マガジンのカバー画像

こころ

146
ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

「護られなかった者たちへ」

「護られなかった者たちへ」

妻がどうしても見たいと言ったのは、佐藤健さんの故であったが、ようやく機会ができて、貴重な午後をこの長い映画で満たした。
 
もちろんネタバレは御法度である。映画のストーリーや見所をお伝えするのはよろしくない。ただ、東日本大震災を踏まえた話であること、保健福祉センターが舞台であり、その生活保護というデリケートな事柄について深い問題意識をもたらすこと、これくらいは触れてもよいものと判断する。
 
震災

もっとみる
親ガチャ

親ガチャ

嫌な響きの流行語である。メディアが最近よく掲げている「親ガチャ」というものだ。定義はよく知らない。ガチャ、またはガチャガチャというのは、コインを入れてレバーを回せばカプセルに入った何かが出てくるというアレだが、子どもは親を選べないということを意味するものらしい。
 
確かに、どうしてそこに生まれてしまったのか、と思わせるような、不幸な生い立ちというものはあるし、その人に、自己責任でなんとかすればよ

もっとみる
栗の香り

栗の香り

栗を「ふかす」と私は言う。標準語なら「むす」と言うのだろうか。いや、ここでは「ゆでる」というのが本当かもしれない。栗をもらったというので、妻がそれをふかしてくれた。
 
半分に切った栗にスプーンをさしいれ、口へ運ぶ。口の中に、栗の香りが拡がる。と、そのとき子どものころの自分に戻ったような気がした。こんなふうに、よく栗を食べていた。
 
『失われた時を求めて』はさすがにダイジェストでしか読んでいない

もっとみる