七恵

写真撮ったり食べたりしながら三位一体で人體と向き合える歯科医師目指してます。

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医療の狭間で揺れた6年

 熱を出したら解熱剤、なんて聞いたことがなかった。熱を出したらひたすら白湯を呑んで梅干しを食べる。ついでに鍼灸の先生に診てもらい、熱を出し切ってうんちが出たら完治。風邪をひきそうなら葛根湯とユベラC。砂糖とお肉を根絶して早く寝る。というのが家での風邪ルーティンだった。  東洋医学にどっぷり浸かって育ててもらって、大学に入っていきなり西洋医学の勉強を始めるとその違いに戸惑った。症状を消すばかりで、それは根本的な解決になるのだろうかと思うことが多く、抗生物質や抗菌薬は確かに原因

    • 死ぬと言わない祖母のオムライス

      「もうこの先長くないから」 「その頃にはもうこの世にいないから」 よくあるセリフだ。世の中の多くのご高齢の方々が口している言葉だと思う。この言葉で誰かが傷つくわけでもない。だけどある時、祖母からこの類のセリフを一度も聞いたことがないことに気がついた。いつも活動的で、今もなお現役で週3で働いている。本日誕生日を迎え、御歳85歳。すごすぎる。 ふくよかなおばあちゃんは今も痩せることを諦めていないらしく、効果のありそうなことを色々と試している。食事だったりサプリだったりマシーン

      • 内観研修を終えて

        内観研修を一言で表すと「7日間のソウルブラッシュアップ」でしょうか。自己研鑽の一つの方法で、一種の修行であると思いました。 修行というと“苦“を連想しがちですが、実際にやる内容はとても身体に優しいものです。毎日3つの質問に答えて、朝昼晩と美味しいご飯を食べて、温かいお湯に浸かって、静かな風の音を聴きながら寝床につくだけ。たったこれだけ。それなのにこの7日間を終えた後は、多くの人がそこで得た気づきと共に人生を再構築していくんだから面白いと思いました。 極めてシンプルだけど奥

        • 熱情をもって生きる

          はじめて読んだ三島作品は、「命売ります」というエンタメ小説。あまりの面白さと世界観に、それまで三島由紀夫に対して勝手に抱いていた"堅苦しい"という偏見が吹っ飛びました。 宝石のような文章も書けば、人間の醜悪を実装させたような文章も書きます。いくつかの作品を読むうち、三島由紀夫の思想や哲学に興味を持つようになりました。そんな時に出会ったのが、ドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜」。そこには若者たちと真剣に向き合う三島由紀夫と、日本の未来を憂いて立ち

        医療の狭間で揺れた6年

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        • 8本
        • 10本
        • 7本
        • 2本

        記事

          『革命前夜』 に導かれて

          ドレスデン行きを決めたのは、この本を読んだ半年後のことだった。フラウエン教会のオルガンの音が聴きたくて。 黒い街が辿ってきた道 『革命前夜』の舞台であるドレスデン。降り立った瞬間、暗くて呑み込まれるような雰囲気に圧倒された。旧市街の教会や建物は全体的に黒ずんでいる。異質な重たさを感じた。 18世紀にバロック文化が花開き、かつては芸術の都としてパリやウィーンと並び称されたドレスデンは、1945年2月13日に連合軍の爆撃に晒された。美しいものしかなかった芸術の都は空襲の備え

          『革命前夜』 に導かれて

          大寒の日の決意

          『初恋』で描かれた北海道がとてもきれいだった。地元なだけに嬉しかった。そして冬の描かれ方が素敵でハッとした。外から見たら雪国の冬ってこんなに美しいのか。 高校生の也英が車の窓ガラスから雪の降る外を眺めていたシーンは、なんだか涙が出そうなくらい懐かしかった。(まだ住んでるけど) 地元を想うときの季節はやっぱりこの長い長い冬なんだろうか。春も夏も秋も素晴らしいけど、暗くてきびしいこの季節に育てられたみたいだ。 暗い夜道に漂う白い息、寒さで変わる雪を踏む音、車のフロントガラス

          大寒の日の決意

          『金閣寺』三島由紀夫

          1950年、金閣寺が燃えた。見習いの僧侶が放火したために全焼したらしい。その事件を題材にして書かれたのがこの『金閣寺』で、人間のコンプレックスと社会の歪みが生み出した一つの事象として見事に描出されている。本人すら分かっていなかったかもしれないその本質を徹底的に分析し、投げられた匙を磨き上げてしまう天才。 中でも、鹿苑寺を飛び出してから由良に着き、そして金閣を焼かねばならぬとの暗示を受けて帰路の列車に乗るまでの主人公の心の変遷を表した情景描写が素晴らしかった。 これがそのシ

          『金閣寺』三島由紀夫

          『潮騒』三島由紀夫

          なんですかこの透明感!!? 眩しい とにかく眩しい 10代後半のふたりの眩しさが、歌島の情景と重なってさらに眩しいのです。 今まで読んだどの小説よりも飛び抜けて清らかな、清純の権化のような作品でした。「ひまわりみたいな物語だ」と批評には書いてあったけれど、ひまわりのようなずっしりとした明るい花ではなくて、今にも風に吹かれて飛んでいってしまいそうなほど軽く透明感のある花が似合います。なんだろうネモフィラとか? とにかくこちらが恥ずかしくなってしまうくらいみずみずしく光に

