月に、「永田ラッパ~食事を楽しく幸せに~」というYouTubeチャンネルを始めたのですが、ここでも「自己チュー」を大切にされています。

130本以上の動画を公開しているのですが、登録者数や再生回数を気にせず、続けてきたことが良かったと振り返っていらっしゃいます。

投稿を続けていると、永田さんのチャンネルは他の同業者が真似できない唯一無二の内容だということが分かり、自己肯定感が上がったことがその理由です。

永田さんは

YouTubeで成功しているタレントを見ると、安定して数字が取れている人は、自分のやりたいことを自分のペースでやっている

このことこそ成功の秘訣だと分析しています。

先ほどの現代ビジネスの記事の中でもHIKAKINさんを例に出し、このように評しているのです。

HIKAKINさんのYouTubeチャンネルは、奇抜なネタがほとんどありません。ある意味、究極のマンネリができ上がっているのですが、でもただ見て聴き流していても、なぜか安心感があって“ホワッ”とできるのです。日曜日の「笑点」「サザエさん」のような存在で、圧倒的な自分軸を感じます。

自分が楽しいと思えてこそ、人が見ても面白いと思うものができる。

やはり、ここでも自分を満たすことへの重要さが語られています。

私も約3年間、毎日noteを書き続けてきましたが、「努力」や「成果」が軸だったら続けられなかっただろうな…と感じます。

そしてAIの話に戻りますと、表現にしても商品開発にしても、広く誰でも求めるものはAIに勝てなくなっていくような気がします。

一方で、そんなニーズの最大公約数的なものだけでも面白くないわけで、だからこそ「人間の計算外の発想」ますます価値を持つように思えるのです。

最初は、100人に1人しかウケないようなものでも、その価値が次第に理解されて後からブレイクするものは、どこの世界にもあるわけです。

そうした奇想天外の源泉は、誰にも理解されなくても「コレ、面白くない?」「何だか分からないけど、コレめちゃめちゃ好き」という理由なき人間の感性・感情でしょう。

改めて、孫燕姿さんの言葉を頭の中で反芻してみます。

数分ごとに新アルバムを出せるAIに人間は敵わない。自分らしくいればそれで十分

何だか「私は歌を歌っていて楽しいの」「表現したいものがあるの」と聞こえてくるような気がします。

…それはご本人にお聞きしないと分からないことですが…、少なくとも私は発信したいものを発信することを第一とする。

その上で、見てくださる方に向けて面白いと感じていただけるようにベストを尽くしていきたいと思います!

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