太刀川

Minakai

太刀川

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マガジン

  • 手取り15万の書斎より

    家賃で5万、2万で食べて、残りは8万 愛に数万、夢に数万、逃避行に数万、残りは数円

記事一覧

小石を蹴る

太刀川
1年前
1

図鑑No.202 青炎花の特徴

取り留めもなく植物図鑑に手を掛けるとNo.202青炎花のページが翅を開いた。ゲンゲ科の植物で湿気と日差しを嫌う。原寸大の種子はこれくらい(僕は種子摘まむような真似をし…

太刀川
3年前
1

鈍感な夜

こんな時間なのに自動販売機に並んだ。 きっと前の人も深夜徘徊。ラフな服装に眼鏡で、誰にも会わないと思ったのだろうかマスクは着けず、勿論すっぴん。 目算、歳は同じく…

太刀川
3年前

交通渋滞の最中、干し梅を食べて顔を顰める。それを見た対向車線の人間が肩を上げながら顔を顰める。些かオーバー模倣だった。
その後、お互い笑顔で会釈してすれ違っていった。僅か7秒の寸劇。
こんな情勢でマスクを着けずに笑いあったのは良きかな。

太刀川
3年前
1

理髪して出社したらニヤニヤを被って、産まれてから多々感じていた「動物園の動物」に陥った。
ただ、大人になってからは、「シュノーケリングで鑑賞される魚」に近い。それでもゴーグルの膜を感じる。
目下、差し当たって、触れてくれる人は1人しかいない。
その人のことがとても好きだ。

太刀川
3年前

5/24~31の○○週間

今週の「異種人間関係週間」 小生、昨日の会話で気付きを得る。 仮に小生はAとお友達、AにはBと云うお友達がいる。 小生、Aと居ると心地好いが、見ず知らずのBと居て心地…

太刀川
3年前

海面鎮静剤・序文 2021/05/23 研究者名:minakai(蒼空海保全機構)

2021/05/23現在、全海洋の朱化率は96%に止まり、攻略不可能な「彼の海」は棚に上げるとして「彼女の海」の研究を進めるとする。  「彼女の海」の一部に朱化界面活性剤を…

太刀川
3年前
1

卯月、回顧

ここからが本番。 先月、卯月、事故現場に遭遇する、いわゆる右直事故。直進車は横転してた。 僕を含め目撃した車から3人の戦士が駆けつけて、閉じ込められた運転手を引…

太刀川
3年前
2

余所風

そよ風 夜風は他人事 誰も知らない方角から吹いてくる。四月から一線を越えたなら風は殆ど鮮烈に、彼の体温を引き連れて、誰もが知る方向に吹いて行く。 行方知らずの体温…

太刀川
3年前

僕曰く「癖の無さは、最も一般的な癖ですよ」と云うことで、その僕は癖毛に悩む1人の美容師さんを気楽にさせたとか、させてないとか

太刀川
3年前

燃ゆってな

推しが欲しくなって 桜が散ってから自分を推すことにした 知らなかったけど、皆んなには推しがいるみたい。 仮に「桜を推すことにした」と聞いて「そういうことではないだ…

太刀川
3年前

青の色覚

カッコいい。僕に向けられたソレは遠く理解に及ばない。きっと、その概念の総てを以て初めて受け入れられる。 どのコミュニティーだってそう。飛び抜けたキレイな顔が1つ、…

太刀川
3年前

夜糞峰榛~冬桜~

今年は散った 冬に咲く桜、夜糞峰榛。別称は梓、または水目桜。汎称は冬桜。桜を称するカバノキ科。されど、冠たる美しさがある。山地に自生して花見の客は土着人だけ、独…

太刀川
3年前
1

平均ofヘイキン

来年から社会人。地元の会社は車を走らせ約10分。収入は平均程度。 両親、兄、柴犬が一匹。22歳。 閑静な住宅街に佇む質素な一軒家。車は2台。日当たり良好。 実家の富は…

太刀川
3年前

止マリテ氷(ヒ)ニ成ル冬ノ虫
春ノ蝶ニ
秋ノ蜻蛉ニ
憬レズ

「痛カッタネ」ト莞爾スルノハ
飛ンデ火ニ入ル夏ノ虫

太刀川
3年前

兎と亀。
兎が寝なかった場合、作者がトラバサミを仕掛けるしかない。
作者はそのためにいる。

太刀川
3年前

図鑑No.202 青炎花の特徴

取り留めもなく植物図鑑に手を掛けるとNo.202青炎花のページが翅を開いた。ゲンゲ科の植物で湿気と日差しを嫌う。原寸大の種子はこれくらい(僕は種子摘まむような真似をして示す)。花の形については、その名称から想像に難くないだろう?
「葵」でも「蒼」でも「碧」でもないのだから、この文章を描いている今も尚、冷め遣らぬ興奮がある。インターネットで花の逸話を調べれば、このネーミングには名も知れない文豪が関

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鈍感な夜

こんな時間なのに自動販売機に並んだ。
きっと前の人も深夜徘徊。ラフな服装に眼鏡で、誰にも会わないと思ったのだろうかマスクは着けず、勿論すっぴん。
目算、歳は同じくらい。同じくらい? だったら同級生? お互い成長していて分からなかっただけかもしれない。
その人も或いは、社会人1年目で新しい環境にてんてこ舞いで浮遊病を罹患しているはずだ。
「こんばんは」「どうも」の一言二言で全てがわかった。

