見出し画像

大寒の日の決意

『初恋』で描かれた北海道がとてもきれいだった。地元なだけに嬉しかった。そして冬の描かれ方が素敵でハッとした。外から見たら雪国の冬ってこんなに美しいのか。

高校生の也英が車の窓ガラスから雪の降る外を眺めていたシーンは、なんだか涙が出そうなくらい懐かしかった。(まだ住んでるけど)

地元を想うときの季節はやっぱりこの長い長い冬なんだろうか。春も夏も秋も素晴らしいけど、暗くてきびしいこの季節に育てられたみたいだ。

暗い夜道に漂う白い息、寒さで変わる雪を踏む音、車のフロントガラスにできる扇型の雪の跡、電柱にかけられた誰かのマフラー。

もう耐えられないと言いながらストーブをつける朝からはじまり、昼下がりにはガラス越しに雪が落ちていく様をぼんやり眺め、夕方には街灯が雪道を照らす。

ふむ。こう書くとなんだかとても美しい場所で暮らしている気がしてくる。でも給湯器がとまって暖房もお湯も止まった日、耳がちぎれそうなほど冷たい風の中、決死のドライヤー作戦で凍ったホースを温めた。
「あり得ない!!!!」と叫びながら、絶対にここを離れようと誓った。もう、寒いのはうんざり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?