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2022年11月の記事一覧

藤堂裕『信長を殺した男 日輪のデマルカシオン3』
相変わらず史実に忠実で、とにかく密度が濃い!本章の中で1番おもしろい巻だと思う。秀吉中心で、伴天連やフェリペ2世の思惑との絡み、秀吉の闇、千利休、家康の苦難、が描かれていて、『どうする家康』の予習にももってこいな1冊。

角田光代『対岸の彼女』
あまりのリアルさに、没入ではなく記憶と錯覚しそうになった一冊。「黙って腹にためこめば深刻味を帯びるが、口にすればどうしたって喜劇なんだ。」「なぜ私たちは年齢を重ねるのか。また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。」

小川糸『ライオンのおやつ』
瀬戸内の風景と空気感、そしてライオンの家のおいしいご飯が瞼の裏に浮かぶ一冊。雫の1つ1つの心情が丁寧に描かれていて、涙なしには読めなかった。私も死ぬときはライオンの家で過ごしたいなぁ。

瀬尾まいこ『掬えば手には』
表紙が綺麗で、重版がかかるたびに気になっていて、おまけ付の初版を買って読んだ。スラスラ読めて、ほっこりする1冊。表紙の繊細さが似合うなぁと思った。

江國香織『神様のボート』
江國さんの世界観と表現に吸い込まれて、続きをめくる手が止まらず、1日で読んでしまった一冊。高萩も佐倉も逗子も栗平も松原も訪れたことはないし、シシリアンキスも葉子ほどの骨ごと溶けるような恋も知らないのに、瞼の裏に浮かぶようだった。

朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』
世界の見え方、登場人物への評価、「自分とは」への答えが章を経るごとに変わっていく。はじめはスローペースで読んでいたけれど、螺旋Pの伏線が見え始めてから読む手が止まらなかった。誰もが何かしらの気づきを得られる一冊。

江國香織『旅ドロップ』
自身の旅の全体像を知らせることよりも、あっさりとしていて、お土産や出会った人、「たとえ近所でも”いつもと違う場所”を訪れたであればそれは旅だ」という概念自体、など、旅にまつわるエトセトラを丁寧に、彼女にしか書けない表現で綴ることが重きに置かれた旅エッセイ。

原田マハ『やっぱり食べに行こう。』
1つ1つがほどよい長さで、なめらかで読みやすかった。個人的にはフーテンのマハよりも好き。「アートとグルメ」「朝ごはん」「スイーツ」が特に好き。金沢の蟹チャーハン食べに行きたいなぁ。「もう一度あとがき」の最後の言葉も素敵だった。食旅エッセイ万歳!