見出し画像

【参考にならない京都観光】寺社仏閣を極力排除した食べ飲み一人旅

思いがけず一人旅が始まった。

本来は、名古屋に住む友人と京都駅で集合し、1日目は京都観光を楽しみ、2日目は京都競馬場で競馬の楽しみ方をレクチャーしてもらう予定だった。しかし、友人は風邪を召したらしい。まったく仕方のないやつだ。甘酒を飲んでいないからそうなるのだ。

毎日風呂上がりに自家製甘酒を牛乳で割って飲み、眠る前に干した生姜とレモングラスを煮出した白湯を飲んでいる私は、めっきり病魔から遠ざかっている。いや、ただ人混みから遠ざかっているからだろうか。誰とも会わず、田舎で仕事と料理と時々腹筋ローラーとふくらはぎマッサージをするくらいの生活だ。

そんな訳なので、急遽一人で京都を巡ることになった。しかし、そんなことで狼狽する私ではない。もちろん友人と巡るのも楽しいが、一人で巡るのもまた違った楽しさがあるものだ。友人とはまた行けばいい。

気心の知れた仲であり、相談もせずに私がスケジューリングしたが、とはいえいくばくかのよそ行き要素を孕んだスケジュールであり、友人と巡ることを前提としたスケジュールに整えられている。まぁきちんと3食って感じだし、観光要素も散りばめてあるし。

しかし一人なんだから。ベースはそのままに少し均衡を崩し、食べ飲みの割合を微増させる。微増よ、微増。

友人と巡れなくなったことを残念に思う気持ちとは裏腹に急遽訪れた自由奔放旅チャンスに私の表腹はポコポコと小躍りをはじめる。どうやら臨機応変なことに、すでに大量の食物を取り込む準備はできているようだ。

【1日目】

【ランチ1】鳳飛のからし鶏と焼売

まずは京都駅から地下鉄で北大路へ向かう。いつか食べてやろうと考えていた鳳飛の「からし鶏」を食べるためである。なぜかはわからないが「からし」というワードに惹かれる。単体の「からし」にはそこまで惹かれないのに、何かの頭にくっつくとこの上なく魅力的なワードに昇華する。

この「からし鶏」の「からし」は和がらしではなく、唐辛子だということも事前リサーチ済みだが、もう「からし」というワード自体にむんずと心を掴まれているので、もはや実際に和がらしなのか唐辛子なのかということは瑣末なことに過ぎない。

京都の大学に通っていた私は、北大路にはよく来ていた。子ども向けのキャンプを企画・運営するサークルに所属していて、キャンプを終えて、山を下ってはこの辺りでラーメンを啜ったり、何をするでもなくマックでうだうだしたり。今回旅を共にする予定だった友人とは、近くの鴨川沿いでギターをつまびいて顔を赤らめながら歌を口ずさんだりもしたものだ。

まぁ今日はそんなセンチメンタルな思い出よりもメシが大切である。実際現場ではそんな思い出のことなどこれっぽっちも浮かばなかった。今この文を書いている瞬間にかさまし的に思い浮かんだだけである。はやく食べに行こう。

Google mapに店位置までのナビを入れているが、そんなことをしなくとも自分の腹が引っ張って行ってくれる。

開店前に到着するが、先頭に並ぶのは恥ずかしいという感性の持ち主なので、横目でお目当ての店を素通りし、道を挟んで対岸に渡り、刑事さながらに誰かが並ぶのを見張る。老夫婦と、顎髭長スキンヘッドキャップのFLOWのボーカル的風貌の人が並んだところで、小走りで店に向かい、何食わぬ顔で先頭ではないが、1巡目で入れる位置に並ぶ。我ながら小賢しいデブである。

狙い通り1巡目で入れた私は、昼から酒を飲んでやろうかとも思っていたが、先に注文をしたFLOW兄ちゃんがビールを頼もうとしてビールは大瓶のみ、あとは日本酒しかないと店員の方に言われていたので、酒は諦め、「からし鶏」と焼売とライスを頼む。

「からし鶏」はハーフの注文ができると思っていたが、半分を店内で食べ、もう半分はお持ち帰りという形になるらしい。事前情報でハーフが注文できることを調べていたがそういうことだったか。それに「結構大きいので、2人で食べるのが良い」というコメントも見かけていた。どうしようかと逡巡したが、別のメニューに変えるのも、この後巡る数多の飲食店にぶらんぶらんと別店舗の名物をお披露目するのもどうかと思い、「ぜんぶ今食べます」と店員の方にキリっと告げた。