そんな

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交通渋滞の最中、干し梅を食べて顔を顰める。それを見た対向車線の人間が肩を上げながら顔を顰める。些かオーバー模倣だった。
その後、お互い笑顔で会釈してすれ違っていった。僅か7秒の寸劇。
こんな情勢でマスクを着けずに笑いあったのは良きかな。

理髪して出社したらニヤニヤを被って、産まれてから多々感じていた「動物園の動物」に陥った。
ただ、大人になってからは、「シュノーケリングで鑑賞される魚」に近い。それでもゴーグルの膜を感じる。
目下、差し当たって、触れてくれる人は1人しかいない。
その人のことがとても好きだ。

5/24~31の○○週間

今週の「異種人間関係週間」

小生、昨日の会話で気付きを得る。
仮に小生はAとお友達、AにはBと云うお友達がいる。
小生、Aと居ると心地好いが、見ず知らずのBと居て心地好いと云いきれるか? 無理である。
Aとは共鳴する性質があるので睦まじいが、Aにあって小生にはない性質の所でBがいることも考えられる。

「その人の知り合い、知り合いの知り合いまで網羅すればその人の概略がわかる」

そう耳にしたこ

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海面鎮静剤・序文 2021/05/23 研究者名:minakai(蒼空海保全機構)

2021/05/23現在、全海洋の朱化率は96%に止まり、攻略不可能な「彼の海」は棚に上げるとして「彼女の海」の研究を進めるとする。

 「彼女の海」の一部に朱化界面活性剤を投下すると、瞬く間に朱に染まった。元来、「彼女の海」の深層水は朱の海と似た成分でできているとの報告があり、時折、海面に発生するポケットを発見するやいなや薬品を投下して朱に染めようとするものが本文であるようだ。過日の縮小モデルを

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卯月、回顧

ここからが本番。

先月、卯月、事故現場に遭遇する、いわゆる右直事故。直進車は横転してた。
僕を含め目撃した車から3人の戦士が駆けつけて、閉じ込められた運転手を引きずり出す。
他人からしてみれば只少し珍しい風景でも、当事者からしてみれば地獄、阿鼻叫喚。
それは、もう一方の右折を試みた女性も同様に。車内には20前後の女性がまごついていた。車体には瑞々しい若葉マーク。
彼女の車を移動させないといけな

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余所風

そよ風 夜風は他人事

誰も知らない方角から吹いてくる。四月から一線を越えたなら風は殆ど鮮烈に、彼の体温を引き連れて、誰もが知る方向に吹いて行く。
行方知らずの体温は、彼のものではなくなって、残念ながら余所のもの。
纏わりつかない。割に合わない。

足音、未知の音
最前、余は音

僕曰く「癖の無さは、最も一般的な癖ですよ」と云うことで、その僕は癖毛に悩む1人の美容師さんを気楽にさせたとか、させてないとか

燃ゆってな

推しが欲しくなって
桜が散ってから自分を推すことにした

知らなかったけど、皆んなには推しがいるみたい。
仮に「桜を推すことにした」と聞いて「そういうことではないだろう」なんて、そういうことではないのだけれど、「推し」の定義が僕には難解で、随分と呻吟した挙げ句のこと。
「推し」とは、自分の時間や財、労力を以て第一義の集団や個人を応援するもの。宗教に近い。何かを応援したり信仰する、広く、熱狂すること

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青の色覚

カッコいい。僕に向けられたソレは遠く理解に及ばない。きっと、その概念の総てを以て初めて受け入れられる。
どのコミュニティーだってそう。飛び抜けたキレイな顔が1つ、幅を効かせていることが殆どだ。そして僕は、10人いたら11番目、1000人いたら1001番目。誰が見て値踏みするのだろう。

物見なんて光を見ているに過ぎない。青く見える物は、青い光を反射するだけで、それ自体が青いわけじゃない。
赤、黃、

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夜糞峰榛~冬桜~

今年は散った

冬に咲く桜、夜糞峰榛。別称は梓、または水目桜。汎称は冬桜。桜を称するカバノキ科。されど、冠たる美しさがある。山地に自生して花見の客は土着人だけ、独特の匂いがして、刻刻の葉は触れると怪我をしそうだ。

夙に、僕はその姿を見たことがないけれど、断片だけは所有している。
愛用のギター(Headway HD-Fuyuzakura'19/ATB)のバックとサイドの木材に宛てられ、振動を伝えて

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平均ofヘイキン

来年から社会人。地元の会社は車を走らせ約10分。収入は平均程度。

両親、兄、柴犬が一匹。22歳。
閑静な住宅街に佇む質素な一軒家。車は2台。日当たり良好。
実家の富は平均程度。

ひ、ふ、み、よ、。恋愛経験は4人で現在進行。5人目はなく。
顔面偏差値は平均程度。

最終学歴は平均以下でも、高校は進学校。足して割って。
頭の力は平均程度。

目を細めても両天秤にかからない。天秤皿の質量は均衡して、

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止マリテ氷(ヒ)ニ成ル冬ノ虫
春ノ蝶ニ
秋ノ蜻蛉ニ
憬レズ

「痛カッタネ」ト莞爾スルノハ
飛ンデ火ニ入ル夏ノ虫

兎と亀。
兎が寝なかった場合、作者がトラバサミを仕掛けるしかない。
作者はそのためにいる。