          『潮騒』三島由紀夫

          『それから』夏目漱石

          理屈っぽい。という冒頭の印象はそのままに、進むにつれて夏目漱石の狂気的な側面を感じた。 「三四郎」という小説が夢の中で過ごす青春時代を描いたものなら、やっぱりこの作品は「それから」なんだろう。 今回は、青春時代が終わって社会に出始めたころの主人公のお話。出てはないんだけど。 実家が裕福で、働かなくても悠々自適に暮らしていけるだけの金銭的な余裕があり、周りからはそろそろ社会に出ろと言われても、理屈ばっか並べて結局何もしない。というキャラ設定。 まあ〜読んでいてイライラするこ

          『それから』夏目漱石

          「今だけカネだけ自分だけ」の世界の片隅で

          2022年参院議員選挙も終盤 今回はよしりん(参政党)を応援してます。 でもなんとまあアンチの多いこと(笑) 今日本で起こっている問題全てに共通する要因、その本質を見抜けば参政党なんか批判してる場合じゃないのになと思います。選挙は茶番。どの政党が勝っても結局何も変わらないです。 だって日本を支配し動かしているのは日本政府ですらない、国際金融資本、グローバリストだから。 アメリカの大資本は「今だけカネだけ自分だけ」 Netflixで話題になったEmily in Pari

          「今だけカネだけ自分だけ」の世界の片隅で

          『美しい星』 三島由紀夫

          フルシチョフとケネディと葡萄入りのパン これは…ただのエンタメ小説ではないぞ…! と気がついたのはこの部分。 これは自分達は宇宙人であると自覚した一家の父、重一郎のセリフ。小説の中では「愚かな地球人」のために立ち上がり、地球人解放のために尽力している。 表題とあらすじだけでなんとなく想像していた内容の斜め上を行っていて、この辺りからだんだん読むのが楽しくなってきた。 人間の三つの宿命的な欠陥 途中、重一郎への対抗勢力も出現する。これも大杉家と同じように自分達は宇宙人で

          『美しい星』 三島由紀夫

          人生で一度の旅 #しまなみ海道【後編】

          #前編 では、大三島までのおすすめスポットを紹介しました。さっそく生口島から続きを。 生口島へ。ごめんなさい。先に断っておきたいのが、私と相方は基本的に食い意地がすごい、かつ最短ルートを通っていたということ。食>>>>>>観光スポット 生口島は観光スポットが特にたくさんある島なのに、ひとつも行きませんでした。写真もほぼなし、、、。 そんな我らが生口島で唯一寄った場所がこちら。 『岡哲商店』 このコロッケがすごい有名なお店らしく、取材記録やら色紙やらがたくさん貼ってありま

          人生で一度の旅 #しまなみ海道【後編】

          人生で一度の旅 #しまなみ海道【前編】

          世界中のサイクリストの憧れ、しまなみ海道。 3月後半の2日間で今治→尾道をサイクリングしてきたのですが、これがあまりに最高で…。  多くの人が人生の中で、あれは本当に正解だったと自分を誇れる選択をしたことがあると思いますが、このしまなみ海道サイクリング旅はまさにそれでした。人生の中ではほんの些細な出来事だけど、今を生きるって、こういう小さな選択を大切にすることでもあるのかな。 ちなみにルートは以下の通り。 各島での下調べはほぼゼロ。笑 感性の赴くままに旅をしました。

          人生で一度の旅 #しまなみ海道【前編】

          よく学びよく遊びよく食べる

          学生生活も残すところあと2年。2022年はより学びを深めていきたい所存です。 具体的には英語、料理、東洋医学の勉強など。 CBTもあることだし専門の勉強はもちろんだけど、東洋医学をもっと体系的に理解したいし、英語のレベルをばっつり上げたい! とくに料理。美味しいご飯作れる人ってそれだけでもう満点なんだよな〜(個人的見解) 物事は捉え方次第で万事どうにでもなるから、精神論とか哲学とかは大事だけど、やっぱり人生を創り上げていくのは自分の努力でしかないよな、と。 その努力で得

          よく学びよく遊びよく食べる

          他人の嫌な部分こそ自分の一部

          昨年の秋頃、ある一冊の本を読んで衝撃を受けた。そこに書かれていたのは、 他人の気になる行動や苦手な部分こそ、自分自身が気にしていたり、コンプレックスだったり、潜在的に変えたいと思っている部分だ。 というもの。 私はこの頃よく「本音を言わない人ってなんか裏があるようで苦手」と思っていた。そしてこの文章を読んだ時に気がついた。 私じゃん、、、笑 自分の気持ちをはっきり伝えずその場を乗り切る。やんわり濁す。曖昧な返答の数々。 自分の行動を振り返ると、私こそ本音を言わない人間

          他人の嫌な部分こそ自分の一部

          『三四郎』夏目漱石

          今更ながら、夏目漱石の前期三部作を読み始めた。三四郎を読み終え、怠惰な夏休みを正当化すべく、感想をつらつらと書き連ねていく。 一番印象に残った文章は、三四郎が大学の図書室に入って、その書物の上に塵が積もっているのを見た場面。 それから凡ての上に積った塵がある。この塵はニ三十年かかって漸く積った貴い塵である。静かな月日に打ち勝つ程の静かな塵である。 本に被った埃をこんなにも美しく表現できることってあるんだろうか…。と、軽くショックを受けた。 なんでもない情景描写や心理描写

          『三四郎』夏目漱石