店員の方は私の全身をざっと見て、「結構多いですけど、大丈夫ですか?」などとは聞かず、まぁそりゃあそうかという納得顔でスムーズにオーダーを通した。

料理が来るまでの間、隣のFLOW兄ちゃんに「ビールの大瓶2人で飲みませんか」「からし鶏半分どうですか」と気軽に言える自分なら良かったのにと思いを巡らしていた。

そして、ずっと思いを巡らしているうちに気が大きくなり、もしからし鶏が1人で食べるとこの後の爆食に響くほど大サイズだったら、隣のFLOW兄さんに話しかけて、半分分けてあげようと決意していた。

肉肉しい焼売。長芋らしき食感・味のものがのっている

決意をより強固なものにすべく、「今日オレはコミュ障から卒業するのだ」と心の中で唱えているとライスと焼売がやってきた。焼売は1つひとつが大きく、見るからに肉がぎゅっと詰まっている。卓上のからしをしょうゆに溶き、ちょんちょんとつけて一口。これはうまい。今まで食べた焼売史上最も肉々しいのではないか。なんだかしゃりしゃりとした食感もある。長芋か?これ目当てで来ても良い。気に入った!

焼売を食べ始めて数分後、カウンター越しに私の分らしきからし鶏が見えた。一瞬で脳内の定規アプリを起動させ、そのサイズを測る。FLOW兄さんに話しかける決意はまったくの無駄だった。瞬時に余裕で食べ切れることが割り出された。半分もあげたら足りない足りない、勿体無い。

からし鶏。なかなか辛いがパクパク食べられる

「からし鶏」はところどころ唐辛子粉?が浮かんだ餡が、揚げられた鶏にたっぷりかけられた一品。鶏の揚げ方もなんだか独特で、衣はカリッともクニっともつかない食感をしている。肉が薄めになるように少し叩かれているのか小ぶりだ。

餡を纏わせすぎるとかなり辛いので、ちょうど良い塩梅を探りながら1切れずつ食べ進める。1切れが1口サイズでパクパクとリズミカルに食べ進められる。辛い。辛いがうまい。

FLOW兄さんと逆側の隣では毛糸帽を被ったおばあさんが五目ラーメンを食べている。あれは優しい味なんだろうな。そんなことを考えつつ、ノンストップで食べ切る。見立て通りなんのひっかかりもなく完食し、店を後にする。

非常においしかった。でも、ここは1人ではなく友人を連れて来て、シェアできればもっと楽しかったんじゃないかなと悔やむ。

【ランチ2】中華のサカイの冷麺(焼き豚入り)

この後、本来の予定であれば近くの大徳寺に行こうと思っていた。しかし、それはあくまで「京都観光」という大義名分を果たすためにお行儀良く組み込まれていたに過ぎない。いや、寺社仏閣も好きなんですよ。

ただ、からし鶏の辛さが後引き、食欲に拍車がかかっている私の手にかかれば簡単に予定から外されてしまう。あっという間に慈しむべき寺は無慈悲にもまったく別ジャンルの「冷麺」に置き換えられてしまった。

鳳飛のからし鶏と並んで数年来食べたいと脳の容量を使い続けていた中華のサカイの「冷麺」である。

中華のサカイはメディアで取り上げられることも多く、有名だ。しかし、冷麺にどうしたって食べたいというほど惹かれることもない。でも食べてみたい。そんな絶妙な存在だった。京都に行くことになるたびに中華のサカイの存在を思い出すが、北大路は他の観光との動線を考えると行きづらく、実際に訪れるには至らなかった。

こういうハプニング的な要素がないとまたいつまで経っても訪れないだろうと思い、神聖な寺社ではなくもう1食ランチをすることにした。鳳飛から徒歩5分くらいだ。

テクテクご機嫌で歩いていると(散歩好き)、中華のサカイが見えたが、その先に「ゆ」の看板が見える。肉眼ではっきりと見えたが、競馬で馬を凝視してやろうと張り切って購入した双眼鏡を嬉しがってすちゃっと取り出し、よりデカく見た。文字がデカく見えただけでご満悦である。

