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内観研修を終えて

内観研修を一言で表すと「7日間のソウルブラッシュアップ」でしょうか。自己研鑽の一つの方法で、一種の修行であると思いました。

修行というと“苦“を連想しがちですが、実際にやる内容はとても身体に優しいものです。毎日3つの質問に答えて、朝昼晩と美味しいご飯を食べて、温かいお湯に浸かって、静かな風の音を聴きながら寝床につくだけ。たったこれだけ。それなのにこの7日間を終えた後は、多くの人がそこで得た気づきと共に人生を再構築していくんだから面白いと思いました。

極めてシンプルだけど奥深い内観という世界について、体験をもとにつらつらと書いてみました。

内観を受けて人生は変わる?

この内観研修で得られること、その効果についてですが人によってまちまです。なぜなら研修を受ける段階で、今までどれくらいその人が自己の世界を客観視してきたかが違うからです。人間関係や家族との確執、病気など、抱えている問題が多ければ多いほどその後の変化は大きいはずです。事例として聞いた中で印象的だったのは、

顔も観たくなかった母との関係性が改善した

内観研修後に就活をしたら希望の就職先から全て内定が来た

長年患ってきた病気が治った

などなど。何故と思う人ほど受けてみてほしいです。憎しみは感謝に、恨みも感謝に、生への悲哀も感謝になるのが内観だと思いました。

シンプルな3つの質問

内観研修の具体的な内容ですが、まずは母に対して、

・してもらったこと
・してあげたこと
・迷惑かけたこと

を、生まれる前から現在までを何時間もかけてみていきます。まずは生誕〜小学校入学前まで 母にしてもらったことをみていきます。次にしてあげたこと、それから迷惑かけたこと。終わったら今度は小学校6年間、母にしてもらったこと、してあげたこと、迷惑かけたこと。次に中学校〜高校卒業まで…といったような感じで、繰り返し繰り返し、3つの質問に対して答えていくのです。
これを父、祖父母、兄妹姉妹、もっと輪を広げた周囲の方々に対しても同様に行います。
進度によっては「自分を調べる24項目」に沿ってこれまでの行動を振り返ったり、必ず訪れる死を意識した内観も行います。明日が当たり前に来るなんて誰も思っていないでしょうが、ゆっくり時間をとって死を強烈にイメージすることはとても意味のあることだと思いました。

内観を受けた感想

受けてみての感想ですが、率直に言うと、その後の人間関係や考え方に関しては大きな変化はありませんでした。その理由としては、幼少期から現象に対し内面を見つめる習慣があり、それが内観のようなものだったからだと思います。認識をみなおすことでこの主観的な世界を如何様にも変えられることを知っていました。

なので内観研修を受けると決めたものの、正直7日間を犠牲にしてまでの成果を得られるだろうか…と少し不安でした。母にはこの世界に産んでくれたことから感謝しているし、人間関係での悩みもないし、これまで構築してきた物事に対する考え方や今持っている人生観が気に入っているからです。でも人生は必要な時に必要なことが起こるし、せっかくのご縁だから…と思い安曇野の地へ向かいました。

結果的には行って良かったです。直前に壊していた体調もおかげさまですっかり良くなり、全身が感謝で満たされることの幸せを噛みしめながら茹で卵のようにツルツルになって帰っていきました。

放出したエネルギーの行方を追うことが執着になること、食べたご飯の数だけ誰かの愛を受け取っていたこと、全身が感謝で満たされる幸福感を味わったことなど、想像していたより学びもあったし、生きてるだけで十分だなとか思えたし、7日間ずっと満たされていた気がします。

総じて、物事の捉え方がある程度その人自身の中で確立されていたとしても、3つの質問に沿って人生を振り返るというのはとてつもなく大きな意味のあることだと思いました。特に、

「その方に何をしてあげたか」

という問いに、生きているうちに対峙できるのはとても幸運なことです。

死後、あの世に行く前に一生を想起させられる時間があり、そこで問われるのは社会的な成功ではなく"どれだけ愛したか" "何をしてあげられたか" である。

これは『生きがいの創造』に書かれていたことですが、これを読んだ時、

やばい、独りよがりだった!!

と猛省したのを思い出しました。

でもまだ明日があるというありがたさ。これが内観の素晴らしいところだと思いました。振り返って感謝してお返しがしたいと思って、まだ実行に移せる時間がある。

おわりに

喜ばしくない現実を突きつけられると、人は見ないための努力をするか、誰か(何か)のせいにしてしまいます。そんなつもりはなくても、親や周囲の人間関係の中でつくられた思い込みや思考の癖が行動に無意識に影響していて、そこに気がつくことが一番難しい。

だからこそ、内観を通して無意識の部分にアクセスし、より行動変容しやすくすることは、ありのままに生きるという軸を揺るぎないものにする上で大きな意味のあることだと思いました。

忙しい20代〜30代こそ、深くゆっくり息を吸って生を慮る時間を大事にしていきたいです。(あとみんなとごはん食べる時間…)



石井光先生、中野節子先生、神田真介先生はじめ、お世話になった皆様に心より感謝を込めて。

期間:2022.12.29 〜 2023.01.04
場所:有明の家(信州安曇野内観道場)

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