海面鎮静剤・序文 2021/05/23 研究者名:minakai(蒼空海保全機構)

2021/05/23現在、全海洋の朱化率は96%に止まり、攻略不可能な「彼の海」は棚に上げるとして「彼女の海」の研究を進めるとする。

 「彼女の海」の一部に朱化界面活性剤を投下すると、瞬く間に朱に染まった。元来、「彼女の海」の深層水は朱の海と似た成分でできているとの報告があり、時折、海面に発生するポケットを発見するやいなや薬品を投下して朱に染めようとするものが本文であるようだ。過日の縮小モデルを使った仮想実験と同じ結果になったらいしが、至極当然である。
 「彼女の海」とは、統一のない雑多な性質を持った海洋区画であり、海の統一を目指す世界機構が流布した愛称である。しかし、深淵な「彼女の海」の朱化計画は、頓挫はしないものの、0.7%の統一率に泥んでいる。ところで、海の意思が動いて、彼女が朱に染まろうとすれば造作もないのであるが、そう都合良くもないのである。
 その原因に「彼の海」があるとされるが、その詳細はお配りの資料、頁403に参照されたい。いやはや、まったく、どの海洋とも性質を共にしない「彼の海」が悪さをしているという論文は強烈なインパクトを与え世を震撼させた。それは遠くない昔、僅か半年前のことである。屡述の海の意思が認められた時期と重なるのは運命の悪戯か。

 以降、我らが「蒼空海保全機構」と「世界海洋朱化機構」との鬩ぎ合いをレポートする。

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