紫野温泉というのもあるんだな。まだ時間的にあいていないが、京都老舗銭湯巡りも好きな私は、とりあえず入り口前に立ち、ぼんやりと眺める。ここもまた来よう。

惹かれる看板。また来よう

中華のサカイに辿り着き、芸能人サインで覆い尽くされた壁に面したカウンター席に案内される。

メニューがたくさんある。うっかり色々と頼みそうになるが、ぐっと我慢して冷麺(焼豚入り)のみを注文する。目の前ののん(能年玲奈)ちゃんのサインが「本当にそれだけで良いの?」とそそのかしてくるが、隣の三田村邦彦サインが「控えめにするのが大人だ」と諭してくる。いや、2食目のランチだからもう控えめにするとかいう概念は通用しないんだよ三田村、と思っているうちに冷麺が運ばれてくる。

このタレはとてもうまい。ちょっと中毒性あり

翡翠色というのだろうか、半透明の麺にタレがもたりと纏わりついている。太めの刻みのりが頂上に雑多に座っているのもなんか良い。ざっくりと混ぜて啜ってすぐに好きなやつだ!と認識する。麺は太めで、クニクニと歯を押し返してくる。

そしてこのタレはなんだ。酸味があってさっぱりしているが、濃厚。めちゃくちゃ好きなやつなんだが…。家でもこの味を再現したいと思い、しげしげとタレを見つめるが、丹念に配合されたそれに何が入っているかは見えてこない。これは少しアレンジしたら麺じゃなくてもうまいんではないか。

ドゥルルドゥルルと啜り、一瞬で食べてしまう。名残惜しい。また好きな味が増えて嬉しいが、北大路に来たら2食立て続けに食べないといけなくなってしまった。紫野温泉を間に挟めば、リセットされるだろうか。

「どうせ冷麺はジャブに過ぎず、ここからたくさん頼むんでしょう?」と推理していた店員さんが拍子抜けした顔でこちらを見てくる。今日はこれだけだ。またたんまり食ってやるから安心しなさい。

【オシャな一面】薫習館で香り探し

さすがの私も食欲は一旦満たされた。次はちょっとオシャに行こう。

先日の岐阜旅で「和ろうそく」を購入し、その炎の揺らぎを楽しむために家に帰ってからネットで燭台を買った。その燭台がお香立てにもなるということで、ちょっとお香にも手を出したい気分になっていた。

京都ならお香は無限にあるだろうと思いつつ、あまり敷居が高そうでなく、ライトにお香についてざっくり知れる場所はないかを探していて見つけた。

薫りを習う館。なんだか良い名前じゃないか

丸田町にある薫習館。松栄堂という老舗中の老舗が運営する香りにハマる入り口になるような施設だ。さまざまな香りを嗅いで好みの香りを探れる。

その薫習館を訪れ、とりあえず腰掛けているとこの日偶然、絵本の個展をされていた「いろどりあつめ」のりえさんに話しかけていただいた。座っているだけで無視できない存在感を放つほど大きな体に育っていて良かった。

↓noteもされているのでぜひチェックを!絵本かわいいです!

さまざまな香りを探せる。また訪れよう

絵本の出版や絵本づくり体験、他にもさまざまな意義ある事業をされていて、それらのお話を聞かせていただいた。全然レベルは違うが、私も色々とやっているので、まぁ愚痴めいたお話などもさせていただき、楽しい時間を過ごせた。

こうやって知らない人と話せるのはとても楽しいものだ。おじさんになってようやく人と少しは話せるようになった。少し前まで尖りきっていて、第一印象最低人間だったのだから、まぁ少しはマシになったのだろう。

慣れないながらなんとか続けているインスタをその場で結構見てくださり、恥ずかしかった…。恥ずかしいけど、よかったら見てね。

↓ついでに近くのお気に入りの店をお伝えしました。皆さんも行ってみてね。

とても柔らかい雰囲気で、失礼ながら絵本作りをされているというのが腑に落ちるというかしっくり来ました。いつか私が食エッセイを出す時は挿絵なんかをお願いしたいというお話もして、お別れ。ここまで読んでいただいた方は何をほざいているの!とお思いだろうが、もう少しマシな文章を書けるようがんばるんだから許してよ。

