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日光かわず庵雑記帳

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作家・たくき よしみつ のWEB日記『のぼみ~日記』(https://nikko.us/nikki/)の中から、コラム的なもの、時事問題的なものを選んで再編集し、集めました。
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2021年7月の記事一覧

東京五輪醜聞で甦った子どもの頃の記憶

東京五輪醜聞で甦った子どもの頃の記憶

小山田圭吾辞任・小林賢太郎解任事件を経て、目下開催されている東京五輪が可視化してくれた醜聞の数々を総括してみると、本当にやりきれなくなる。
で、歳を取ったせいか、怒りや絶望を訴えたいという気力は弱く、その代わりに、このやりきれなさと同種の過去の記憶が甦ってくる。

小山田問題の元記事に小学校5年生のときの「太鼓クラブ」のエピソードがあった。小山田少年が、踊りやダンスをさせられるのが嫌で「太鼓クラブ

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「ウン吉とあ太郎」──小山田「いじめ」問題から私が学んだこと

「ウン吉とあ太郎」──小山田「いじめ」問題から私が学んだこと

前回の日記の最後に、

この問題はかなり複雑で、簡単にこうだ、と断定的なことはいえない。まずは「一次資料」にあたって、自分の生い立ちや今に照らし合わせて、感じたこと、考えたことをゆっくり反芻する時間が必要だと思うのだ。

……と書いた。2日近く経過して、私自身、いろいろ考えたり、過去のことをチェックしたりしたので、忘れないうちに書き留めておきたい。(なにしろ惚けが急速に進んでいて、数日前のことさえ

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「印象操作」が世界を作る怖さ──小山田圭吾「いじめ事件」の本質

「印象操作」が世界を作る怖さ──小山田圭吾「いじめ事件」の本質

小林賢太郎の五輪開会式演出の話を書き終わろうとしていたとき、「こんな記事が出て来ました。」というメッセージが届いた。
リンクURLをクリックすると、百万年書房の北尾修一氏が書いた「いじめ紀行を再読して考えたこと 01-イントロダクション」という記事が出てきた。

「いじめ紀行 小山田圭吾の回」(雑誌『Quick Japan』vol.3:太田出版発行)について、私から一言。

という書き出しで始まる

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予想を超えた東京五輪開会式 その裏を読み解く

予想を超えた東京五輪開会式 その裏を読み解く

1か月前くらいからは、さすがに誰もが「今から中止はもうないんだろうな」と思っていただろうが、本当に東京五輪が強行開催されてしまった。
しかも、開会式の音楽作曲担当者が辞任したり、息つく間もなく次から次へと問題噴出。トドメは、開会式前日に、開会式の演出総監督的立場にいた小林賢太郎が電撃解任されるというトンデモな事件まで起きた。

昨夜、開会式を見た。
以下、長い文になりそうなので、最初にひとつ結論的

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新谷仁美さんへ

僕と同じような気持ちの人は少数派かもしれないけれど、あなたのファンの一人として「僕ら」という一人称を使わせてもらうよ。
僕らはあなたの走りと東京五輪というイベントは別物だと思ってる。
僕らは強いあなたのファンだし、心が揺れ動くあなたのファンでもある。すごいドラマを見せてもらえて感謝している。
だから、「世間の目が」とか「国民の気持ちが」とか、一切考えなくていい。目の前に走れるレースがあって、走る準

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「電気のマネーロンダリング」再考

「電気のマネーロンダリング」再考

先日の「熱海の土石流は犯罪事件」で、

「地球温暖化対策のために再生可能エネルギーの普及は不可欠ですが……」みたいな枕詞をつける。
不可欠でもなんでもないし、今のようなことを続けていたら、資源小国の日本は取り返しのつかないことになる。

……と書いたが、この部分に対して「なんで?」と思うかたは、まだいっぱいいらっしゃると思う。
簡単にいえば、「発電事業は投入するエネルギーや資源量と出力する(得られ

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熱海の土石流は「犯罪」事件である

熱海の土石流は「犯罪」事件である



↑NHK 「クローズアップ現代・カメラが捉えた脅威 緊急報告・熱海土石流」より(映像は今回の現場ではなく、京都の事例からのもの)

「事件」の背景に触れようとしないマスメディアデタラメな太陽光発電所、風力発電所の建設がどれだけこの国を壊しているか、日本のメディアは、実態を絶対に伝えようとしない。
「再生可能エネルギー」という言葉が聖なる言葉になってしまっていて、不都合なニュースを最小限に伝える

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Song for GORO

人生のいちばん辛い時代を一緒に過ごしてくれたゴロ。今年、11回目の命日に、EWIでアドリブ演奏したときのメロディをモチーフにまとめました。EWI SOLO はいい楽器です。木管楽器だと思えば、違和感もないし、音もそのまま使えるでしょ。

人生の相対性理論(5)歳と共に死は怖くなくなる

人生の相対性理論(5)歳と共に死は怖くなくなる

 人生の時間線分は誕生と死によって切り分けられますが、今から死までの時間線分がどれだけの長さなのかは分かりません。
 若いときは死が確実に訪れるということが怖くて仕方ありませんでした。
 昼間、動き回っているときは死について考える暇もないのでいいのですが、夜、寝るときに「いつか必ず死ぬ」と考え始めると心臓がバクバクして、恐怖のどん底に突き落とされ、蒲団の中で叫びたい衝動に駆られることが何度もありま

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