西住悠玖 a.k.a たま

アリウタというバンドで作詞だけを担当している三十路の男児。音楽と映画、小説とアニメ、植…

西住悠玖 a.k.a たま

アリウタというバンドで作詞だけを担当している三十路の男児。音楽と映画、小説とアニメ、植物が好きな人。年収ギリギリ300万。つい→ https://twitter.com/uk_nishizumi?s=21

マガジン

  • ティタノマキア(仮題)

    バンドの曲(未発表)をモチーフにして書き始めたオリジナルのファンタジー小説。初長編・初ファンタジー。見切り発車ATS。

  • 花と某

    花とナニカの物語。短編集。

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自己紹介、備忘録

自己紹介と自分向けの備忘録を兼ねて。 Twitter垢はこちらです。 https://twitter.com/uk_nishizumi?s=21 【好きな音楽】スピッツ 浜田省吾 Aerosmith RHYMESTER Soul Scream Soul'd Out Iron Maiden Anthrax Pantera Dream Theater Sentenced Red Hot chilli Peppers A Tribe Called Quest Common Ka

    • 夏のおとしもの。あるいはただの、鼠の死。

      私の足下で、鼠が死んでいた。 今年の夏は特に暑く、連日の猛暑と熱波が続き、時折りやってくる子供の癇癪のような大雨も、泣き疲れて眠ってしまう幼子ように、あっという間に通り過ぎていった。 そんなちぐはぐな気候が続く猛暑日の朝、コンビニの、やけに広い駐車場で、私はその死体に出会ったのだ。 ハツカネズミだろうか、一目見て死体と分かる。 長い尾をした小さな茶色い生き物が、濃灰色の地面の上で、そのささやかな身体を横たえていた。ただそれだけの事だ。 しかし私はその小さな命の亡骸に目

      • 5.RHYMESTER/グレイゾーン

        5.グレイゾーン/RHYMESTER ヒップホップとは何ぞや? 今以上に情報が少なかった2000年代初頭において、ましてや東北・山形の端っこに生きていた中学生にとってそれは、一端を知る事さえ難しい難問だった。 RIP SLYMEの「FUNKASTIC」からラップ/ヒップホップに興味を持ち、同じ頃流行っていたKICK THE CAN CREWを聴いていたぼくは、キングギドラというアーティストに出会う。 彼らについては次回にでも語るが、当時の彼らはオーバーグラウンドを席巻

        • 4.RIP SLYME/TOKYO CLASSIC

          4.TOKYO CLASSIC/RIP SLYME 楽しいラップ、貴方はどこから? 私はRIP SLYMEから。 中学一年生の冬。2月。 バレー部の練習中に足首を骨折したぼくは、入院を余儀なくされた。 陰キャで人見知りの中学一年生が、いきなり知らないオジサン達と同室へと放り込まれ、日がな一日する事も無く部活仲間が持ってきてくれた漫画(真島ヒロ先生の「RAVE」)を何度も何度も読み返す日々。 そんなある日、何気なく観ていた「笑っていいとも」のテレフォンショッキングに、知

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        自己紹介、備忘録

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        • ティタノマキア(仮題)
          7本
        • 花と某
          4本

        記事

          Fire Ball/Book of life

          3.Book of Life/Fire Ball 幼少期は学校が嫌いだった。 今思えば、後に発覚するADHD気質から来る周囲とのズレのせいだったのかも、なんて思うが、まあとにかく学校が嫌いだった。 そんなぼくの前に現れたのが、落第教師Y先生である。 教員試験に5年連続で落ちる。コンビニバイト時代に商品を友人にタダで譲る。「授業したくねえな」と言い出して生徒と体育館でドッジボールを始める。とにかく無茶苦茶であり得ないダメ教師だった。 そんなY先生の教師人生1年目、人生初の担

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          スピッツ/インディゴ地平線

          2.インディゴ地平線/スピッツ 多くのアーティストや音楽ファンへの質問で「初めて買ったCD(レコード)は?」といった質問があるが、大抵はその人の音楽性や嗜好とは違う作品が挙げられる事が多いような気がする。 ぼくの場合は、それがスピッツの「インディゴ地平線だった」 確かあれは小学校5年性の頃だったかと思う。 当時思春期に差し掛かろうとしていた同級生に触発されてか、大人っぽいものへの憧れを持ち始めていた。 そのひとつが「音楽を聴く」「好きなアーティストを持つことだった」。

          スピッツ/インディゴ地平線

          浜田省吾/青空の扉〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜

          今更戻ってくるのも恥ずかしいくらい更新をサボっておりました。 Twitterで「私を構成する100枚レビュー」というものをやっている人がいて、なんか面白そうだし文章を書く練習になるかと思ったので、どこまで出来るかはわからないけど、ひとまずやってみる事にしました。 記念すべき1発目は音楽の原体験のひとつから始めましょうか。 1.青空の扉〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜/浜田省吾 人の音楽観を決めるいくつかの要因のうち、両親の存在は無視出来ない。 もち

          浜田省吾/青空の扉〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜

          ハイビスカスの蛇

          ※グロとかエロとかが無理な方はご遠慮ください。 ハイビスカスを買ったのは、ほんの気まぐれだった。 さほど新しい訳でも綺麗でもないこのアパートのベランダがやけに広く、何か持て余しているような感じがしたからだ。 最初は木にしようかとも思ったが、よくよく調べてみると意外と大きくなるものが多く、洗濯物が干せなくなるのは困るからと、花を置くことにしたのだ。 初めはとりあえず一年草を置いて小手調べ、とも思ったが、花が終わってまた別のものに植え替えるのがまた億劫に感じたので、多年草から

