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「風と雲 〜清宗異聞〜(十二)」
(十二) 臨安城
パクを護送する船団は臨安の河口へと向かった。そこから川を遡り、臨安へ着いたのはもう初夏のことだった。弥太郎は臨安河口に着く直前に、明州の趙長官に手紙を出した。内々に宮廷工作をしてもらう。清宗の決意に対してもはや文句はない。今ではむしろ、そんな清宗に敬意を払っていた。朱や夏は友人たちの伝を頼って宮廷内の意見を探っている。この頃、宋の財政は金への多額の賠償で火の車だった。その中でな
(十二) 臨安城
パクを護送する船団は臨安の河口へと向かった。そこから川を遡り、臨安へ着いたのはもう初夏のことだった。弥太郎は臨安河口に着く直前に、明州の趙長官に手紙を出した。内々に宮廷工作をしてもらう。清宗の決意に対してもはや文句はない。今ではむしろ、そんな清宗に敬意を払っていた。朱や夏は友人たちの伝を頼って宮廷内の意見を探っている。この頃、宋の財政は金への多額の賠償で火の車だった。その中でな