外国人とご飯に言った時に絶対言ってはいけないセリフ
こんにちは、taigaです。
最近は結構キツイことをズバズバ言う内容だったので、そろそろ自分の体験談も書いておこうと思う。
タイトルからしてわかる通り、今回もドイツに来てから身をもって体験した、苦い失敗談だ。だがこのテーマについて、多くの日本人は一度は『思ったこと』あるいは『言ったこと』があると思うので、これをぜひ読んで僕と同じ轍を踏まないでもらえると嬉しい。
(いや、敢えて僕と同じ轍を踏んで、身をもって体験してみるというのも構わないが、失敗した直後の、その場の痛々しい空気はしばらくリカバリできないので、そんなこと気にしないぜ、という猛者のみやってみるといい)
ちなみに下記の過去記事にも、僕の失敗談を載せている。もはや失敗談シリーズを作ってもいいかもしれない。時間のある方はこちらの記事も後で読んでくれ。
◆相手を褒めたつもりだったのに
それはまだ僕がドイツに来て1年経たない頃に起きた。
当時、僕は語学学校の同じクラスだった日本人の友人に誘われ、日本人2人・ドイツ人2人で日本食屋さんにランチを食べに行った。
レストランに着いた後、僕ら4人はカツ丼やから揚げ定食など、各々が好きなものをオーダーした。確かその時、僕はエビフライカレーを注文した。
それぞれの定食が来て、めいめいに食べ始め、世間話にも会話が弾む。
その2人のドイツ人は僕を誘ってくれた日本人の友人の友達だったので、僕からしたら彼らとは初対面だった。
話を聞いていると、その2人はどちらも日本が好きで、主にアニメや漫画がきっかけだったが、そのうちの一人はそこから派生して日本文化にも興味が出て来て、何度か日本旅行も経験していたようだった。もう一人は漫画やアニメなどのサブカルチャーで満足するタイプのようだった。
昼飯を食べながら、僕はある事柄に気づいた。
ドイツ人の一人は箸を使ってご飯を食べており、もう一人はフォークを使ってご飯を食べていた。なので僕は、
「君、箸の使い方、上手だね!」
と話題を振った。
すると彼は、「んんー?」みたいな感じでちょっとはにかんだような、ほんの一瞬だが苦笑いのような表情を浮かべたあと、笑顔で僕にこういった。
「君も、スプーンの使い方、上手だね!」
僕はそれを聞いた瞬間、「んんー?」と、さっきの彼とまるで同じリアクションを取ってしまった。
いや、と言うより、そのようなリアクションを取るしかなかったのだ。
◆ドイツ人の『皮肉な』切り返し
僕は、そのドイツ人からこのようなことを言われた直後、頭の中では(えっ、えっ?今なんて?)とこの一瞬で様々なことが走馬灯のように頭をよぎったわけだが、何とか会話を繋げなければいけないので、
「いや、日本人もスプーンやフォークは普通に使うよ、小さい頃に習うからね。最近は国際化しているから、日本人だからと言って箸しか使わないとかじゃないからね、アハハ」
などと、何とか返事をしたわけだが、心の中では正直こう思っていた。
(はァ?スプーンの使い方が上手だって?当たり前やろ!こちとら赤ちゃんじゃねえんだよ!馬鹿にしてんのか!?)
その後、そのドイツ人から「へえ〜そうなんだ」という乾いたリアクションを受け、僕はその時に全てを理解して「ああ、彼は僕の言ったことに対して皮肉で切り返したんだな」と即座に理解した。
その後、何となく会話が気まずくなってしまったので、僕は非常に居心地が悪くなり、僕を誘ってくれた日本人の友人の方をチラリと見ると、彼は「あちゃ〜」と言う感じで苦笑していた。
多分、あの表情のニュアンスからすると、僕の日本人の友人は、僕がこの話題を振った瞬間に、盛大にスベることにもう気付いていたのかもしれない。
彼の方が年齢も十才近く若かったから、とっくに彼の価値観は最新バージョンにアップデートされて『今の常識』を理解していたのかもしれない。だから彼は、僕が典型的な日本人らしさを垂れ流し、ドヤムフンした瞬間に、
「ああ〜コイツまじで超日本人。無意識の傲慢さマジでイタイわ〜」
きっとこう思っていたに違いない。
◆古い価値観を垂れ流し続けると、いつか必ず恥をかく
僕の失敗談を読んでいて、あるいは途中で気付いた人もいかもしれないが、僕は先ほど、このように書いた。
「いや、日本人もスプーンやフォークは普通に使うよ、小さい頃に習うからね。最近は国際化しているから、日本人だからと言ってお箸しか使わないとかじゃないからね、アハハ」
よくよく読んでみてくれ。これって盛大にブーメランじゃないか?