薫ガチャでゲットしたお香。パッケージがかわいい

お話させていただいて満たされ、もはや香りのことなどどうでも良くなっていた私は、とりあえず目についた「薫ガチャ」というお香のガチャだけおざなりにやってそそくさと薫習館を後にする。また香りが必要だと感じたら訪れてみよう。

家に帰り、翌日すぐに香りが必要になった。
心を落ち着けるにはお香に限る。

【金運アップ】御金神社で商売繁盛を祈る

ほくほくと薫習館を後にした私は、四条方面に歩いていく。おしゃれ観点を一旦忘却し、暖かさだけを重視したワークマンスノーブーツもなかなか歩きやすい。どんどん歩けるぞ。

旅中くらいは仕事のことを忘れたいと思い、名刺を持ち歩かなくなり、「いろどりあつめ」のりえさんと名刺交換すらできなかった私だが(りえさんは下さいました…失礼…)、強欲にも旅中も常に金を欲している。仕事は忘れたいけど、金はほしい!

金色の鳥居が直接的だ

御金神社。豪速球ストレートなネーミングのこの神社に来るのは大学の頃以来だ。めちゃくちゃお金がほしい訳ではないが、お金でやりたいことを諦めるのは嫌だなと思っている。少なくとも稼働時間を増やさず、今の倍くらいはコンスタントに稼げるようになりたい。そして心に余裕を持った上で毎日糠をこねたり、野菜を干したりしつつ、月1回くらいキャンプや旅行に出かけたいのだ。私の願いなどそれくらいのものだ。

私の前の人はすごく長時間切実に祈っていた。それくらいやりたいが貪欲人間だと思われるのが気恥ずかしく、すでに直接ネーミングのこの神社に訪れているという事実を忘れたかのように、金など興味がないような顔でさらりと祈ってしまった。

カードタイプの御守。もう儲かったも同然だ

人目を気にせず、やりたいことをやれる人になりたいと思ったそばから、がっつり打ち出の小槌的な御守は買えず、財布にしまっておけるカード型の御守を買った。まだ欲を隠そうとしている。一回くらいは欲丸出しハングリー精神で仕事にも没頭してみたいものだ。

食欲の半分をのし上がってやろう欲に移植できたら、私は絶対のし上がると思う。それほどに食欲が私の欲の中で突出しているのだ。

【役所広司愛爆発】京都シネマで「PERFECT DAYS」を観る

御金神社の次にスケジューリングするには少しばかり振り幅があり過ぎる気はするが、金欲を漲らせた足で京都シネマに向かい、役所広司主演の「PERFECT DAYS」を観る。

この映画は、欲に縛られず、日常や目の前のことを愛することの大切さに気づかされる映画である。私も常々、日常を愛せれば良いなと思っており、どうしても観たいと思っていた。適度なお金をは欲しいけれども、ある程度の水準の落ち着く日常を愛したいのである。

京都シネマのフォントが良いね

役所広司の表情が好きだ。この映画はセリフ少なめで、起承転結がはっきりしたストーリー展開でもない。日常を淡々と描くような映画で、めちゃくちゃ役所広司の表情を見れる。特にラストシーンは役所広司の表情の遷移のみを堪能できる。もしかしたらつまらないと感じる人もいるのかもだが、私的には大好きだった。

ここまでの旅はパーフェクトだ

特に「うん」と声を出してちょい口半開きの笑顔で頷くときの表情が好きだ。私の目指すところはアンニュイな表情で飄々と生きる太い版成田凌だと思っていたが、明確に役所広司になりたい。ほら、過去に役所勤めしていたという共通点だってある。

決定的に顔面が違うが、まぁそれくらいオーラや凄みのある人間になりたいと思っているのかもしれない。欲を持たず淡々と暮らすことの清々しさを感じつつ、もっと役所の顔を見ていたいできれば役所になりたいという奇妙な欲を煩悩を獲得して京都シネマを後にする。

【至高】ルーマプラザで生き返る

映画を観て、すっかり暗くなってしまったので、今夜の宿である「ルーマプラザ」へ。ここは祇園の花見小路の入り口あたりにあるサウナ施設で、カプセルホテルに泊まれる。

今やサウナブームが著しいが、私のサウナ歴はサウナがこんなにブームになる前から始まっており、もう12年くらいになる。社会人になったタイミングで仕事がしんどいからなのか自然と銭湯に通い始めた。このルーマプラザに来るのははじめてだ。

