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2023年12月の記事一覧
暴力としての言語(寺山修司) 読書感想文
暴力としての言語 詩論まで時速一〇〇キロ (著:寺山修司、思潮社、1983)
まず各章の、印象に残った引用から始める。
まえがき
言語とーーまさにそれを媒介とした暴力の可能性が、いかに人たちの天性を呼びさますかということである。言語は凶器では、あり得る。しかし言語はただの「道具」にすぎないのか?それとも「物」としての言語を「事」の過程の内でとらえ直すことによって、凶器から暴力に変り得るのか?
影の獄にて 読書感想文
影の獄にて 新装版(著:L・ヴァン・デル・ポスト、訳:由良君美・富山太佳夫、新思索社、2006)
(2023.12.19読了)
結構ネタバレしてます…。
第1部 影さす牢格子
ハラ軍曹は美しい眼をしていた男だ。不恰好だがその眼だけでヨーロッパ人からすれば超越的で無私な人物であるとわかるという。
この『第1部 影さす牢格子』が始まる前にハラは処刑されていて、ハラのやったことを「わたし」とロ
読書感想文: こころの眼(著アンリ・カルティエ=ブレッソン)
こころの眼 写真をめぐるエセー(著:アンリ・カルティエ=ブレッソン、訳:堀内花子、岩波書店、2007)
フランスの写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)のエッセイ集である。この感想文では紹介しきれていないが、他の著名人たちとの交流や苦難の道を辿った旅についてのエッセイも非常に読み応えがあった。
まず、『こころの眼』というエッセイから引用してみる。
この文章からカルティエ