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【MEMBER'S VOICE #12 小西徹】様々な人が相反する目的を追うスポーツ業界、イチ組織で考えられない解決策を実行に落とすことにこだわりたい

 私たちSports X Initiative(SXI)の一番の特徴ともいえるのは、メンバーの多様性です。実績に限らず、事業開発、ブランディング・マーケティング、各種制度設計、データアナリティクスなど、多様な専門性を有したSports Xのアルムナイメンバーを、リレー形式でご紹介させていただきます。

小西徹(Toru Konishi)
◎経歴
日本HP → リバプール大学サッカーMBA → 日本サッカー協会 → ユーフォリア
◎私にとってSports X Leaders programとは…
「制約を取り去ってスポーツの価値を考えて行動にうつせる場」

 こんにちは、小西徹と申します。私は、大学卒業後ITシステム開発やITコンサルティングを行っていたのですが、どうしてもサッカーに係る仕事をしたいと思うようになりスポーツの世界に入ってきました。ここでは、その経緯、そして今後SXIで取り組んでいきたいことをご紹介させていただきます。

原点となったアルゼンチンサッカーへの熱

 大分昔にさかのぼりますが、私は小学4年生から地元のクラブでサッカーを始め、中学、高校は部活で毎日ボールを蹴る生活を送っていました。正直最初は、転校した小学校で友達がいない状態だったため、仕方なく続けるというレベルで、サッカーの練習が嫌いでした。

 そんな状態ではありましたが、継続する中で友人ができて、身体が強くなって、ボールを蹴る楽しさを知り、気づかないうちにサッカーは自分の生活の重要な一部となっていました。選手として大成することはできませんでしたが、サッカーを通じて多くのことを学び、たくさんの友人を作ることができたのでサッカーを始めて本当に良かったと思っています。

 さらにプレーすることに加えて、サッカーを始めたタイミングでJリーグが開幕し、日本代表がW杯に挑戦するという文脈の中で世界のサッカーに触れたことが私にとっては非常に大きなことでした。

 この話をすると長くなってしまうのでなるべく短くしたいと思いますが、世界のサッカーに触れる中でなぜかアルゼンチン代表が好きになり、日々情報をチェックするくらいのファンになりました。

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 プレーのレベルの高さに魅了されたということもありますが、一番大きな理由は選手ならびにファンの異常ともいえる熱量を目の当たりにしたことでした。「スポーツは心身の健全な発達を促すアクティビティである」「スポーツはエンターテインメントの1つである」というレベルを通り越し、人生のすべてをかけている姿を観る中で、アルゼンチンサッカーにどんどんのめり込んでいきました。

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 大学時代にアルバイトでためたお金を全て使ってアルゼンチン旅行をし、現地でその熱量に触れたことでその思いは強くなっていきました。仕事に関係ない昔話を長々と書いてしまいましたが、今述べてきたサッカーに対する思いがスポーツ業界で働いている原点となっています。

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 このように「サッカーをする」、「サッカーを観る」という2つが大部分を占める生活を送っていたにも関わらず、「サッカーのために働く」という選択肢は当時大学生だった私の中には1ミリも浮かんできませんでした。

「サッカーのために働く」という選択肢が生まれた『一言』

 就職する時には、今後のビジネスでインフラになると確信していたIT業界にいくことを決意し、日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下 日本HP)に入社しました。日本HPでの仕事は、最新の技術に触れることができ、ビジネスコンサルやシステム開発など幅広い仕事を経験できて充実した日々を過ごしていました。しかし、3年目を過ぎた頃から長い社会人生活の中で自分は仕事を通して何を成し遂げたいのかという核となるものが自分の中に欠けていることに気づき、長期的に成し遂げたい目標を深く考えるようになりました。

 色々な方に話を聞き、海外留学、転職など複数の選択肢を考え、自己分析ワークのようなことを繰り返しても答えが見つからず迷っている時、スペインのMBAセミナーで話を聞いたことがターニングポイントとなりました。「FCバルセロナで働いた日本人卒業生もいますよ」、この言葉を聞いた時に私の中で初めて「サッカーのために働く」という選択肢が生まれたのです。

 目標ができてからは、小さい頃から好きだったサッカーと自分の人生がつながったので頭の中がすっきりして行動を起こせるようになりました。仕事の合間を縫ってスポーツセミナーに参加し、サッカー関連企業で働く方々に話を伺い、サッカー現場のボランティアをして情報を集め、結論として会社を退職しイギリスのリバプール大学でサッカービジネスを学ぶことを決意しました。

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 イギリスのサッカー文化は素晴らしく学ぶことがたくさんありましたが、私が留学した2011年当時はITテクノロジーの活用に関しては現場ならびにビジネス面でも試行錯誤という状況でした。ここにチャンスがあると考え、帰国後は公益財団法人日本サッカー協会(以下 JFA)にてサッカーの強化・普及・マネタイズにITテクノロジーを活用する仕事に従事してまいりました。

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 2020年からは、データ活用してスポーツの発展に貢献できる方法を追求したいと思い株式会社ユーフォリアに転職し現在にいたります。

私ができること

 アイデアを具体的な施策に落として実行フェーズに導く、ということを常に意識して仕事をしています。そのためのツールとしてプロジェクトマネジメントスキルとシステムシンキングの力が自分のコアになっていると考えています。

 システムシンキングで状況を構造化した上で目標を定め、期待するQCDを考えつつプロジェクトをマネジメントするように心がけています。

 日本HPでのコンサルティングやITシステム開発の仕事、JFAでのシステム企画や組織横断的な企画の推進など、今までの仕事は常にプロジェクトマネジメントをベースにした仕事をしてきました。

 スポーツの仕事は様々な種類がありますが、多様な人が関わり協力し合って初めて成り立つという性質があります。関わる人が多いということはその分うまくプロジェクトを進めないと、目的を見失った活動になってしまうリスクも発生します。だからこそ、常に全体像を考えて目的を設定し、様々な人の思いやスキルを統合してプロジェクトが進むようにマネジメントしていくことが大切だと思っています。

スポーツ界におけるチャンスとSXIで取り組みたいこと

 スポーツには大きなチャンスがあると常に思っています。

 スポーツの課題は様々な視点で議論をされていますが、私は多様な人が大人数関わり、相反する目的がある中で方向性を決めていかなければいけないところに難しさがあるのではないかと考えています。

 そのために、バランスが崩れてしまうとうまく物事が進まないし、また経済面や成績などある側面にだけ注目しすぎて本質を見失うという問題が発生しているのではないかと思っています。

 SXIはまさに、この全体のバランスを見ながらスポーツの本質的な価値を追求できる場です。アスリート、クラブ、協会、スポンサー企業、メディアなど異なるバックグラウンドに人が集まり、システムシンキングという共通ツールを使いながらスポーツの本質を追求することで、単一の組織で考えられなかった解決策が見いだせるところに価値があると感じています。

 私がやりたいことは、この議論して見つけた解決策を具体的な施策に落としてアクションを起こしていくことです。せっかく解決策を考えても実行できないというのはもったいないので、アイデアを施策に落とすことにこだわっていきたいと思っています。

SXIに興味を持っている方へ一言

 スポーツの価値は、人によって異なるものだと思います。だからこそ、SXIは多様な価値観がたくさん集まり交差し統合される場であるべきだと思っており、スポーツ・社会を良くしたいという強い思いを持った仲間が必要です。

 様々な価値観を持つ方と出会い、一緒にプロジェクトを行えることを楽しみにしています。

(文:SXLP0期/小西徹)


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