風と雲〜清宗異聞〜 作者あとがき
平家物語は作者不詳だ。僧侶によって書かれたと推測されているが、日本文学史上に輝く、これだけの名文であるにも関わらずどうして名乗らなかったのか。
それはこの物語が平家への追悼である以上、どうしても生き残った、いや平家を貶めた人々への告発文になってしまうからだ。
もちろんはっきりと責めているわけではないが、事実を事実として書けば自ずと誰に罪があるかは明らかになる。だから物語の中では作者が知る事実を全て書き切っている訳ではない。あまりやりすぎると作者の立場が危うくなるからだ。ただ事