現代に生きる僕らは、箸の使い方以外にも、スプーン・フォーク・ナイフの使い方とそのマナーもどこかの段階で一度は習うだろう。
西洋風の日本食(例えばオムライス)もスプーンは使うし、成人した人でこれらを一度も使ったことがない、という人は今の日本ではほとんどいないと思う。
つまり、日本に限った話ではないが、アジア人だからアジア食だけを食べるわけがないのだ。僕ら日本人はインドカレーも好きだし、イタリアンもケバブも、僕たちは色んな国の料理を日々食べている。
だからその逆もまた然り、というわけだ。
これはドイツに住んで、この失敗を経験した後に知ったことなのだが、ドイツ人も他国にもれずアジア料理をかなり好んで食べる。
一番定番なのは中華料理のテイクアウトボックス(5ユーロ前後で売っていて、安くてうまい)だが、最近は『ジャパニーズ・スシ』もトレンドになっている。
だから若者たちは「ねえ、今週末はスシを食べに行こうよ」などというのは、日本人でいうところの「最近できたスペイン料理屋さんでパエーリャ食べようよ」みたいな感じなんだと思う。
そんな感じで、例え日本に馴染みのない普通のドイツ人にとっても、日本食はちょっとしたヘルシーでおしゃれな食べ物だと思われている、と現役のドイツ人の女子大生から話を聞いたことがある。
また余談だが、ここ数年ではスーパーに『寿司パック』『おにぎり』なども並び出し、より一層スシブームに磨きがかかっている。ただし寿司が何故かサラダゾーンに配置されているのはドイツ人の寿司に対するイメージだと思う。スシは主食ではなくサラダ扱いというのが少し面白い。
ちなみにドイツ国内の典型的な『おしゃれなジャパニーズレストラン』はこんな感じだ(下記リンク参照)。
このレストランはドイツ人が経営しているが結構有名でいくつも店舗がある。以前に一度だけ入ったことがあるが、隣りのテーブルでは若い女性4人がおしゃれヌードルを食べながら女子会をしていた。
きっと彼らの思う『ジャパニーズフード』はこんな感じのイメージなんだな、と思う。素敵な写真が沢山載っているから、参考に覗いてみるのもオススメだ↓
閑話休題。
さて、本題に戻るのだが、思い返せば、この時も4人の女性のうち、1〜2人はやはり箸を使っていて、残りはフォークを使っていた。しかも、少々のぎこちなさはあっただろうが、彼女らは箸をかなり上手に使っていた。
もちろん麺やスープはすすらず(←外国で生活する上で非常に重要なマナー。日本人がこれを知らずにやると嫌われるので要注意)、みんな音を立てずに静かに食べていた。
なので、特に最近において、外国人が『箸を使う』というのは、別に珍しいことでも自慢することでもなく、僕らがスプーンやフォークを使うのと同じように普通のことなのだ。
とはいえ、箸を使うということは異文化へのチャレンジである。だからきっと彼らにも最初のきっかけはいろいろあったと思う。
幼少期からアジア料理に親しみがあってよく食べているから、ということもあるだろうし、今回のドイツ人の知人のように、『漫画やアニメにハマって、そのまま日本文化に興味を持って使えるようになった』のかもしれない。
どちらにしろ、僕の価値観は古かった。Windows95ぐらい古かったのだ。
はるか昔から、日本にだってスプーン文化はとっくに存在していたのだ。僕らは赤子の時からきっと使っていたはずだ。それなのに、この現代のドイツにおいて箸を使える人がいないわけがないじゃないか。
そもそも、例のドイツ人の知人の話で言うと、彼は既に日本にも何度も旅行に行っていた。そんな彼が、箸の一つも使えないわけがなかったのだ。
◆まとめ:『褒め言葉のつもり』は非常に失礼だということ
あの日の僕は非常に傲慢だった。
「箸の使い方、お上手ですね」など、日本文化が好きな相手によくもドヤムフンと笑って言えたものだ。今思い返しても、あの時、すずしく笑って世間話を提供した気分になっていた自分が恥ずかしくて堪らない。
ちなみに「褒め言葉のつもりだったのに失礼な相手だ!」などと憤慨するのは全く筋違いだ。それは相手の文化を知ろうともせずに自分の価値観を平然と押し付ける、無意識かつ無自覚な『悪意』を垂れ流しているに過ぎない。
この『褒め言葉のつもりで相手に失礼なことを言う』というのは、手を変え品をかえ何度もやってくるもので、まだ他にもいくつかエピソードがある。それらも全て苦い失敗談だ。また時間があれば書いてみようと思う。
そんなこんなで、僕はあの場で盛大な恥をかいたわけだが、これも幸いなことに「なんだよコイツ!俺に恥をかかせやがって!」という日本人ガチガチ価値観のクソ野郎にならずに、自分の失態を受け止め、なぜ自分が失敗したのかを即座に理解し、受け止めることができたのは本当に良かったと思う。
これは僕の考えだが、日本人は変な時に空気は読めるのに、こういう『日常的な失態』に全く気付けない人はかなり多いのではないかと思う。
日本人特有の『不寛容さ』に起因するのかどうかは分からないが、自分の価値観が絶対正しくて、他は絶対に認めないという人、多くないだろうか?
常にアンテナを張り、物事に興味を持ち、失敗したら素直に認めて、次からは繰り返さないようにする。
こういうことをひたすら積み重ねていってようやく『井の中の蛙、大海を知らず』を脱して、大海原に出ていけるのだと、僕は日々思うのだ。
この記事を最後までお読み下さいましてありがとうございました。 これからも皆さんにとって興味深い内容・役立つ情報を書いて更新していきますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。