すでに18時台後半になっていて、あれだけ詰め込んだ腹も順当に減ってきている。しかし、酒も飲みたいので、ぐっと我慢してまずはサウナを満喫することにした。

ルーマプラザはこの11月にリニューアルオープンしたばかりでとても綺麗だ。金夜だったが思いの外混んでおらず、ゆったりと過ごせる。体を洗い、白湯で体を温めた後、オートロウリュサウナに向かう。

私は基本サウナ8分→水風呂→休憩のサイクルを3回繰り返す。普段は田舎なので、スーパー銭湯のサウナにしかなかなか行けないが、やはりこういった高規格サウナは温度が高めでぶっ飛ぶ。久しぶりの高温だったので、かなりフラフラになりつつ、気持ち良い。体が斑らになる「あまみ」が出ている。やはりたまにはこれくらいのサウナに来たいなぁ。

外にはフィンランドサウナがあり、残りの2回はそちらをチョイス。外気浴スペースは完全に空の下で開放感がスゴイ。なんとなく今ひとつなのかなと思っていたのだが、良いぞルーマプラザ。展望風呂からは京都が一望できる。京都の街に明日も食べてやるから待っていろと告げ、サウナタイムを終えた。

友人がいれば外に繰り出して、気になる祇園の居酒屋をハシゴし、夜の産寧坂を散歩したいなと思っていた。しかし、ルーマプラザまでの道のりの人の多さには閉口した。せっかく綺麗になり、館内着に身を纏ってリラックスしているのにまた着替えてあの人混みに揉まれることに気乗りせず、サウナ内でゆっくり過ごすことにした。

↓街に繰り出すなら、ここに行きたかった。

うまくいけば、ピンポイントで私の好きな工藤祐次郎のライブが京都であったので行きたかったのだがチケット取れなかった。また行きたい。だってレーベル名「おぞうにレコーズ」だぜ。最高かよ。

まぁ今日はサッカー日本代表の試合があるからルーマプラザ内のレストランでビールを飲みながら観戦しようじゃないか。こんなにも太っちょなのに海外サッカーを観るためにサブスクに入っているほどサッカー好きなのだ。

唐揚げ盛り盛り。そんなには要らないのになぁと呟きつつ、余裕で食べ切る

生ビールに唐揚げ、ポテトサラダ、鶏皮煮。良いではないか。スマホでちまちま観戦するつもりだったが、目の前に設置されているテレビでサッカーを流してくれている。1人で来ているほかのおじさんも幸せそうに酒を飲み、ぶつぶつ言いながらサッカーを観ている。だが、負けた…。

鶏皮煮。おいしいです
ポテサラ。あると安心ですね

唐揚げがかなりの量だったので、これでかなり腹は膨れたのだが、ご飯ものか麺を食べないとなんだか収まりが悪く、〆にルーマカレーを食べた。予想以上の本格スパイシーでサウナ後なのにまたしてもじんわりと汗をかいた。

ルーマカレー。結構サラダチック

サッカーをがっつり観た後は大人しくカプセルに身を押し込む。巨体の私でも全然余裕で体を嵌め込める。「さんかく」を読み、「おやじキャンプ飯」を観て眠りについた。今気づいたがこれどちらも飯の話だ。


——————

【2日目】

【朝食】ルーマプラザの朝食バイキング

朝は6時に起きる。太っちょの割に朝は早くに起きて俊敏に動き始めるのが私だ。ここのところふくらはぎを揉んでリンパを流してから寝ているので、足も軽い。

朝食バイキング。もちろんこれで終わりではない

ルーマプラザは朝食バイキングがついている。京都らしくなすの炊いたんやおひたしなどのおばんざいから角煮や焼き魚、カレーなんかもある。味も普通においしい。久々のバイキングは、バイキングだというだけで何だか嬉しい。

その後、昨夜と同じサイクルでサウナを満喫し、12時のチェックアウトまでインターネットブースで仕事を少し進めたり、カプセルでごろついたりして過ごした。いやはやゆったりできるから最高だ。着替えのパンツに穴ならあいていたが気にしない。

【小休止】築地のウインナーコーヒー

ルーマプラザを後にすれば、もう京都旅行も終盤である。本来競馬に行く予定だったので、2日目は特に何も考えていない。朝からサウナに入って、もうなんだか満ち足りていた。1周回って逆にもうどうだって良いやと投げやりにさえなっている。1杯のコーヒーとランチを食べられれば十分過ぎる。

