見出し画像

「効告」の時代へ

column vol.1168

広告の時代は終わったーー

…そうした声も聞こえてきますが…、

いやいや、やはり!

秀逸なクリエイティブは、世の中に溢れています!!

最近、面白いと思ったのがみずほリサーチ&テクノロジーズ広告です。

〈BuzzFeed / 2024年3月25日〉


ガチ過ぎる冗談が心を射抜く

みずほリサーチ&テクノロジーズとは、みずほフィナンシャルグループの企業の一つで、リサーチやコンサルティングなどを行う会社です。

そんな同社が「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」という広告(プロモーション)を打ったことが話題になっています。

もとになっているのが「電車の中で座るための戦略」という提案書なのですが

…な、なんと、全94ぺージにわたる内容となっているのです…(汗)

それを、山手線の1車両に掲示されるトレインジャック広告として展開。

上記の写真は、その様子となっております。

(企画内容と企画書については、こちらから見ることができます)

〈みずほリサーチ&テクノロジーズ / Webサイト〉

みずほリサーチ&テクノロジーズによる『電車の中で座るための戦略とアクションプラン』

広告(資料)は

「背景と目的」
「『電車の中で座る』を巡る現状分析」
「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」

3項目で構成。

上記の写真は、電車移動が定着した社会的背景などのデータをグラフで解説。

そして、電車の中で「座りたい」と感じる傾向の分析などが行なわれているのです(笑)

みずほリサーチ&テクノロジーズによる『電車の中で座るための戦略とアクションプラン』

ちなみに、上位2位の理由として上がっているものとして

●20代・30代・50代…「読書」
●40代…「仕事」
●60代…「ニュース閲覧」

と年代ごとに違いが存在。

しかし、1位の理由は、どの性別、年代でも

「睡眠をとる」

でした😊

そして、何といっても気になるのが「座るための戦略とアクションプラン」です。

同社では、3つの戦略を提示しております。

「ブルーオーシャン戦略」
…出発前や乗車前に、空いている電車(車両)や時間帯を選択する。
「鳥・虫・魚・コウモリの目戦略」
…乗車中や乗車後に、降車しそうな乗客を見分ける。
「ファーストペンギン戦略」
…乗車中、空いた座席に素早くかつ安全に移動するための工夫や、降車後でも今後は着実に席に座れるようになるためにできることを考える。

例えば、「鳥・虫・魚・コウモリの目戦略」では、降車前の乗客の特徴を分析しております。

みずほリサーチ&テクノロジーズによる『電車の中で座るための戦略とアクションプラン』

スマホや本をしまうなど、荷物をまとめて準備をする
手荷物をどこかに忘れていないかチェックする
手荷物の取っ手を握る
電車のディスプレイやアナウンスを確認し、電車の現在地を確認する
深く座っていたのを浅く座り直す

…などなど

ちなみに、新橋エリアなど、各エリアそれぞれの降車者の傾向分析なんかもあるのです😊

みずほリサーチ&テクノロジーズによる『電車の中で座るための戦略とアクションプラン』

こうした冗談なんだけどガチ過ぎる戦略資料をつくることにより、広告として人々の目を惹きつけ、その上でみずほリサーチ&テクノロジーズのリサーチ力とコンサル力を伝えている。

まさに広告効果抜群の「効告」だと思うのです。

「苦手」を「共感」に変える

そしてもう1つ、これぞ「効告」だと感じた事例をご紹介させていただきます。

ソフトバンクのオンライン専用ブランド「LINEMO」です。

今、「電話が苦手…」という若者が増えているのは、ご存知でしょうか?

〈ITmedia Mobile / 2024年3月21日〉

ソフトバンクが実施した調査によると、10代20代の若者の約4割「電話が苦手」だと回答。

若者の約8割が電話よりもメールやチャットなどのテキストコミュニケーションを優先したいと答えています。

ちなみに、苦手な理由は、このような感じです。

ソフトバンクが調査した、電話が苦手な理由

2位「相手の顔が見えずテンションが分からないから」というのは、今の時代らしい回答ですね。

30代以降約6割と世代間のギャップはありますが、全体としてテキストコミュニケーション優先という考え方が主流となっております。

そこで、3月16日から、東急東横線・田園都市線電車ジャック広告を掲出(4月1日まで)。

ITmedia Mobile

「14時頃かけますね、のごろの範囲が気になる」
「電話した相手が出なかった。ちょっと嬉しい。」

など、電話が苦手な人に向けて共感してもらえるような「あるある」なコピーを軸に展開しています。

ソフトバンクのLINEMOブランド担当者である今井部長によると

「現時点の反響としては、電車内の広告に共感するといった反応がXでは見られています」

好意的な反応が多いようです。

苦手であることをあるあるネタで肯定しながら、電話することに対してポジティブな気分をつくっていく。

まるで「北風と太陽」太陽のようなコミュニケーション戦略に、非常に共感いたしました。

私ももともとはコピーライターとしてキャリアをスタートさせてはいるので、このような「効告」を見るにつけて、非常に高揚感が生まれます😊

やはり、広告クリエイターのキラリと光るセンスは、価値のあるものですね〜

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?