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『それから』夏目漱石

理屈っぽい。という冒頭の印象はそのままに、進むにつれて夏目漱石の狂気的な側面を感じた。
「三四郎」という小説が夢の中で過ごす青春時代を描いたものなら、やっぱりこの作品は「それから」なんだろう。

今回は、青春時代が終わって社会に出始めたころの主人公のお話。出てはないんだけど。
実家が裕福で、働かなくても悠々自適に暮らしていけるだけの金銭的な余裕があり、周りからはそろそろ社会に出ろと言われても、理屈ばっか並べて結局何もしない。というキャラ設定。

まあ〜読んでいてイライラすることといったら!笑
もしこんなやつが家族にいたら、

「うるせえ!はたらけ!!」

とでも言っていただろう。
陽明学の知良致説に感化されている身としては、こういう思考することだけは一丁前で全く行動が伴わないタイプはちっとも尊敬できない。

ラストに近づくに連れて、どんどんスピードを増しながら雲行きが怪しくなっていく。

常次郎は三千子にDVしてたのかな…?
と思うような箇所もあり、結末含めて誰か解説してほしい。
起こった出来事ははっきり知らされず主人公の内面がそのままぶちまけられる感じがたまらん。やっぱりこうでなくちゃな〜。

「門」も読み終えて、前期三部作ようやくコンプリート。三四郎が一番好きだったな〜。まだ夢の中で生きていたいのかも(笑)


ぬるま湯の学生時代を経た後は、目の前の現実に対処し、社会の中で生きていかなければならない。
でも対処しなくても生きていける選択肢が与えられているのなら、色んな理由をこじつけて自分を正当化してやはり逃げてしまうものなのかな。
与えられた選択肢の中で一番つらいものって結局一番成長させてくれるっていうのは分かってるんだけどね。

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