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[面白い!] Facebook への転職とモバイルシフト

こんにちは、tacox です。本日は、Facebook への転職経緯について少しお話してみたいと思います。

Google から Facebook への転職はまるで社内異動のようだった

Google で代理店広告営業を経験した後、2014年6月に Facebook へ転職します。Agency Partnership Manager という肩書きです。

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この転職は、自分にとって非常に容易な転職でした(入社してから戸惑いが少ないという意味です)。というのは、世界のオフィスでは多くの Googler が Faceook に転職していて、企業文化、コミュニケーションスタイル、組織構造、プロダクト戦略、ビジネスモデル、働き方が似通っていたからです。ちなみに、Google Japan から Faceook Japan への転職は僕が第一号でした(Google Japan から Facebook の別のアジアオフィスへ転職した日本人は他に先に一人いましたが)。役割も、検索広告を売ることから SNS 広告を売ることに変わっただけで、取引先や顧客も広告業界の人たちでした。Google の中で、カスタマーサポートから代理店営業へ社内異動したよりもずっと近しい領域へ飛び込んだ感覚でした。

2014年当時の Google Japan の状況は絶好調で、 検索シェアでは Yahoo Japan をすでに抜き、広告アルゴリズムの精度の高さから、ダイレクト広告のパフォーマンスは圧倒的でした。ディスプレイ広告や Youtue 広告のブランディングエリアの成長余地も多分にあり、そして、Double Click や Google Analytics などのアドテクも押さえていて(この二つの製品群は、後に Google マーケティングプラットフォームとブランド統一されます)、デジタル広告では向かうところ敵なしというポジショニングでした。

なぜ転職?なぜ Facebook?

では、なぜ転職を考えたのか?それは大きく二つの理由がありました。

・世の中が PC からモバイルへシフトしつつあり、この流れは止まらず、その中で Facebook にアドバンテージがあると考えたから

・Up or Out の力学により、後輩などが先に昇進し、自分の中でそろそろ外のオポチュニティを考え始めたから

前者が、”引く”力、後者が、”押す”力です。押す力と引く力が合わさって人は転職を考えはじめ、実行に移すと思います。押す力だけでは、ネガティブな理由で去ることになり、あまりいい選択とならなかったり、引く力だけでは、現職の責任や周囲とのコネクションを考え、転職に踏み切れなかったりするものです。

PC からモバイルへのシフト

今では、インターネットがスマートフォン起点で、ニュースを読むのもスマホ、友達と連絡するのもスマホ、株取引をするのもスマホ、お買い物をするものスマホが当たり前の光景となっています。2014年当時も、モバイルファーストとすでに言われていたと記憶しており、Google も広告配信のシステムを刷新し、Google への出稿は、どのデバイスに出稿するのか選択することから(つまり、PCユーザーに広告を出すのか、モバイルユーザーに広告を出すのか、まず選択することから)、PCかモバイルの両方がデフォルトというクロスデバイスのコンセプトにちょうど切り替えました (Enhanced Campaign と呼びました)。

PC の時代は、ブラウザと検索エンジンを押さえたものが勝者です。1995年にウィンドウズ95がリリースされました。技術に精通しない人でも直観的に理解できるインターフェースの登場により、一家に一台パソコンを所有しそれを活用できる時代が到来しました。そして、翌年、インターネットが開始します。http の大海原に、オフラインにあった大量のコンテンツがオンライン化されはじめます。自宅の高性能のマシンからいつでもコンテンツを得られる利便性が生まれたものの、大量のコンテンツを精査したり、必要な情報に効率的にアクセスしたりするニーズが生まれます。それを解決するのが Google の検索エンジンでした。「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」という Google のミッションに熱狂し、Google 時代の多くの仲間が自分たちの取り組んでいることにエキサイトしていました。

一方、モバイルの時代は、いくつのキラーアプリをスマホユーザーにダウンロードしてもらえるかが勝負です。日本のスマホユーザー1人あたりの平均ダウンロード数は約80個、そのうち利用されるのは3割の24個くらいと言われているそうです。つまりこの24個の中に自社アプリが入っていないと勝てません。スマホシフトにより、アプリがインターネットのゲートウェイになったのはいくつもの理由があると思います。たとえば、

・アップル社が開発した iOS がそのような UI に設計したから

・インターネット登場から長い年月が経て、コンテンツが淘汰され、各カテゴリのプレーヤーが選別されたから(Eコマースなら〇〇、ホテルやトラベルなら△△、金融系サービスなら□□など)

・有象無象にあるコンテンツを検索エンジンで探すのでなく、よく利用するアプリをブックマーク代わりにダウンロードして、アプリをインターネットのゲートウェイとしたから

・パーソナルなデバイスという特性が、アイデンティティの担保になり(デバイス=アカウント)、アプリを開くときにはタイピングによるログインが不要になり(保存機能や生体認証)、ますますアプリが便利になったから

Facebook のアドバンテージとは?

転職を考えていた 2014 年当時の Facebook は、モバイル最適化をどこよりも素早く(move fast)、実行していた先駆者だったと思います。それが非常に魅力的でした。ちょうどインスタグラムの買収があり(インスタグラムは mobile native です)、2つのキラーアプリを保有していました。友人や知人のニュースやテクストは Facebook を使って交流し、クリエーターや著名人の写真やイメージは Instagram で楽しむという棲み分けも上手にできていました(なお、のちに What's up が仲間入りしたり、Messenger のスピンアウトさせたりして、多くの月間アクティブユーザーを抱えるアプリをファミリーアプリとして束ねることに成功します)。

スマホがパーソナルなデバイス空間であることと、Faceook が人やコミュニティと交流できる巨大サービスを持っていることが、非常にフィット感があり、次のトレンドを作ると確信しました。また、モバイルデバイスはいつでもどこでもインターネットにアクセスでき、常時身近に持っているため、スキマ時間での利用が増えました。コンテンツを机に向かって探すことから、通勤や余暇の時間に空隙を埋める何を発見することへ、生活者の情報行動が変わったことも SNS に軍配があると考えました。こうして、Facebook への転職を決めました。

まとめますと、インターネットを利用するデバイスに、モバイルが加わり、モバイルシフトが加速する時代のなかで、

・Facebook はサービスの設計がブラウザでなくアプリを主軸に切り替えできていたこと

・スマホがパーソナル空間であることと、友人知人やコミュニティとの交流サービスにフィット感があったこと

・コンテンツをプロアクティブに効率良く探すことから、余暇時間を埋めるリアクティブな発見のニーズが高まったこと

ということを感じ取り、検索の世界から SNS への世界に移りました。

本日は以上となります。次回は、Facebook の広告ソリューションについて、なぜ広告業界の二強になれたかのかを考察してみたいと思います。ありがとうございました。

コンテンツ
1. はじめに(キャリアの作り方連載します)
2. チャンスをつかむ必勝法とは
3. 検索連動型広告との出会い
4. Google 面接と転職
5. Google での英語の苦労と学習法
6. Google で学んだ仕事術
7. 目標管理ツール OKRs について
8. 35歳からの営業職への転身
9. GAFAはなぜ企業文化を大切にしているか?
9. Facebook への転職とモバイルシフト
10. Facebook は広告の強さとコマースへの進出!?
11. 決済とはマーケティングだ!
12. 変化とグロースの世界で生き抜く方法

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