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世界のランニングあれこれ

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私が自分の目で見てきた世界の陸上・ランニングについて書きます。
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#マラソン

マラソンサブ2:05の選手を7名擁するケニア🇰🇪カプサベトの「2 Running Club」について

マラソンサブ2:05の選手を7名擁するケニア🇰🇪カプサベトの「2 Running Club」について

ケニア、エチオピア、ウガンダなどに拠点を持つNN Running Teamは、キプチョゲやその他のスター選手が所属していることから「世界最強の長距離チーム」だといわれている。そして、彼らは概ねナイキ契約の選手である。

それでは、アディダス契約の選手で構成された最強の長距離チームはどこか?男子マラソンでいえば、エチオピアの名コーチのGemedu Dedefoが率いるトレーニンググループが強豪チーム

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エリウド・キプチョゲ、マラソン16戦14勝

エリウド・キプチョゲ、マラソン16戦14勝

エリウド・キプチョゲのマラソンにおける強さを明らかにするための物差しの1つとして、東京マラソン2021の写真を以下に並べる。

NNのチームメイトをペーサーとして起用できるのは心強い。普段の練習相手が引っ張ってくれるのだから、安心してレースを走れているだろう。

この下の写真では上半身の逞しさがうかがえる。高いレベルの高速レースでペースを落とさずに走るためには下半身だけでなく上半身にも高い筋力が要

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男子マラソン選手の戦績と勝率が示すもの

男子マラソン選手の戦績と勝率が示すもの

エリウド・キプチョゲのマラソンにおける強さを明らかにするための物差しの1つとして、男子マラソン選手の戦績と勝率を以下に並べる。

男子マラソン選手の戦績と勝率 2022年3月時点

【参考までに】
・記録は年々向上しているが、勝率で見ると“強さ”がわかりやすい
・半世紀以上前の選手はA.ビキラを除いて除外(調べるのが大変...)
・キャリア6戦未満の選手は除外 / 勝率30%以上の選手のみを掲載

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東京マラソンと名古屋ウイメンズの海外招待選手

東京マラソンと名古屋ウイメンズの海外招待選手

楽しみですね。

特に、東京五輪以外でコロナ禍の日本のレースにおいて、世界トップクラスと日本人選手が対決することはなかったので、今日本のマラソンの記録水準が上がっていることを考えると、今回の東京マラソンと名古屋ウイメンズは良い試金石のレースになるだろう。

東京マラソン:ロンドンが秋にあることで男女ともに史上最強メンバーここ数年の東京マラソンが良い点は、もうなくなってしまったびわ湖や福岡国際とは違

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五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

★サムネイルの写真は2018年のベルリンマラソンでキプチョゲがマラソンの世界新を出したレースで私が撮影した1枚(後ろの集団にW.キプサング)

今回はいかにも目を惹きそうなキャッチーなタイトルがをつけてみたが、それでもマラソンで五輪連覇を達成し、今度はWMM全制覇を掲げているキプチョゲのトレーニング内容は多くのランナーの気になるところだろう。

アイルランドのフリーのスポーツジャーナリストであるC

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ケニアとエチオピアのトップ中長距離選手のジムでのフィットネスエクササイズ

ケニアとエチオピアのトップ中長距離選手のジムでのフィットネスエクササイズ

(写真 ATHLE.ch ©︎2021 Guillaume Laurent)

私がこの1年間でケニアやエチオピアのトップクラスの中長距離選手が行っている練習で印象深かったのが、ジム内での練習である。

とはいっても、どちらの国もジムという施設は一部の場所にしかなく、全ての選手ができるような練習ではない。

そういった意味で、東アフリカにはフィジカルトレーニングはあまり普及していないのかもしれない

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ケネニサ・ベケレの五輪出場に黄色信号。5月3日にスイスのジュネーブで開催予定のエチオピア版MGC🇪🇹について。

ケネニサ・ベケレの五輪出場に黄色信号。5月3日にスイスのジュネーブで開催予定のエチオピア版MGC🇪🇹について。

3月上旬に🇪🇹版MGCの開催が4月のエチオピアの高地での開催に決まったというエチオピア陸連の決定のニュースがあった。

しかし、選手やコーチのエチオピア陸連への要望から🇪🇹版MGCが5月3日に平地のスイスのジュネーブで開催されることとなるという。そして、そのレースの男女の上位3名がそのまま東京五輪代表になる流れだ(情報源)。

5月3日に42.195kmが行われるとなれば、8月の東京五輪マ

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競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

(写真:Instagram Paul Pollock)

