人の気持ちをつかむ2つの方法とは?
昨日、ある大手企業から依頼を受け、終日マーケティングに関する講義を行ってきました。
僕はマーケティングの専門家というよりは、世の中にあるメソッドよりクライアントごとに使えるものをセレクトして効果的に伝えることのプロです。
いわば、インプットの際の「情報の整理」と、クライアントの「アウトプットの際の頭の整理」を専門にマーケティング教育を行うという独自のスタイルです。(これが思考の整理家®という肩書きの由縁です)
これにより、今の実情にあったメソッドでクライアントの思考を整理することが可能になり、整理された後は自分自身で課題解決ができるようになるのです。
さて、昨日、もっとも先方の部長クラスからも反応が高かったことは、「人の気持ちをいかにつかむか?」というテーマでした。雑に言ってしまうなら、ニーズの捉え方です。
この会社さんはBtoB事業なのですが、相手が法人であっても、整理してみると個人向けの事業とかけ離れたものはありません。
大別すると、2系統の気持ちのつかみ方があります。
1.Pain
Painとは人や企業が持つ”痛み”です。
普段の生活や業務上、ストレスを抱えている部分をつかむことをPainの把握と言います。
たとえば、「発注の作業が面倒くさくて仕方がない。こんなことに時間とられている場合ではないんだけど」や、「接客がうざすぎる。そんな過剰な接客はいらないからセルフ式でもいいので早くしてくれよ!」などストレスを抱える場面は色々とあるでしょう。
そこに的確に応えていくことです。
よく顧客にヒアリングをすると、「特に今困っていることはありませんので、何かあれば声をかけます!」と反応されることがあります。これはヒアリングの質問が悪いのですが・・・
課題がゼロの組織や個人なんて存在しないので、あきらめずに”ヒフミ”のl切り口から”痛み”を探っていくとよいでしょう。
ヒフミとは、「非・不・未」の略です。
「非・不・未」が頭につく文字の状況は、たいてい顧客にとってPainポイントになっていることです。
この3点を頭に入れたうえで顧客を観察しヒアリングしていくと、見えてくるものもありますよ。
Painとは、マイナスを少なくともゼロに戻したいレベルの気持ちなのです。
※マーケティングのプロからしたら、こんなもの今さら感があるかもしれませんね。でも、今さら感があることを改めて整理しておくことで新たな気づきを得やすくなりますよ。
2.Gain
Gainとは人や企業に”喜び”になる付加価値の切り口です。
言い換えれば、「あったらいいな!」の気持ちのスイッチです。これは顧客側も自分では気づきにくく言語化がしにくいので、ヒアリングしてもすぐに特定できるわけではありません。
先ほどお話したPainは顕在化された気持ち(見えているか見えやすい)なのに対して、Gainは潜在的な気持ち(まだ見えていないか見えにくい)ものです。
だからこそ、いかに当事者意識をもって自分事として考えられるか?いかに相手の言葉の中から本音の兆しを読み解くかが大切です。
僕が好きなビジネス事例があります。
アメリカの運送会社のUPSが手掛ける仕組みです。運送会社ですから、モノを空輸や船便、そしてトラックでワールドワイドに届けるビジネスです。
ただ、内容によっては世界中に張り巡らせた拠点に3Dプリンタを設置し、モノ(完成品)を運ばず、3Dプリンタで生成するデータだけを送信します。
その後、データを受け取った配送先の最寄りの拠点で3Dプリンタによってモノを生成してから届けるという仕組みです。
つまり、運送工程の大部分をデータ送信でカットできるという意味です。
3Dプリンタで生成できるものには限りがありますが、部品などはこの仕組みで代用できるケースが多いのです。
こうなると、輸送レス&在庫レスを追求できるのでコスト的にも環境負荷も低減できます。
まさに、輸送レス&在庫レスの「あったらいいな!」を事業化した例ですね。
インスタのストーリー機能も同様にGainの例です。
写真をアップしてみたいけど、ネット上に写真が残ってしまうのは嫌!という心理を上手につかみ取り、「アップしつつも消えてくれればいいな」という気持ちをうまくサービス化していますよね。
実際に、写真の投稿後24時間以内に消えてくれるわけですから。(厳密にいうと、24時間以内に誰かにスクショをとられてしまうとネット上から消えませんが、それでも心理的には24時間で消滅するという仕組みで十分OKなのです)
でもね、ストーリー機能はインスタを使いだした当初から強くユーザーから要望が出ていたのでしょうか?
おそらく、「こうだったら嬉しいな」というGainの部分をつかみとったからできたサービスだと思います。
こうして「無くても困らないけど、あったら嬉しいな」のGainは、我々の身近なところにもたくさんありそうですよね。
3.ビジネスだけではない
今回は、PainとGainという言葉で、僕がクライアントに対して整理してきた内容を共有してきましたが、別にビジネスに限った内容ではありませんよ。
文章を書くとき、人との会話で、人間関係をつくるとき、すべて2系統の気持ちのつかみ方(把握の仕方)が当てはまります。
ビジネスの前に、私たちにとって大切なことの筆頭格はコミュニケーションです。
コミュニケーションとは、会話方法の問題ではなく気持ちを汲み取ることが原点です。
その点で、今回のPainとGainというたった2つを知っておくだけでも、応用が利くのではないでしょうか?
僕もnoteの投稿においてノウハウ的な話を書くときは、Pain8割:Gain2割を意識しながら書いていますよ。
さて、今回の投稿はPainとGainのどちらを想定して書いたと思いますか?(^^♪
おしまい。
さて、今回の内容は
いかがだったでしょうか?
少しでもお役に立てば幸いです。
それでは、また会いましょう!
著者・思考の整理家® 鈴木 進介
P.S.
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