          ハイビスカスの蛇

          砂地の攻防

           銃弾が飛び交う。足元で、耳元で、空気を切り裂く鉛弾の音が掠めていっては、ベレトの小さな背中はさらに縮こまった。それでも彼は足を止めず、ひたすら前へと走り続ける。身のこなしは軽い。いつも持ち歩くバックパックも今日は小さく、持ち物は最小限に抑えてあるからだ。ただでさえ小柄な彼の背中はいつもより一層小さく見えた。  岩陰に身を隠し銃声が聞こえた方向目がけて引き金を引く。ベレト達の装備は旧式で銃は全て先込め式のため、次弾の装填には時間がかかる。ベレトは持ち前の器用さで部隊の中でも装

          二人だけの復讐

          遠くに聞こえる轟音と、櫂が湖面を叩く音の中、暗澹とした沈黙がベレトの周りを包んでいる。彼は両手が痺れている事すら忘れ、ただぼんやりとその喧騒を聞いていた。 無力感、絶望感、虚脱感。あらゆる暗黒が身体を支配して、鼓動の音さえどこか他人事のように聞こえる。  銃声が、遠く響いた。  ポアズだ。理由も無く、そう確信した。  ベレトは顔を上げる。発砲音の主を探すが姿が見えない。ベレトは震える膝を手で支えながら立ち上がって、首と目線を左右に振り回していると、風が一陣、頬を撫でていっ

          二人だけの復讐

          歌詞が好きな楽曲《ロック/ポップス編》

          うっかり更新を忘れておりました。 さあ、今回は「歌詞が好きな楽曲《ロック/ポップス編》」ですよ。 小物使いがキラリと光る、孤独と絶望の北欧哀歌『No One There』北欧はフィンランド出身のメタルバンド・Sentencedの傑作アルバム「The Cold White Light」のラストナンバー。 かつて《ノーザン・メランコリック・メタル》と呼ばれた彼ららしい、冷たく陰鬱で、それでいて心にすっと寄り添うキャッチーさも魅力的なこの曲。 僕はこの曲及びアルバムが大好き

          歌詞が好きな楽曲《ロック/ポップス編》

          幕間、あるいは幕の中

           カラージ国国境の攻防は、ウォーレスら傭兵団の活躍もあってか予想よりも早く決着した。ベレト達が戦っていた兵士達、地面から現れたその一団の目的は弾薬の輸送。彼らは土属性の魔法を駆使して地下道を掘り、その中を移動して前線まで武器弾薬を輸送していたのだ。そしてあえて地表近くを掘り進む事で地面を隆起させ、即席の土塁を作っていくのが彼らの作戦である。その拠点はベレト達が進んだ森の奥にあって、森に訪れた二人が偶々その拠点の方向へ進路をとったため襲い掛かってきた。というのが捕らえた捕虜の証

          幕間、あるいは幕の中

          歌詞が好きな楽曲《アニソン編》

          こんにちは。 さて今日は、もう冬かよ!?という声が聞こえてくる中「雪が降ってないからまだ秋」と強弁する僕こと西住が「歌詞が素晴らしい」と思った曲、3曲を紹介したいと思います。 ……思いますが、候補を上げていくうちに3曲では収まらなくなってしまったので、「アニソン編」「ロック/ポップス編」の2回に分けてご紹介したいと思います。 まずは第1回「アニソン編」にどうぞお付き合いください。 アイドルソングかくあるべし。キッチュな横文字使いが可愛らしい「アルストロメリア」作詞:鈴

          歌詞が好きな楽曲《アニソン編》

          芽生えの森③

           騒々しい森の囁きさえも凍りつき、口の中を支配する鉄錆のような味が、虚空に放り出されたように和らいだ。  彼女の全身を締め付けていた暴力的な握力は次第に弱まり、彼女は呼吸を取り戻していく。呼吸の次に蘇ってくるのは意識と思考。何故、どうして、何が起きているのか――  巨人の手から魔法の力を感じる。それはその巨人のモノでは無く、手の甲から外側へと伸びているように感じた。その力の糸を辿るようにアデリーが視線を動かしていくと―― 「離せ木偶の坊!」  あの少年が、まるでロープを引

          全ての始まりは、首ちょんぱ。

          これはまだ、僕が小さかった頃のお話です。 確か小学1〜2年生の頃だったと記憶していますが、当時住んでいた僕の家は随分古く、年号が平成に変わっているというのに、未だBT……すなわち汲み取り式のトイレだったと言えばどのくらい古い家だったのか想像がつくでしょうか。 ついでに言えば浴槽は木製の桶でした。 ええ、もう、兎にも角にもそんな古いお家に住んでいたのです。 1階は茶の間や仏間、食卓と祖父母の部屋があって、両親と僕ら兄妹の寝室は2階にあったのですが、その寝室にテレビがありま

          全ての始まりは、首ちょんぱ。

          芽生えの森②

          「立てるか」 「立てるよ」 「さっきのガキは?」 「ガキ?」  ポアズの問いにベレトは間の抜けた返事をしてしまう。それが先ほどベレトを助けた女のことを指していると気づいたベレトは慌てて周囲を見回すが、先ほどの人物はおろか、敵の姿も消えている。 「舞い上がった土の数からして10人はいた。どこに行ったんだ?」  ベレトは首を横に振り、再度辺りを見回した。すると木々の向こうから何か大きなものが、かなりの速度でこちらへ飛んでくるのが見えた。それは二人の頭上を掠め、近くにあった大木の幹