昨日から始まったこのテーマの記事をシリーズとして毎日書いていく。

2回目はNNランニングチーム所属のポール・ポロック(アイルランド)について。

2019年に不調に陥ったはずが...マラソンでまさかの大幅自己新2016年リオ五輪男子マラソン32位の実績を持つポロックは、現在34歳の五輪選手で、職業は救急医。父親としての顔もあり、マラソン練

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本気ならアシックス / 令和もよろしくアシックス / モーエンもよろしくアシックス。

本気ならアシックス / 令和もよろしくアシックス / モーエンもよろしくアシックス。

2021年3月30日にアシックスが新しいレーシングシューズの発表を行うことが予定されている。それを前にした3月23日に↑の予告動画がアシックスの公式SNS(日本)で公開された。

現在、日本のエリート〜サブエリート長距離選手はロードレースにおいて90%前後がナイキのシューズを使用している現状である。

女子は東京五輪マラソン日本代表に内定している前田穂南(天満屋)、男子はびわ湖毎日マラソンで8年ぶ

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大迫傑が4月11日のトスカーナマラソンに出場。4月11日はキプチョゲ出場予定のNNミッションマラソンなど欧州のマラソンから目が離せない!

大迫傑が4月11日のトスカーナマラソンに出場。4月11日はキプチョゲ出場予定のNNミッションマラソンなど欧州のマラソンから目が離せない!

(トップ写真:2020年東京マラソン ©︎2020 Sushiman Photography)

東京五輪男子マラソン日本代表の大迫傑が、2021年4月11日にイタリアのトスカーナで開催されるトスカーナマラソンに出場することがトスカーナキャンプの公式SNSで発表された。

これは、大迫のWA公認代理人(AR)がイタリアの※Federico ROSA(ROSA ASSOCIATI)であることに由来し

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世界の長距離界に旋風を巻き起こしたウガンダの3人の金メダリスト【①スティーブン・キプロティチ ②ジュシュア・チェプテゲイ ③ジェイコブ・キプリモ】

世界の長距離界に旋風を巻き起こしたウガンダの3人の金メダリスト【①スティーブン・キプロティチ ②ジュシュア・チェプテゲイ ③ジェイコブ・キプリモ】

この10年間の陸上長距離種目の世界大会で、金メダル争いを繰り広げるのはケニアとエチオピアなどの東アフリカの国の選手であるが、最近ではウガンダの選手が存在感を発揮している。

ウガンダの陸上選手では、1972年ミュンヘン五輪の男子400mHで母国に五輪初の金メダルをもたらしたジョン・アキ=ブア、中距離では女子のハリマ・ナカイがドーハ世界選手権の800mで金メダルを獲得しているが、今回は中距離ではなく

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東京五輪と日本の実業団入りを目指す女子マラソンモンゴル記録保持者のムンフザヤ・バヤルツォグト選手について

東京五輪と日本の実業団入りを目指す女子マラソンモンゴル記録保持者のムンフザヤ・バヤルツォグト選手について

女子マラソンモンゴル記録保持者で、リオ五輪女子マラソンモンゴル代表のムンフザヤ・バヤルツォグト選手の走りを間近でしっかり見たのは、2019年のゴールドコーストマラソンの時。

31km地点で単独走をしていたムンフザヤ選手に向けて、思わずシャッターを切っていた。それから、1年3ヶ月後。

NHK WORLD - JAPANのAsia Insightというプログラム(番組)に“Dreaming of

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10月は長距離の世界記録がいくつ更新されるか?ロンドンマラソン 、NNバレンシアWRデイ、世界ハーフと続く激動の2週間

10月は長距離の世界記録がいくつ更新されるか?ロンドンマラソン 、NNバレンシアWRデイ、世界ハーフと続く激動の2週間

2020年は本来東京五輪が開催されるはずだったが、蓋を開けてみれば男女中長距離種目で合計5つもの日本記録(男子ハーフ、マラソン、女子1500、3000m、ハーフ)が生まれるという豊作の1年となっている。

同じように、女子単独ハーフ(1:05:34)、男子10km(26:24)、5000m(12:35.36)、男女1時間走(ファラー 21,330 m、ハッサン18,930 m)と、世界記録も今年で

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2020年版男子5000m25歳以下の世界ランキング(エチオピアを除く)

2020年版男子5000m25歳以下の世界ランキング(エチオピアを除く)

ホクレンディスタンスチャレンジ千歳大会で当時21歳の遠藤日向選手(住友電工)が13:18.99の日本歴代7位の好記録をマーク。これは、竹澤健介の13:19.00の日本学生記録を上回るもので、もし大学生であれば日本学生新記録だった(実業団と大学の競技環境は異なるので単純比較はできないけれども参考として)。

そこで、日本の中長距離界のレベルアップが感じられたのかもしれないが、この13:18.99の記

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