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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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2022年12月の記事一覧

『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

2022年の流行語とすらなった「宗教2世」であるが、本書はサブタイトルに「宗教2世な私たち」という形で、その実態を訴えることとなった。この言葉が世間に知れ渡ったのは、2022年7月の、安倍元首相の殺害事件を通してである。その容疑者の身の上を表す言葉として、それが浮かび上がった。
 
本書は、その前に書き上げられている模様。だから、決して「ブーム」に乗って売ろうとしているわけではない。尤も、本来集英

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ビューティフルはすばらしい

ビューティフルはすばらしい

菊池桃子のラジオ番組を毎週聴いている。ちょうど出勤前の準備の時刻でタイミングがよいというのもある。アレクサと呼べばつないでくれるし、声をかければ切ってもくれる。かつてのアイドルは、近年再び歌手活動もしているが、それよりもここ10年は大学の先生としての立場がよく知られている。よく学ばれた人だ。昔好きだった倉田まり子もまた、不幸な出来事の後、ビジネス関係の学びで大きな存在となり、同じくいまは大学の先生

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なくしたけれども

なくしたけれども

大学時代、柄にもなく偶々ブランド品のポーチを買ったことがある。大学生協でプラトン全集の「法律」(私にはかなり高価だった)を購入して、そのポーチに入れて持ち帰っていた。日が暮れて、住まいの近くの電話ボックス(いまあるのかなぁ)で電話をして、帰宅した。
 
と、ポーチを持っていないことに気がついた。そうだ、電話ボックスで電話機の上に置いたのだった。歩いて5分とかからないところだったが、ポーチはなかった

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聞こえない声

聞こえない声

バスに閉じ込められたらクラクション。不幸な事故が、近年福岡で、そして静岡で起こった。命を失うに至らない同様の事故は多数あるのだろうと推測される。クラクションを鳴らせば、存在を知らせることができる。大人だったら簡単に思いつくはずのことも、経験のない子どもたちにとっては、思いも寄らないことなのであろう。
 
バスに閉じ込められたらクラクション。これを教えるところが、静岡の事件から急増した。やはり関東に

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100分de名著・中井久夫スペシャル

100分de名著・中井久夫スペシャル

100分de名著もずいぶんと多くの本を紹介してきた。功績は大きいと思う。2022年12月、取り上げられたのは「こころの医師」中井久夫先生である。一冊の本ではなく、4週にわたり5冊(最後の週は関連する2冊を扱う)の著書を読み解いてゆく。
 
2022年8月、中井久夫先生が亡くなったとの知らせは、多くの人にショックを与えたと思われる。年齢を重ねていたとはいえ、どれほど多くの人の苦しみを解くのに貢献して

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