渋さマックス

なので、これまたずっと気になっていたのに行ったことがなかった河原町の「築地」に行ってみる。外観からして異質感満載だ。でも不思議とここの風景にマッチしているのは確かにこの場所にずっとあるからなのだろう。昭和9年(1934年)に創業したらしい。シンプルに歴史がエグい。

独特の雰囲気に気圧されて中の写真を撮るのは躊躇われたが、完全に外の世界とは別世界だった。アンティークの調度品がそこかしこに並んでいてどこに目線をやっても新鮮な驚きがある。目が楽しい。

不思議とマッチする
この瓦チックなセンスも良い

ここにはシンプルなブレンドコーヒーはない。コーヒーはクリームがのったウインナーコーヒーである。甘いのに尖っている。

甘い珈琲はあまり好きではないけれど、これはおいしい。これでないとダメだという説得力もある。ティースプーンに添えられてた小さな角砂糖2つもうっかり入れてしまった。それでも甘ったるくない不思議。隣のお兄さんから流れてくる副流煙すらうまい。

ウインナーコーヒー。年一で飲みに来たい

【ランチ】楽仙樓の黒米粥

築地を出て、ランチをどこで食べようか、京都駅に戻ってから食べようかと思案していたが、せっかくここまで来てるのだからと河原町から地下道で四条烏丸方面を目指す。

地下道の壁にはアートが施されている。マリオやどら焼きたい焼きなど可愛らしいアートが並んでいて、マスクの下ににんまりを浮かべてご機嫌で歩く。簡単には喜ばない風を装っているが、結構すぐに喜ぶ。

横目でチロチロ見て一旦通り過ぎ、人がいないタイミングを見計らって舞い戻って撮影する。これが中性的な見た目の私ならまわりの目を気にしなくても良いのだが。太っていること自体を恥じてはいないのだが、「やっぱり飯が好きなんだ」と「太い人が順当にするであろう行動」を目撃されるのは恥ずかしいものなのだ。これだけ食べておいてなんだけど。

これはきっと私がいわれのない「昨日ローソンの前でLチキ食べてたよね?」とか「無印の人ダメソファの展示品で休んでたよね?」などと知らない人の罪も被せられてきたからに違いない。全部やったことはあるけどそれは私ではないんだ。やったことがあるだけなんだ。

ぽっかり人が通らないタイミングが訪れ、いいぞいいぞと喜んで撮り進んでいたら急に謎のメンヘラリズム溢れる壁が現れて、ギョッとした。一体何をモチーフにしているのだ。

来年中くらいにはあんこを作りたい
今年末には杵と臼を買って餅をつきたい
今食べたい
マリオ
こわい

地上に出て、ランチを探す。もう結構満足していて、めちゃくちゃ食べたいものがあるというわけではなかったので、あたりを右往左往する。何だか有名店でもなんでもないおいしすぎないシンプルなラーメンが食べたい気もするが、目ぼしいラーメン屋はない。行列ができているつけ麺屋の目の前の中華店に入った。

酢豚定食や唐揚げ定食などがあるが、2日目の終盤ともなるとどうやら胃が疲れてくるらしい。いつだってそうだ。だんだん家のなんでもない飯が恋しくなってくる。

5食限定の黒米粥というのがあったのでそれにしてみた。こんな大きいのにあなたはお粥で良いのか、あなたにはがっかりだと店員の方は鼻白んでいた。おデブにもそんな日があるのだ。

黒米。小鉢も含めてヘルシー

運ばれて来たお粥を見て、まぁもちろん唐揚げにしておけば良かったのではという気持ちがふわりと浮上してきたが、一口食べてあぁうまいとしみじみこれで良かったと思い直す。小鉢もヘルシーで、鶏団子の餡掛けもしっかり味がついているが優しい。

黒米粥には味変できび砂糖を加えるらしい。自然な甘みでおいしい。

何の引っ掛かりもないほわほわの鶏団子
きび砂糖。クセになって結構入れてしまった。

すぐに食べてしまい、あとは帰るだけ。やはり京都は楽しい。
無理矢理にでも月1回はどこかに出かけたい。

私の軌跡を晒しておきます。気になるお店やスポットがあった人は行ってみてね。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

私のコーヒー時間

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?