「休み方」改革へ
column vol.1220
「quiet vacationing」という言葉をご存知でしょうか?
アメリカのミレニアル世代の間で「静かな休暇」が広がっているようです。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2024年5月28日〉
と思った方、正解です!
ちょっと前に話題になった「Quiet Quitting(静かな退職)」の仲間です(笑)
最近、「休み」についての概念が近年、変化していると感じています。
今日はそんな変化についての事例をいくつかご紹介したいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊
"常に対応可能"へのアンチ
「quiet vacationing(静かな退職)」とは、雇用主に知らせることなく休みを取ることを指しています。
もう少し分かりやすく説明すると、リモートワークにおいて働いているフリをしながら休むスタイルということです…😅
この「フリ」というのがポイントのようで、例えば
などといった行為が該当するとのこと…
実際、アメリカ人1170人を対象に実施した最新調査では、ミレニアル世代の38%が"静かな休暇"を行っていることが分かったのです。
ちなみに、Z世代で24%、X世代で24%だったので、確かにY世代(ミレニアル世代)が多い。
また、わざと通常の勤務時間外にメッセージの送信予約をしたことがある人が37%もいるなど、残業している風を演出するパターンもあるのです。
これについて、調査を行ったハリス・ポールの最高戦略責任者、リビー・ロドニーさんは
とコメント。
リモートワークを導入しても変わらない仕事量(忙しさ)や、 "常に対応可能" を求める経営陣に対しての静かなる回避策として様々な “フリ” 技が開発されているわけです。
確かに、リモートワークの発達により働き方の柔軟性を手に入れるができましたが、逆に常時接続している状態がつくられているとも言えます…
実際、正式に取得した有給休暇中に、回答者の半数以上の人が仕事の電話がかかってきたことがあると答えており、さらに86%の人が上司からのメールをチェックしたと回答。
やはり、こうしたことの改善には経営陣の意識変化が非常に大切になりますね…(汗)
「自由」とは結構「束縛」する
組織全体として「区切りをつける」ことの重要性について、もう1つ挙げたいと思います。
それが「フレックス制」です。
フレックス制は、働く人が勤務時間に対してある程度裁量を持てる良さがある反面、それぞれの社員の稼働時間が異なる分、チームワークで仕事を進める場合は、どうしても非効率になる面もあります。
そうなると、結局はチームの中でイニシアチブを握っている人に時間を合わせようとする傾向に…
業界によるのかもしれませんが、私が働くマーケティング業界(特に広告業界)は、偉い人は午後から稼働し、夜型の会社が多い…
みんなの自由は結構みんなの不自由になりやすいという部分もあるのです。
他にも
という傾向は、商社でも見られるようです。
〈ITmedia ビジネスオンライン / 2024年3月26日〉
伊藤忠商事でもかつてはフレックス&夜型だったそうで、東日本大震災をきっかけにフレックスをやめ、さらには朝型勤務にシフトしたとのこと。
こうした職場文化をなくしていったのです。
もちろん、朝型シフトへは反発もあったようで…、その道のりは大変だったようですが、朝早く出社することに対してインセンティブをつけるなどして徐々に改善。
午後8時以降の退館に関しては、12年の制度導入前は30%ほどだったそうですが、現在は8%まで減少。
また、午前8時以前の入館は20%から54%に増加したそうです。
同社では朝型によるメリットを
とコメント。
さらに、産業医が同社の出生率を調べてみたところ、2010年くらいまでは、東京都を下回る出生率だったそうですが、今は1.9に近い数値に。
先週、東京の出生率が0.99と1%をきったという報道がありましたが、出生率の向上は同社ではワークライフバランスが好転していることと相関しているのかもしれませんね。
働く時間を減らして売上増
日本マイクロソフトが行った週休3日制を試験導入テストで、労働生産性が40%上がったと報告があったように、やはり、いかに経営陣の頭の中から「長く働く=売上が上がる」という方程式を崩すかが重要でしょう。
自分も経営していて、そうした考え方の切り替えは容易ではないと痛感していますが、根気良く改善に向けて取り組むことが必要ですし
リモートワークやフレックスの功罪を見極めないといけない。
そうして適切な労働時間を組織として追究し、余剰の時間は交流や休息、そして自己投資にあてる。
それが理想ですね😊
そんな中、非常に刺激になった記事があります。
岡山県で漁業を営む富永邦彦さん、美保さんご夫妻です。
注文を受けた分だけ魚を取り、消費者に直送する「完全受注漁」が注目を浴びています。
〈東京新聞 / 2024年6月3日〉
労働時間と漁獲量は減りつつも、仲卸を通さないため売り上げは増加。
取りすぎた魚は海に返すため、適正な海洋資源の活用にもつながると期待されているのです。
午前6時頃出港し、早いと昼過ぎには港に戻る。
そして、午後3時頃には帰宅し、3人の子どもたちとゆっくり過ごす。
邦彦さんは
と仰っているのですが、非常に感銘を受けました。
富永ご夫妻が漁業の常識を超えたように、私も固定観念に囚われず、会社組織全体の仕事のあり方に向き合いと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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