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#小説
Fish in the tank
1
結局の所、その日はその後も教授が現れる事はなく、生徒の四人はとりとめのないお喋りを続けたり、またそれぞれの作業に戻ったりしては長い時間を過ごしていた。
研究室の窓から見える大学の景色は、その間に徐々に日の光を失って、夕時が近づく頃にはすっかり蒼ざめて暗くなっていた。
一向に現れない教授を待ち疲れて、最後は日を改めてまた来ようという事になり、研究室を全員で後にして外に出ると、四人
Fish in the tank、その後(1)
ゼミの教授が死んだという訃報が流れたのは四人が流れ星を見た次の日の朝の事で、四人は何度かお互いに連絡を取り合った後、通夜の翌日に行われるという告別式に参列する事を決めた。
……本当に、何が起きるか分かったもんじゃないな。
美雪はそう思いながら、鏡の前に立って、古い箪笥の匂いがすっかり染みついてしまった母親の喪服に袖を通してみた。