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脳卒中者の退院直後からの座位行動-運動パターンと参加

📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後1年までの運動行動パターンと参加経過の縦断的関連性

📕de Graaf, Joris A., et al. "The longitudinal association between movement behavior patterns and the course of participation up to one year after stroke." Disability and Rehabilitation (2022): 1-9. https://doi.org/10.1080/09638288.2022.2109071
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🔑 Key points
🔹初発脳卒中者の自宅退院後1年までの参加経過は、3つの異なる運動行動パターン、すなわち、座りがちな運動者、座りがちな移動者、座りがちな遷延者により異なっていた。
🔹脳卒中患者の自宅退院後に、非常に座りがちで活動的でない人を早期に発見することは重要である。
🔹脳卒中患者が自宅退院後、健康的な運動行動に適応し、それを維持できるように支援することは、長期的な参加制限の可能性を防ぐことができる。

[背景・目的] 目的(1)脳卒中後1年までの参加経過において、退院後に直接確認された明確な動作行動パターン間の違いを調査すること、(2)経時的な動作行動パターンの発達と脳卒中後の参加との縦断的関連を調査すること。

[方法] 200名の初発脳卒中患者を対象に、退院直後、6ヵ月後、1年後の評価を行った。脳卒中衝撃尺度3.0の参加領域を用いて参加度を測定した。14日間、加速度計を用いて運動行動を客観化した。参加者は、3つの異なる運動行動パターン、すなわち、座りがちな運動者、座りがちな移動者、座りがちな遷延者に分類された。一般化推定方程式(GEE)が実行された。

✅ 3つの座位行動-運動パターン
(1) 座りがちな運動者:座位時間が短く、十分な量のMVPA
(2) 座りがちな移動者:座位時間が短く、不十分な量のMVPA
(3) 座りがちな遷延者:座位時間が長く、不十分な量のMVPA

[結果] 脳卒中後1年までの参加状況は、退院直後から座りがちな遷延者に分類された人ほど悪化していた。経時的な座位遷延者の発生も、座位運動者と比較して参加率の悪化と関連していた。

[結論] 脳卒中後の参加経過は、自宅退院後の明確な運動行動パターンによって異なる。高度の座位保持者や運動不足の脳卒中患者は、時間の経過とともに参加が制限されるリスクがある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

動かない(動けない)→社会参加しない。
社会参加しない→動かない(動けなくなる)。
この両者は、鶏と卵のように、どちらが原因で、どちらが結果なのか。
両方向性の矢印を持っているに項目だと思ってはいる。

今回の抄読研究は、特に前者のパターンについて光を当てている。
退院直後の身体活動量分析において、動かず座りがちなグループは、社会参加もせず、長期的にも参加率が低い。
社会参加することは、死亡、要介護リスクを減らす、精神安定、幸福感の獲得などの効能が確認されている。
退院直後から、動くことを支援することで、長期的な健康、幸福をサポートできる可能性がある。
そしてそれは、リハビリテーションの領域の、結構ど真ん中の方ではないだろうか。

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