にゃん

物書き/作詞作曲/ 大阪府在住/ 目標:私小説執筆。

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【小説】きっかけ 第7話

チューコ:少女のネズミ  少女のネズミ、チューコは小さな足音を立てながら畦道を進んでいた。  彼女の心は不安と心配でいっぱいだった。少年のネズミ、チュータロウが巣を出ていったからだ。 「チュータロウ、大丈夫かな…」  彼女は小さな声で呟いた。チュータロウは強がっていたが、本当はとても怖がっていることを彼女は知っていた。  チューコは彼と一緒に遊びに来たことのある水車の前にたどり着いた。水車は大きな羽根が夕日に照らされ、静かに回っている。ここは二人のお気に入りの場所だった。

    • 【小説】きっかけ 第6話

       タロウは巣穴で静かに過ごしていた。そんな時、外から声が聞こえた。 「ハロヘー、タロウ」  その声に覚えはあったが、名前は忘れていた。巣穴から顔を出してみると、ロブスターが立っていた。 「タロウ、お留守かと…。実は、今夜、仮装パーティーあります、ハウ?」  太朗は眉をひそめ、少し苛立ちを覚えた。 「ちょっと待ってくれ。日本では人の名前を呼ぶときに『さん』を付けるのが礼儀だ。特に初対面や親しくない相手にはね。だから、正しくは『タロウさん』だ」  ロブスターは一瞬驚いた顔をしたが

      • 【小説】きっかけ 第5話

        チュータロウ:少年のネズミ  草地の奥深く、風に揺れる草の中にひっそりと佇むネズミの巣があった。そこは、自然の恵みが豊富で、静かな平和が広がる場所だった。しかし、その静けさは突如として破られた。 「ネコだ!ネコがいる!」  一匹のネズミが息を切らして巣に戻ってきた。小さな体を震わせながら、仲間たちに危機を知らせる。 「ネコのハンティングに遭って、死んだふりして逃げてきた」  父親ネズミは深いしわを寄せて眉をひそめ、母親ネズミは心配そうに子供たちを抱き寄せた。  老齢ネズミ

        • 【小説】きっかけ 第4話

          カッパとカエル:2    西の空はオレンジ色から淡い紫色に変わり始めていた。彼らが話をしているうちに、空には一つ、また一つと星が現れ始めた。 「下界にはな、色んな食いもんがあんのよ、俺の名に因んだ食いもんもあるって話だ!」 「因んだ食いもんってなにゲロ?」 「それはな、カッパ巻きってんだ!でもな、それは俺が巻かれてるわけじゃないんだ。みんな勘違いしてるけど、俺は巻かれるのが大嫌いなんだ!」 「じゃあ、なんでカッパって名前がついてるゲロ!」 「それはな、昔あるカッパ

        【小説】きっかけ 第7話

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          【小説】きっかけ 第3話

          カッパとカエル  朝日の柔らかな光が竹やぶを透かして見える。木々の間を通る日差しが、朝露をきらめかせていた。 竹林は青々と生い茂り、川辺に生える草花は風に揺れている。小鳥がさえずり、 カエルが水面を跳ねて、波紋が広がる。 「ゲロゲロ」  その傍でカッパは胡坐をかいて座っていた。腕を組み、薄緑の肌は湿っていて、黄色いくちばしがうっすらと光る。丸く禿げた頭頂部の皿が、時おり水面を反射し、カッパは真剣な顔で言った。 「オバケを見たんだ、くぇー」 「オイラも見たいゲロ!」  カ

          【小説】きっかけ 第3話

          【小説】きっかけ 第2話

          ニホンザリガニ:2  大きな影が揺れながら鋭い眼球を向け、片言交じりで語り出した。 「ミーは、モーガン、デス」  タロウは目を丸くして、ほっとしたように微笑み、態度を豹変させた。 「へー、んで、どこの出身だっぺ?」  少し緊張した様子で問いただし、モーガンは少し間を置いてから答えた。 「ア・メ・リ・カ、デス」 「はるばるアメリカから来たっぺな、にっぽんご、わかんだべ!」  タロウはさらに舐めた口調になり、モーガンは深い声で答えた。 「ちょっと、デス」  首をひねり、タロウ

          【小説】きっかけ 第2話

          【小説】きっかけ 第1話

           ニホンザリガニ  夜道を歩いたり、止まったりしているうちに、朝が訪れた。  石の隙間、草むらの中、どこにも娘の姿は見当たらない。後ずさりをして、沢のたもとに着くころには、朝日が草や石に輝きを与え、川の水面がキラキラと光り始めた。  タロウは深いため息をつき、巣穴に戻ることを決めた。 ◇  巣穴に戻ると、タロウは疲れ切った体を横たえ、目を細めて遠くを見つめた。ウツラウツラと身じろぎ始め、目を閉じる。  彼女が初めて泳ぎを覚えた日のこと、小さな体で一生懸命に餌を探していた

          【小説】きっかけ 第1話

          【小説】アレ 42話

          サクラ仮面VS浪速のビッグフット  夜が深まる中、プロレス会場の照明が闇を切り裂くように輝いていた。  観客席は熱気に包まれ、期待感でざわついている。  メインイベントの試合は、チャンピオンの松井が劣勢に立たされ、リング上で倒れ込んでいた。そこへ、リングサイドから猛然と駆け上がってきた人物に観客たちは驚きの声を上げ、その視線はリング中央に集まっていた。そして、そのリングに立つ二人の戦士、サクラ仮面とビッグフットは、互いを見据え、言葉を交わすことはなかった。しかし、その目は

