小売業は「スタッフコマース」がカギ!
column vol.778
「ライブコマース」と言えば、中国というイメージですが、アメリカでも最近盛り上がってきています。
ちなみにライブコマースとは、配信者がライブ動画配信サービスを使い、視聴者に商品を紹介し、コミュニケーションを取りながら販売するオンラインショッピングです。
中でも注目を集めているのが「Whatnot」。
スポーツカードやレア玩具などのコレクター向けアイテムに特化したライブコマースプラットフォームなのですが、ベンチャーキャピタルによる投資が停滞する中、2億6000万ドル(約356億円)を調達したそうです。
〈Forbes JAPAN / 2022年9月4日〉
「Whatnot」の売上が昨年の20倍に!
同社が目指すのは、コレクターたちがチャットしながらベースボールカードやレア玩具、コミックブックなどのアイテムを売買し、コレクションを増やす機会を提供すること。
設立から3年ですが、急成長を続けており、今年7月にアルファベットの投資部門であるCapitalGとDST Globalが主導したシリーズDラウンドで2億6000万ドルを調達したのです。
このラウンドには、他にアンドリーセン・ホロウィッツやYC Continuity、Bondが参加し、同社の評価額は37億ドルに達し、昨年の15億ドルから2倍以上に拡大したのです。
VC投資が減少する中でのラウンドだったのですが、わずか7日でクローズしたというから凄いですよね。
なぜ、このような投資が成立しているのか?
1つの要因としては、同社の売上の急上昇ぶりです。
アンドリーセン・ホロウィッツが公表している「マーケットプレイス100」リストによると、Whatnotは2年連続で全米で最も急成長したマーケットプレイスとなり、昨年は売上高が20倍以上に拡大したとのこと。
また、ライブコマース市場全体が盛り上がっていることもあるでしょう。
Whatnotの他、ShopShopsやTalkShopLiveなどのスタートアップたちや、AmazonやFacebookなどの大手企業が、アメリカの消費者向けにテストを行っているのです。
同国のライブストリーミング市場は、2024年までに売上高350億ドル、アメリカ全ECの売上における3.3%を占めると予測されています。
そうなると、実店舗でのショッピングに影響が出ないか気になりますよね?
「スタッフコマース」が時代のカギに
そこで重要になるのが「スタッフ」の力です。
Forbes JAPANの別の記事でも「体験型マーケティング」の重要性が語られています。
〈Forbes JAPAN / 2022年9月6日〉
販売する製品そのものを超えた体験をつくり出すことが極めて重要である。
これを叶えるには人(店員)がいてこそだからです。
一方、オンラインショッピングによって恩恵を受けているのは、実は実店舗スタッフも同じで、より一層販売機会を広げられています。
今後はオンラインとオフライン(リアル)を分けず融合させるOMOがキーワードになることは言うまでもありません。
実際、店舗スタッフがコーディネートや商品レビュー、動画などをECサイト上に簡単に投稿できる「STAFF START」は、アパレル企業の販売員にはすっかりお馴染みになりつつあります。
〈ネットショップ担当者フォーラム / 2022年8月31日〉
「STAFF START」導入ブランド数は、すでに1700を突破。
同アプリを提供するバニッシュ・スタンダードCEO/代表取締役の小野里寧晃さんは
オンライン接客はスタッフコマースに進化するべき
と語っております。
つまり、商品は「ブランド(ショップ)から買う」という定義から、「スタッフから買う」という考え方に変わるということです。
お客さまがブランドを求めているのは間違いないけど、その中でも個人の力に対するニーズがとても高いと、小野里さんは感じていらっしゃいます。
実際、「スタッフ1人ひとりがお客さま1人ひとりのニーズを叶える、細かくて丁寧な接客・ホスピタリティをECサイト上でも出すべき」という先進的な考えを持つ企業が増えてきているのです。
「正しい評価」でスタッフコマースを加速
単なるECは商品の写真とキャプションがサイトに並ぶだけですが、スタッフコマースは、販売員を通して商品の価値をオンライン上で伝えていく。
目指すべきは、お客さまが「このスタッフから購入したい」と思ってもらえる世界です。
そのために、接客・コーディネートのセンスだけでなく、スタッフのライフスタイル、人柄までを伝えていきます。
ファン心理は、接客の良さだけではなく、人柄、背景などが高める部分もあるからです。
同社ではLINE上でも接客できる「LINE STAFF START」を提供していますが、まさにこれは「指名買い」と言えるでしょう。
オンラインを通じてスタッフのファンになったお客さまが「スタッフに会ってみたい」と思っていただけたら、次は店頭接客に繋がる。
ということで、スタッフの魅力で商品が売れているなら、そのスタッフを正しく評価しないといけません。
頑張った分だけ、報われる。
そういった評価を実現させるため、「STAFF START」では今年3月に、店舗スタッフの評価・インセンティブ管理を簡単に行える機能「YELL POINT(エールポイント)」を実装。
これにより、個人経由の売上から個人評価、報酬の還元までの全てを「STAFF START」の管理画面上で管理することができるようになりました。
実装から1ヵ月で「STAFF START」導入企業の25%が「YELL POINT」を活用。
報酬を3%上げたらコーディネートの投稿率が63%上がったという事例や、コーディネート経由の売り上げが35%上がったという事例も出てきているそうです。
良い接客は、良いモチベーションから生まれる。
これは小売業だけではなく、全ての業種に言えることですし、良い会社をつくり、良い仕事をするには、やはりいかに人を資本と見て、投資していくかということが大事であると改めて思います。
経営を考える上で、非常に勉強になる事例でした。
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