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中学校で学ぶ確率(公立高校入試問題から)

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中学校で学ぶ確率の問題を、公立高校入試問題から、コレでもかというくらいにスモールステップに分けて0から説明をしています。特に確率を「教えにくい」と思っていた10年前の自分に向けて…
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2023年8月の記事一覧

大学入試センター試験 2017 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2017 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

分類:28 少なくとも1つ起こる確率

少なくとも1 表をかいて考えましょう。同様に確からしいことがらがわかるように、あたり2本を[①][②]、はずれ2本を[3][4]と表すことにします。引いたくじは戻さないので、P型の表ですね。起こりうるすべての場合の数は12通り。

 問題文に少なくとも1と書いてあるので、「じゃない方の確率」で考えてみましょう。
 「A,Bの少なくとも一方があたりのくじを引く

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(資料)昭和44年 1969年 学習指導要領 および「指導書」確率部分

(資料)昭和44年 1969年 学習指導要領 および「指導書」確率部分

 確率が中学で初導入。というか、「現代化」を旗印に、集合論を基盤とする数学を小学・中学で全面的に展開するカリキュラムに。「簡単な場合について,確率を求めること。」の文言もここで初登場。

簡単な場合とは・・・「ある事象Aの起こる場合の数をrとするとき,nやrが容易に求められ,r/nを計算することによって,事象Aの確率が求められる簡単な場合について取り上げる。」以上のことは書いてない。

・・・どこ

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(資料)昭和52年 1977年 中学学習指導要領 および「指導書」確率部分

(資料)昭和52年 1977年 中学学習指導要領 および「指導書」確率部分

 実は、本家「ゆとり」はここから。前回の「現代化」指導要領への反省から、順列・組合せは高校に。「確率イコール場合の数という短絡思考は育てない方がかえって好都合でもあり,小,中学校の段階で場合の数の計算に偏った確率の指導に深入りすることは避けるべき」

簡単な場合・・・
確率論的演算は高等学校以上での教材と考え,例えば,順列や組合せの考えを利用して確率を求めたり,期待値を計算したりすることは,中学校

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(資料)平成元年 1989年 学習指導要領 

(資料)平成元年 1989年 学習指導要領 

 前の指導要領まで、小学校で「数が不確定な事象の起こる程度を表すのにも用いられることを知ること」となっていたのが、これを扱わないことにして、確率を数値化することを初めて中3で学習する、ということに。
 それよりも何よりも、高校のコアカリキュラム化、ⅠⅡⅢとABCの6つに分かれるのだが、このうちABCはいくつか設定された単元の中から「履修する生徒の実態に応じて」「適宜選択させる」ということに。

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(資料)平成10年 1998年 中学学習指導要領 および解説 確率部分

(資料)平成10年 1998年 中学学習指導要領 および解説 確率部分

※3割減、「円周率を3とする」に象徴された「ゆとり教育」の象徴とされる指導要領。中学数学で言えば「二次方程式の解の公式」が高校の数学Ⅰに送られたことも話題に。誰か高名な作家が人生で一度も使わなかったと発言したことから、義務教育から高校数Ⅰに送られたとか。ゆとり世代教員の攻撃にこれが使われるのは的外れだった。この世代にとっては習うのがたかだか1年違うだけで、しかも高学力層むけの参考書や塾では中学生に

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(資料)平成20年 2008年 中学校学習指導要領解説部分 および解説

(資料)平成20年 2008年 中学校学習指導要領解説部分 および解説

 現行の1つ前。「ゆとり教育」への強い世論の批判の影響もあり、授業時数を増やし、特に理数系に重点的に増加時間を充てることに。内容も増加。
 中学数学では、確率・統計分野が「資料の活用」に再独立し、余事象が中学範囲に戻る。(高校では数Cがなくなり、確率分布が数Bに。つまり確率分布がセンター試験範囲に。一方、行列が高校からなくなる。)
 また、小学校6年生では「具体的な事柄について,起こり得る場合を順

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大学入試センター試験 2020 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2020 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

力業で、ギリ表がかけるかな 10回続けて、と書いてあり、ドキッとするのだが、こたえるのは、1回目と2回目だけなので、やはり表をかけばよいですね。

もちろん高校生なら・・・ もちろん高校生ならこんな「力業」で解いてはいけない、という問題。条件付確率の考え方を使って、1回目に赤を取り出す確率は$${\dfrac{6}{10}=\dfrac{3}{5}}$$、1回目に赤を取り出した後に2回目も赤玉を取

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大学入試センター試験 2018 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2018 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

分類:1 偶然1回の確率  7 和が○

 さいころ2つですので、表をかきます。①が〇、②が✓、③が☆で、それぞれ条件に合うところを印をつけます。

 ①は、実は小さいさいころは関係ないので、大きいさいころだけで考えて、実はもう$${\bm{\dfrac{1}{6}}}$$瞬答でもいいですね。
 ②・③も、表から$${\dfrac{6}{36}=\bm{\dfrac{1}{6}}}$$、$${\d

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大学入試センター試験 2016 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2016 本試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

 中学生がやってやれないこともない、力業で解けます、というレベルの問題として採録します。

分類:14 取り出して、戻さずもう1回
28 少なくとも1つ起こる確率

表をかくにはちょっと厳しい・・・ 全部で12個の球なので、表をかくのはちょっと厳しいですが、それでも頑張ってみましょう。(←って、記事書く方はパソコンで表を作るので、受験生向けではないですけど)取り出して戻さずもう1回なので、P型の表

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大学入試センター試験 2016 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2016 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

分類:1 偶然1回の確率、8 和が○以上

 起こりうるすべての場合[1][2][3][4][5][6]のうち、5以上である場合は[5][6]の2通りですから、その確率は$${\dfrac{2}{6}=\bm{\dfrac{1}{3}}}$$。

②は表をかいてみましょう。​ ちょっと読解力が試されそうですが、条件に合うのは〇をつけた18通り。ですから、確率を求めると$${\dfrac{18}{3

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大学入試センター試験 2017 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

大学入試センター試験 2017 追試|大学入試問題なのに中学確率で解ける問題

分類:13 取り出して、戻してもう1回

X型の表ですね

 取り出して元に戻して、もう一度、のタイプですので、表は対角線をいじらないX型になります。起こりうる場合の数は16通り。

[①]の条件に合うのは〇の1通りで[②]の条件に合うのは✓の4通りですので、それぞれの確率を求めると、$${\bm{\dfrac{1}{16}}}$$、$${\dfrac{4}{16}=\bm{\dfrac{1}{4

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