          【小説】アレ 42話

          秘密戦隊カッパジャー 第18話

          第1章   夏の終わり、彼らは大学の仲間と一緒に山奥のキャンプ場にやってきた。涼しい風が木々の間を抜け、焚き火の炎が暗闇を淡く照らしていた。彼らは焚き火を囲み、楽しげに談笑していた。 「この静けさ、都会じゃ感じられないよな」  祐樹が言った。 「確かに。でも、あまり静かすぎるとちょっと不気味かもね」  由香が焚き火に木の枝を投げ入れながら笑った。  その時、ふと背後に冷たい視線を感じた。振り向いても、そこには何もなかった。ただ、森が暗闇に沈んでいるだけだった。

          秘密戦隊カッパジャー 第18話

          秘密戦隊カッパジャー 第17話

          第17話  社長カッパ:社員を酷使し、利益だけを追求する悪徳社長  ある日、カッパジャーたちは噂に聞くブラック企業の存在を知る。この会社では、社員たちが過酷な労働環境で働かされ、心身ともに疲弊していた。 赤カッパ:「こんな会社が許されるはずがない。私たちの力で救い出そう!」  カッパジャーたちは、ブラック企業に潜入し、社員たちを救うために立ち上がった。 戦闘シーン 赤カッパ:「社長カッパ、あなたのやり方は間違っている!」  社長カッパは企業の経営責任者

          秘密戦隊カッパジャー 第17話

          秘密戦隊カッパジャー 第16話

          第16話  カスハラカッパ:暴力的で根拠のない要求をするカッパ  カスハラ撲滅隊は、会社や店舗で働く人々を守るために結成されたチームである。  彼らは、理不尽な顧客からのハラスメント(カスハラ)を撲滅するために日夜活動している。 ♢  カスハラカッパはお店やサービス業者をターゲットにし、日々ハラスメント行為を繰り返していた。彼の行為により、多くの従業員が怯え、仕事に恐怖を感じていた。 赤撲滅隊員:「カスハラカッパの悪行を見過ごすわけにはいかない!」 緑撲滅隊員:「彼

          秘密戦隊カッパジャー 第16話

          秘密戦隊カッパジャー 第15話

          藍カッパ(ニロウ) 使命:自然と共存し、地球の調和を守ること。 個性:動物たちの声を聞き、その思いを代弁する存在。自然界の生き物たちと深い絆を持っている。 マシン:「アースタンク」強力な装甲と地面を自在に変形させる能力を持つ戦車。 エピソード1:動物愛護センター  藍カッパは動物愛護センターで放棄された動物たちの世話をしていた。  ある日、悪徳ペットショップが不正な取引をしているという情報を耳にした。 藍カッパ:「動物たちが苦しむのは許せない。すぐに調査しに行こう」

          秘密戦隊カッパジャー 第15話

          秘密戦隊カッパジャー 第14話

          紫カッパ(イチロー) 使命:森の静けさと調和を守ること。 個性:静かで落ち着いた性格。自然の中での生存術に長けている。分析力が高く、戦略を立てるのが得意。 マシン:「フォレストボード」森の中でも静かに移動できるボード。高度な隠密行動が可能。 紫カッパ:静かな森の中  紫カッパは、山の中で自然を守りながら静かに生活していた。  ある日、違法な伐採業者が山に侵入し、動物たちの住処を破壊しようとした。 伐採業者A:「この木を切り倒せば、大金が手に入るぞ!」 伐採業者B

          秘密戦隊カッパジャー 第14話

          秘密戦隊カッパジャー 第13話

             カッパジャーはこれまで多くの社会問題を解決し、多くの人々に希望を与えてきた。しかし、世の中にはまだ解決すべき問題が山積している。新たな時代の幕開けに伴い、カッパジャーの新しいメンバーたちが現れた。彼らは自然と動物を大切にすることを使命とし、さらなる挑戦に立ち向かうために結成された。  その中で、愛と優しさを持って動物を守る橙カッパが活躍を見せる。 使命:自然と動物を大切にし、動物虐待を防ぐこと。 個性:愛と優しさに溢れ、動物たちと心を通わせることができる。冷静で思い

          秘密戦隊カッパジャー 第13話

          【小説】アレ 第41話

           試合当日、会場は熱狂するファンで溢れた。俺の心臓は高鳴り、緊張感が全身を包んだ。リングに立ち、サクラ仮面と対峙する瞬間が近づいていた。 (プロレス中継) 「世紀の一戦、いよいよ始まります! えぇ、関係者の情報によりますと、本物のサクラ仮面の額には三日月型の傷跡があるということが判明しました。これまでチャンピオンが戦ってきた相手はすべて偽者だったのです。しかしチャンピオンのガメラ松井はなぜ、ここまで執拗にサクラ仮面との戦いを熱望してきたのでしょうか? ガッツリ石松さん」

          【小説】アレ 第41話

          【小説】アレ 第40話

          ガメラ松井  ビッグフットの引退会見は、プロレス界にとって一大イベントとなった。会場には多くのファンやメディアが詰めかけ、彼の最後の言葉に耳を傾けていた。しかし、ビッグフットは多くを語ることなく、静かにリングを去った。  その引退会見の最中、突然会場に現れたのはガメラ松井だった。彼はサクラ仮面に扮してリングに乱入し、混乱を巻き起こしたことを謝罪した。  メディアからの質問が殺到する中、ガメラ松井もまた多くを語ることはなかった。  同時期、蛇の穴を指揮していた大谷周平が脱税

          【小説】アレ 第40話